俳句あれこれ

暑さに負けている

世界中ミサイル飛びかう猛暑かな おもちゃレベル+だが、一応はミスト 暑い。最近のあいさつは「生きてるか!」。 ミスト散水を庭にやってみた。面白いし効果も少しは? 特に京都や岐阜は40度を超え、命の危険をニュースが叫んでいる。 京都が暑いのは徒然草…

冷や奴と一茶のことなど

冷奴正六面体に鎮座せり 冷や酒と冷や奴は、私の定番。 俳句では両者とも夏の季語なのだが、私の場合はほとんどビールを飲まずに年中これだから、無季。 今日もチビチビやりながら、トランプだ金だ、新幹線殺人だ、真昼の駐車場略奪殺人だ、ああ大変な世の中…

ホトトギスはカッコウ?

ほととぎすオキヨオキヨッと日曜日 ホトトギス カッコウ (「bird song」 :主婦の友社 水谷高英氏のイラストをお借りしました) ホトトギスは、何時のころまでかカッコウであったかもしれない。 万葉集に坂上郎女の歌がある。 暇無み来ざりし君に霍公鳥われ…

ホトトギスを子規は知らない?

ほととぎす鳴くや漁港は昼休み (静岡市用宗漁港にて) 3日ほど前に、ホトトギスの鳴き声を聞いた。今年は早いような気がする。 ホトトギスの句といえば、杉田久女に清潔かつ雄渾な句がある。 谺して山ほととぎすほしいまま こういう句のまえでは、なまじい…

子規の痛さを思えば

鎮痛剤きれたベッドや明け早し このところ10日ほど、痛みに責められ難儀している。 連休前に急に首肩に激痛が走り、診察してもらうと頚椎症で神経根が圧迫されているのだとのこと。痛み止めを処方されたが、うまく効いてこない。寝ても起きても、首をどう傾…

牡丹の句と蕪村

桃色の牡丹なりしが衣脱ぐ 少し早いが、もう牡丹が咲いていると聞いて古刹を訪れると、雨上がりに花は頭を垂れ昨日の雨を滴らせていた。一部はもう花びらを落とし始めていた。 蕪村には牡丹の句が多い。 牡丹散て打かさなりぬ二三片 この句は、特に際立った…

名句に教わる-3 虚子(鎌倉を驚かしたる余寒あり)

寒戻るだからいわんこっちゃない 高浜虚子に次の句がある。 鎌倉を驚かしたる余寒あり(大正3年:虚子40歳) 当時虚子は実際に鎌倉に住んでいた。 だから実際にびっくりするような余寒が鎌倉を見舞ったのかもしれない。とすると一見、この句は事実そのままを…

名句に教わるー2 (池田澄子:人類の旬の土偶のおっぱいよ)

おっぱいとあそんでねむる日なたぼこ (縄文のビーナス:お尻は大きいが胸はこんなもの) 池田澄子さんにこんな句がある。 人類の旬の土偶のおっぱいよ 土偶のおっぱいというと、まっさきに「縄文のビーナス」が浮かんでくる。長野県の尖石遺跡の国宝。ほぼ…

名句に教わるー1(蕪村:斧入て香におどろくや冬こだち)

冬の樹や幹ふくらみて豊かなり 冬の木というと、枯れて蕭条としたイメージが定番だが、実はそんなことはないのだ。多分動物と同じで、秋にたっぷりと栄養を溜め込んで、冬は暖かい脂肪に包まれて、じっと冬芽を育て春の準備をしているのだろう。 蕪村に、 斧…

歳時記で障子を貼る

武士(もののふ)の白を召したる障子かな (さて、今日はなんとかこの4枚を 残りあと丸1日は掛かりそう) 正月を前に、障子の貼り替えを始めた。 せまい庭に障子戸を並べて紙をはぎ桟を洗い、乾いたところで取り込んで紙を貼る。 毎年やる気でいるのだが、…

蓮の骨

蓮の骨踊る踊るよアンドゥトロワ 蓮が枯れて、近辺の湿地ではレンコン掘りが始まっている。このあたりのレンコンは評判がよく店頭でもすぐに売れ切れてしまうらしい。出荷は正月前が最盛期となる。 俳句の世界では、花も最盛期のみを美としないようだ。 蓮で…

子規を偲ぶ および秋海棠のこと

喩えれば樫の木刀子規偲ぶ (根岸の子規庵) 9月19日は子規の命日である。 俳句の世界では、例えば西鶴忌、去来忌、蛇笏忌といった具合に著名人(俳人が多い)の命日を季語としていて、俳句歳時記をみるとその数が呆れるほど多い。 しかし、子規のばあいは命…

