#俳句、川柳

蛙2 (大ガエルの大群)

蝦蟇という傍若無人皮の中 (ウシガエルの骨格標本 : 静岡県立 ふじのくに地球環境史ミュージアム) ある家を訪れたとき、「ガマが棲みついている」と言われ、まさかと思っていたら、のっそのっそと這い出してきて、びっくりした。 我が物顔で歩いて人間な…

熱中症の避難所がほしい

溽溽の字も溽き溽暑かな (じょくじょくのじもむしあつきじょくしょかな) (気象庁のデータ) ひどい雨の一方で、ひどい高温だ。 気象庁は「熱中症」についても警報や注意報を出している。これは数値化されていて、気温、湿度、輻射熱から算出するが、気温…

蛙1 (ウシガエルを食べたこと)

牛蛙ボリュームちょっと下げてくれ 田んぼは一面の緑になった。若い苗を揺らして青田風が吹きわたる。 道脇の田んぼをのぞき込んだら、蛙の仔がごちゃごちゃッと集まっていた。オタマジャクシから蛙になったばかりだと思われる。エラ呼吸から肺呼吸に切り替…

朱い夏

鬼百合や弾け咲く瞬(とき)今朝も見ず 雨が上がった朝、ぱっとオニユリが咲いた。今年は玄関近くのプランターや花の鉢から茎が20本ほど立ち上がっている。自然に増えたものだ。二三日したら花が10個以上になってきて賑やかになった。豪快で気分がいい。アゲ…

マツバランをみつけた

万緑やわれまた植物細胞を持ち 日陰を探して、山の農道に車を停めてぼんやりしていたら、脇の石積みに変なものが目に入った。初めて見るもので、花なのか枝なのか何だか全く見当がつかない。まわりはツタや花の終えたテイカカズラなどが繁茂していて、その隙…

「半夏」生と「半夏生」

半夏生白さは私の病気です 七十二候に半夏生(はんげしょう)がある。七月初めの5日ほどを指している。 で「半夏生」という草だが、ドクダミの仲間で葉の一部が白くなる特徴がある。わが庭にも病的な白い葉を何枚か光らせていて、異常に目につく白さである。…

サクランボ または「桜桃」

皺の口すぼめて爺婆サクランボ 太宰治に「桜桃」という短編がある。多分高校の頃読んだが全く内容を覚えていない。ふと思い出して、サクランボをつまみつつ青空文庫で読んでみた。これを小説というのかどうかわからないが、太宰文学そのものだなと思い、そし…

庭にカボチャを

庭園にかぼちゃ咲かせてポストモダン 農協で野菜の苗を見ていたら、カボチャの苗が目にはいり、ふいにカボチャを植えてみたくなった。といっても畑はない。 さてどこに?と考える。 こいつは野生的だからどこでも大丈夫そうだ。では庭の花畑、野草が乱雑に植…

鉄腕アトムが俳句を作る?

父の日や子に叱られつつ手にスマホ 図書館から「豪華版 鉄腕アトム」を借り足しながら読んでいる。全部で14巻あるのだが、残念ながら1巻と3巻がみあたらず、1巻の一番目がいつ書かれた何だったのか分からない。この版じたいもう古いもので本も相当ガタが…

キキョウソウの仲間たち(キキョウ科)

振り向かずただ夏野行く二人かな 梅雨に入ったという夕方、散歩していると道の脇にキキョウソウを見つけた。 紫のぱっちりした花を数個つけて、茎はまっすぐに30センチ以上も立ち上げている。花の大きさは1.5㎝くらい。茎の下部に見えているのは閉鎖花と…

新じゃがとジャガイモの実

新じゃがや飛び出してくる風の中 3月の初旬に、いたずらで埋め込んだジャガイモ。茎が黄色く与太ってきたので、一つを掘ってみた。植えてから100日が目安、と聞いたので、少し早いし、花壇の端っこに埋めた株なので、さあ、期待はあまりできないが・・・。 …

富士市にSAYPEさんの地上絵

公園は老々介護と新樹かな 富士市の公園に巨大な地上絵が描かれた、しかも世界的に有名なアーティストが描いた、というニュースを見て、好天の爽やかな中、半信半疑で出かけてみた。 (写真は新聞から) 新聞情報によると、フランス出身のランドスケープアー…

茶摘み唄 新緑の海に

茶娘は老いて新芽の茶山かな 茶どころ静岡の茶山は、いま美しい緑の樹海になっている。この連休は茶摘みの真最中で茶農家さんもこの時季は大忙しだ。 けれど、山を歩いていると荒れた茶畑が非常に目につく。父祖伝来とはいえ条件の悪い茶山を守っていくのは…

エビネに出逢う

空山に人語の響きエビネ咲く エビネを見にいかないか、と友人に誘われて、野生のエビネを見にでかけた。彼は昨年たまたま近くの山を歩いていて、花に出くわしたのだそうだ。 「もういい頃だと思うけど、咲いていればいいんだが」 と心配そうにしている。山の…

かきつばたと牧野富太郎博士

かきつばた少年愛は院の中 藤枝にある田中城跡に、カキツバタを見に出かけた。 この城跡は、現在は学校敷地となりおもかげは少ないが、その一部の下屋敷跡が整備され、本丸櫓や茶室なども移築されていて、わずかに歴史を偲ぶことができる。カキツバタが咲く…

