日記

大雨を嘆く

朝焼けや土砂掘り返す救出隊 朝焼けす御霊に安らぎあれよかし ひどい豪雨がまた西日本を襲った。現場の報道映像はあまりに悲惨だ。 広島県の大雨被害の記憶もまだ生々しいのに。 静岡でも1974年(昭和49年)7月7日(日)に大雨があり、これを「七夕豪雨」と…

6月のアユ、軽の子、蛇、雉 4句

軽鳬(かる)の子や早苗ついばむ真似をして 農道を蛇わたります一旦停止 若鮎の丸い眼のまま焼かれけり 雉鳴かず飛ばずただ立つ何かある

藻の花と三好達治の詩

藻の花やこの沼時おり人を呑む (オオカナダモの花) 昔の沼や池は無防備だったから、時おり溺死事故があった。 郷里の集落の裏山に農業用の大きなため池があって、私が中学になったころだったか、そこでも人がおぼれ死んだことがあり、村の人は仕事をやめて…

早くも今年の実り 三句(新ジャガ、枇杷、青柿)

新ジャガをいただく九十の婆さまから 枇杷をもっていったら、おばあさん丹精の畑の新ジャガをいただいた。 新ジャガはずっしりと水のように重い。 枇杷すすり品なき様と嫌がられ 汁が滴りそうだから、しかたないよ。皇族方はいかにお食べあそばすや? 青柿や…

青梅が熟して

少年の尻を並べて青い梅 南高梅の苗を果樹ポットに植えて、3年目。背丈が1.5mほどになった。今年は花がたくさん咲いて、それを摘果して30個ほど実った。6月にはいると少しずつ色ついてきて、先日実が落ち始めた。 そろそろかなと思って、採りこんで置いてお…

虫たちにも春

啓蟄やいのち一年よろしくね (ナナフシ) 目の前の紙の上に、動くものがいる。 クモかなと思い、よくみるとナナフシの子だった。 生長すれば10センチは優に超す大きさになるが、まだ髪の毛よりも細いほどで、線書きのような体でしかない。 これが前後に少し…

ウグイスの本当の姿は?

里人にようやく初音を披露せり (「bird song」 構成 岩本久則 イラスト 水谷高英 主婦の友社発行) 先日、ウグイスの初音を耳にした。上手に鳴いてくれていた。 この声をきくと本当に春がきたなと感じる。「春告鳥」としゃれて言う人もいるようだ。 しかし…

春の巫女

白足袋の舞殿に軽し春の巫女 (清沢神楽 小学生の順の舞い) 静岡浅間神社で催された「大神楽祭」をみてきた。 神楽といえば、冬の神事で古いお堂の中というイメージだが、梅の香の漂うような春の日差しの中で乙女が色鮮やかな袂を振って舞うと、本当に晴れ…

白菜 なぜ巻かない?

白菜の玉結ばぬが愛おしき 家庭菜園を楽しんでいる友人が、冬菜をいろいろ持って来てくれた。採りたて野菜はやっぱり美味いし、今年は野菜が少なくて異常な高値なのでありがたい。 で、写真はそのうちの一つ。直径が50cmじゃ利かないほどに大きい。 これが白…

“Nippon and America all the same” ?

振袖にとんずらされて春を泣く 貸衣装屋が、成人式当日雲隠れした。 福袋をアルバイトを使って買いあさり、転売する中国人らしきもの。 カヌー選手がオリンピック出場に選考されたいと友人に禁止薬物を。・・・また今年も3面記事が動き出している。 朝鮮半島…

吉野の葛湯を一杯

何処の産か本物かと言い葛湯吹く 正月そうそう喉風邪を引き込んで、声が出ない。 暮にポイント交換でもらった葛湯があることに気づいて、いれてみた。 ほのかにショウガなどの香りもして、じつに和らいだ気分にしてくれる。子どもの頃,熱で食欲がないとき、…

今年の計はなんだったっけ?

一年の計忘れてはやも歳の暮 (今年の暦はもう薄っぺら ここから「暦果つ」とか「古暦」という季語がある) 早くも年の暮。 確か一年前に、今年やるべき目標を決意した記憶があるのだが、いつの間にかとんと忘れてしまっていた。それが何だったかさえも、お…

レンコンを掘る

誰乗るやら地下鉄蓮根線を掘り出さむ 正月を前に、レンコン掘りがあちこちで見られる。この近くのレンコンは味がよいので大変な人気があり店頭に並んでもすぐに売れきれる。 それにしても、通りがかりに見るだけだが、あまり作業が進んでいるようには思えな…

北朝鮮の小さな木造船

なにごとか遺体哀れや波の花 ( 江戸時代の千石船 「白山丸」 全長23m : 佐渡の小木) 北朝鮮からの小さな船が、日本海で漁をし難破して日本に漂着している。 ニュースによれば、北朝鮮の木造船は毎年40~80件程度日本の海岸で発見されているが、今年は11…

柿を吊るしました

ベランダに肩身も狭し吊るし柿 今年も干し柿を吊るした。 特に干し柿が大好物ということではないのだが、いかにもこの時季に青い空と柿の色が似合わしいので、この色を楽しむために作っているようなものだ。 季節の風物詩ということで、七夕やクリスマスと同…

