またイチョウのことなど

銀杏散る本堂奥に涅槃仏

 

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hitokoto2020さんからいただいたコメントの情報からイチョウの大冒険」という絵本を知って、早速図書館から借りてきた。

なかなか優れた本で、日ごろいろいろ疑問に思っていたことを知ることができた。

イチョウは絶滅しかけたが、わずかに中国に生き残った古代生物であること。それが日本に伝わり分布を広げ、江戸時代に長崎に来たオランダのケンペルによってヨーロッパに知らされ、彼の死後1727年に苗木がオランダの植物園に植えられたこと。イチョウはオランダからイギリスへ、そしてフランスへと急速に広がったこと、したがってヨーロッパのイチョウは日本のイチョウの分身であること、そして今皆に愛されていること、などが実にわかりやすく書かれている。作者はアラン・セールというフランスの方のようだが、蕪村の句や広島の被爆イチョウのことまで触れていて、日本への並々ならない関心が伺える本だった。

ありがたい情報に感謝である。

 

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静岡県の巨木」(静岡植物研究会発行)という本を開いてイチョウのデータを見ていたら、近くの寺にイチョウの巨木があることを知って、早速行ってみることにした。

寺は静岡市沓谷の蓮永寺。ここには家康の側室であったお万の方の墓や勝海舟の母親と妹じゅん(佐久間象山の妻)の墓もある古刹である。私も何度か訪れていた寺である。

件のイチョウは、幹周囲が377㎝で太さ順位では県内60番ほどだが、樹高は42mで県内トップである。気が付けば遠くからでも民家の屋根の上に輝いて見えるではないか。樹勢も旺盛で、晩秋の青空に黄金色に梢を光らせている。この黄金色を見ているとだれしも精神の高揚を感ずるだろう。

またまた目いっぱいに満足感を味わうことができた。

(この本は、1991年発行なので現状は変わっているかもしれません)

 

けれどどうして今年はこんなにもイチョウの黄葉が美しいのだろう。いや、最近は毎年そう思っている気もするが・・・。

ドイツの秋はゴールデンオクトーバーと言うらしい。数年前にツアー旅行で南部ドイツの秋を見てきたけれど、確かにそこでは赤い紅葉は少なくほとんどゴールデン、黄色系だった。しかし気づく範囲では、イチョウのような鮮やかな黄色は見受けられなかった。これもまたなぜか知りたいところだ。