家康の奪い取った諏訪原城(島田市)

戦国の砦やワラビの摘みどころ (案内所にあるジオラマ) 静岡市の駿府城、浜松の浜松城は家康ゆかりの城だが、その中間くらいの位置に諏訪原城という山城跡がある。あまりメジャーではないが、国指定の史跡になっていて、その遺構の大きさからみても全国屈…

ツバナの飛行場から

出立や茅花(つばな)偃(のえふ)す飛行場 新緑に誘われて、車を走らせているうちに「富士山静岡空港」に行きついた。ここは全国有数の茶の産地、牧之原の台地で、一面の茶畑が広がっている。茶の芽はまだ伸び始めたばかりで、茶摘みまでにはもう少し必要だが、…

古いレコードプレーヤーの再生

歳月も人もアナログ春の果て 息子が古いレコードプレーヤーを直してくれた。 DENONのDP-1200という代物で50年前に安月給でやっと買ったものだ。高級ランクのものではないが、壊れてからも捨てないでそのまま置いておいた。それを持ち出して直してくれたのだ…

花の三月尽

名草の芽空を恋うるや空を指し (ヒトリシズカ) 今年はまた一段と花が早い気がしている。 気象観察の資料として庭の花などをメモしておく。 アマドコロが数日前に芽吹いてきた、と思ったらもう咲き始めた。ヒトリシズカは満開。ニリンソウもほぼ満開。タン…

老朋来る

老朋の来り語らう日永かな (リュウキンカが満開) 中学時代の友人が遠くから会いに来てくれて、楽しい懐かしい時間を過ごした。この10年ほど会っていなかったろうか。お互いに白いものばかりになっていて、お互いに驚いた。昔の故郷の話に花を咲かせ、故人…

草の芽 五態

地球いまこの一粒の芽生えかな 草の芽が躍動している。 日当たりが遅い我が家の庭にも、ようやく芽生えがやってきた。草の芽は、土の中で蠢いて騒ぎ、もがいて外に出て、始めはあれッという感じで大人しいが、すぐさま遠慮なしに伸び始める。その顔を見てい…

河原でヤナギが満開

柳咲いて大河目覚めの狂詩曲 安倍川の中流を歩くと河原のヤナギが満開だった。眩しいほどのディープ・イエローに咲き誇っている。 まだ風は冷たく傾き始めた午後の光の中で、おびただしい数のヤナギの樹々が燃えるように浮かび上がる。石ころの両岸に沿って…

ジャガイモから馬鈴薯へ?

薯(いも)植えるインカの如く棒つつき 台所で芽が生えていたジャガイモを、初めて植えてみた。といってもただ土を棒でつついて穴を掘り、上らしき方を上にしてそのまま埋めただけ。イモは丈夫だからきっと生長するだろうと信用している。これで一個の薯が数…

野花の苗

花の芽に世界のことなど希みかけ この時季は花屋さん、苗木屋さんをのぞくのが楽しい。 ポット植の南高梅が昨夏に急に枯れてしまったので、もう一度ウメを植えたいなと思って、きょろきょろしているのだが、それ以上に色々な花々が鮮やかで思わず知らず見入…

タヌキのため糞・・・尾籠ですが

ため糞はタヌキの夫婦か春の風 季節はゆっくりと春へ向かっている。南風が吹くといっぺんに辺りの風景が和らぐ。ついつい野原を歩きたくなる。 沼の白鳥が水場で草を食べているのが見える。もう一時のブームは過ぎて、観察者も少ない。シベリアはまだ寒いよ…

早春の赤い花木たち

春動く花にも兆す血のゆらぎ 満を持したように、赤い花が咲き始めた。 これは、木瓜(ぼけ)。 これは、緋寒桜(ひかんざくら)。実際はもっと黒っぽい。 これは、紅梅(こうばい)。 これは、玉之浦(たまのうら)。 早春の花の赤や紅には、身から絞り出し…

ミカンが山盛り

来客はメジロのようにミカン食べ 静岡はミカンの産地だが、今、農協へ行くとたくさんな品種のミカンが並んでいて地元民でもその豊富さに驚いてしまう。 暮れから1,2月頃は、「温州青島」という品種が圧倒的な主力。糖度が高く、酸味とのバランスがよいお…

冬のスズメ

冬雀寒夜をいかに耐えたるや (雀とメジロ) 庭の餌台に、雀が群れて来るようになった。多い時は10羽ほど群れてくる。雀は昔から人家の近くにいて珍しくもなんともない鳥なのだが、意外に我が庭には寄り付かない。そして来ても警戒心が強い。 数が減っている…

早咲きサクラと小泉八雲

初サクラいざ生きめやもこの朝(堀辰雄風に) カワヅザクラは、ピンクが鮮やかでとても早咲きだ。近所にもたくさん植えられていて、1月の半ばから、もうちらほら花が見えてきた。その中でも特に早い一本があったので、写真を撮ってきた。盛りの時季よりはま…

「薄氷」(うすごおり)という銘菓

薄氷(うすらひ)の舌にもふれず融けにけり 知人から面白いお菓子をいただいた。 「薄氷」(うすごおり)という、富山県小矢部市石動の「薄氷本舗 五郎丸屋」さんのお菓子で、知る人ぞ知る銘菓とのこと。甘いものにはあまり関心がないわたしが、知る由もない…