芭蕉の最期と義仲寺

旅に 病 ( やん ) で夢は枯野をかけ 廻 ( めぐ ) る (芭蕉) 夢に 病 ( やん ) で旅は枯野をかけ 廻 ( めぐ ) る (替え句) (芭蕉の墓:ここに葬られている:案外小さい) 芭蕉に辞世の句は無いといわれるが、これは死の4日前の病床での句であり実質最後の句…

服部嵐雪の妻 烈

先日、ブログに「梅一輪」の句をあげて、服部嵐雪の奥さんのことを話題にした。 http://blogs.yahoo.co.jp/geru_shi_m001/65785889.html 江戸時代の1816年に刊行された「俳家奇人談」(竹内玄玄一著)に、「妻の名を烈といへるも、嵐雪の切(かえし)なりと…

凧は天空まで

凧あがれ糸尽きるまでラピュータまで (絵は、歌川国芳の「江都勝景中洲より三つまた永代ばしをみる図」部分 蕪村より半世紀以上後になる) 蕪村に、「凧きのふの空のありどころ」という句がある。好きな句なので以前にもとりあげたかも知れない。 凧はイカ…

梅いちりん

梅一輪信濃は今朝も雪らしい 2年前に大型ポットに植えた梅が、一つだけ花を開いた。まだ恐るおそる、といった風情だ。 この数日、全国的に寒波で荒れ模様。郷里の奥信濃もどか雪のようだ。当地は雪は降らなかったものの、3日ほど連続して薄氷が張った。そ…

七草粥と子規の正月

青を咀めば根白の草の香り立つ 春の七草は、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロということになっている。スズナは蕪、スズシロは大根。ゴギョウはハハコグサ、ハコベラはハコベ、ホトケノザは今でいうコオニタビラコであるらし…

鶏頭の句

鶏頭のバケツのままで売られけり (この鶏頭は、花屋のもの。きれい過ぎてイメージが違うね) 朝市で、バケツに無造作に投げ込んだまま鶏頭が売られていた。鶏頭らしい売られ方だ、と思った。句は、子規の 鶏頭の十四五本もありぬべし を意識している。 この…

子規あれこれ 2

「臭いぞな」子規はじっと虚子の眼を見る (子規の描いた糸瓜棚 「仰臥漫録」より) 子規が苦痛と戦い、それに負けずに毎日精力的にものを書いていたのは、想像するさえ悲壮である。そんな子規の下世話ごとを詮索するのはフェアな精神とはいえない気もするが…

子規のツクシ

土筆食う里ありと聞く逃げて来よ 子規の妹、律は二度の結婚をしたものの家に戻り子規の世話に明け暮れた。律の仕事は、看護婦、お三どん、一家の整理役、子規の秘書、書籍の出納、原稿の浄書、にわたると子規は書いている。 そんな妹を苦痛に癇癪を起こす子…

子規の食べた柿・リンゴ

肉体の腐るを哭きて柿二つ(子規を読んで) (子規 果物帖から) 子規の「仰臥漫録」をよんでいたら、子規の食べた柿に、「江戸一」「百目」がでてきたので、先のブログに一応追加しておく。 http://blogs.yahoo.co.jp/geru_shi_m001/65580916.html リンゴの…

子規の食べた柿は?

山の辺や御陵平べて柿の畑 (奈良山辺の道を歩いて) (やまのべやみささぎなべてかきのはた) 柿の畑をぬう山の辺の道(柿は刀根早生柿の木) 子規の柿好きは余りにも有名である。自分を「柿喰ひの俳句好みしと伝ふべし」と詠んでいる。 では、どんな柿を食…

子規の柿の絵は?

柿食いてなお柿寿しも求めたり (故義母(今井歌子)の柿の絵:使わせてもらいますよ) 子規が草花の写生画をたくさん残したことはよく知られている。病状六尺には、モルヒネを飲んで一時の安静を得たときに病床で嬉々として描いている様子が書かれている。…

俳句あれこれ

たかが遊びと嗤えど呻いて五七五 (いつの間にか歳時記が集まった) テロ、無差別殺人、子殺し・・・。 あんまりにも凄惨な陰湿な事件が多くて、俳句なんかで遊んでいていいのだろうかと、ブログを書く気持ちになれなかった。 けれど 「遊びをせんとや生まれ…