ゴーヤぶらぶら

苦瓜の飼い馴らされし苦味かな 軒下にグリーンカーテン用にとミニトマト、キュウリ、ニガウリ、ツルムラサキなどを適当に植えて、これまた適当に収穫?して楽しんでいるが、出来はといえば、もとより原価割れである。そんな中、今年は苦瓜(ゴーヤー、茘枝)…

ウスバカゲロウ 空へ

アリ地獄翅(はね)得てどこかへ翔び去りぬ ガレージ(実際は物置)の壁についていたのは、多分ウスバカゲロウだと思う。足下には毎年いくつかアリジゴクの穴ができる。あてもなく翔び立っていって、うまく交尾の相手を探して子孫を残せるのだろうか。 まあ…

イモムシの食欲

一寸の虫にも五寸の食い気あり トマトは独特の野性的臭みがあり、南米からヨーロッパに持ち込まれた当時は、毒だとされて食用ではなく観賞用だったという。今から思えば信じられないことだが、たしかに「トマチン」という毒素があることはあるらしい。 品種…

虫愛ずる 3句

おはぐろのやんごとなきを愛おしみ 糸トンボの一種、黒いのでオハグロトンボともいう。 毎年この季節に裏庭に数匹舞う。穏やかにひらひらと舞い、すぐに止まって黒い羽をゆっくりとじ、開きしている。ちょっと上品な感じがする。 空蝉や飛び立つ自分を見送り…

セミの鳴き時は?

初蝉や音をたどれど空に消え おや蝉の声だ。初蝉だ。 と遠くに聞いたのは半月ほど前。姿は見ないが、多分春ゼミのような小型の蝉なのだろう、声も小さい。 ところが今朝はもうクマゼミが何匹か鳴いている。クマゼミは、午前中のわりに早くから鳴いて、その後…

木の実たちの夏3題(サクランボ、青葡萄、梅)

サクランボ無垢という罪深きもの (器は、石見の国温泉津の森山焼。 先日窯まで行ってきました) 少年の前歯するどし青ブドウ (軒先のデラ。今日から袋かけ、これがまたひと手間) 干し梅に添い寝の人も熟れていく (今年は梅が不作だそう。何とか手に入れ…

柚子坊のひっこし

祝昇格きのうは糞できょう柚子坊 (中央の葉にちょこんと付いているのが柚子坊:今朝) 昨年の冬に鉢植えした柚子の苗が、みずみずしい若葉を広げ始めた。 とおもったら、アゲハの幼虫が二匹、ちょこんと付いているのに気がついた。 まだ写真(下)のような…

ブドウの芽を食べる

木の芽晴れ一枚ぬいでまた一枚 (欠いたブドウの芽) ブドウの芽が、あれよあれよと言う間に写真のように大きくなってしまった。芽は多すぎるので、あったかい日差しの下、芽欠きをした。次第に暑くなって上着を脱ぐ。 軒先に這わせている日よけ用のデラウェ…

若葉があまりに美しいので3句

わかかえでかきわかば神さまのえのぐ 柿わかば光も風もほしいまま いたいけなときは短し樫わかば

イタドリを食べてみる

痩せワラビ一把で足りる今日の酒 (いたどり:写真で見ると細い感じだが、これでまあまあの太さ) 半月ほど春風邪に悩まされ、久々に堤防を歩くとやっぱり季節は進んでいる。一面にマツバウンランの薄紫が風にそよいでいるし、柿の葉のみどり、新茶のみどり…

春の餓鬼

木の芽喰う我は猿なり毛のうすき (タケノコ大きいけれど、柔らかい) 一昨日コゴミをいただいたので、茹でて一杯。 昨日は、庭のタラの芽がいい頃合いなのを思い出して、摘む。あわせて蔓延ったユキノシタを5、6枚と蕗も適当に生えているので、ちょっと細…

虫つるむ

のどかさや日がな一日虫つるむ 気がつくと、庭に出て草取りをしている自分である。 草をとるといっても、鎌で刈るような大げさなものではなく、一ヶ所に腰を下ろしてぼんやりと目の前の小さな雑草の芽をむしる程度。ただぼんやりと春の日と風と匂いに浸って…

馬酔木散るほろろ

馬酔木散るほろろほろろと暮るるまで (もう花柄になった馬酔木) 今年も庭のアセビが終りになった。1月末から咲いて2ヵ月半。花の少ない時期にずいぶんと楽しませてもらったし、春先にはメジロやヒヨに蜜を与えておおにぎわいの食堂ともなった。 毎年、花…

啄木のヤナギ

やわらかに啄木泣くなり川柳 堤防を歩いていると、日々、ヤナギの色が濃くなっていくのが分る。数日前までは幾分みどりや黄色がかってぼうやり膨らんできたなと思っていたら、もうしっかりした色になっている。ヤナギにもいろいろ種類があるようで同定が難し…

3.11

荒浜に今日は海哭け春ならい 三月のあの日の前や春の波 (仙台市の荒浜の被災地で 海岸の松林が残っていた(2013.05)) 「3.11」 改めてあの時の津波の映像を見直して、改めて、慄然とした。正直いまだもって、あの映像の前では、茫然自失する。 原発処…