ザゼンソウは残雪の中(サトイモ科:New野の花365日)

やまんばの爪ぬけ落ちてザゼンソウ
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なかなかタイミングが合わなくて見れない花がある。私にとって座禅草がそんな花だった。座禅草は、雪解けの3月末から4月はじめ頃に奥山の湿地などで咲く。しがないサラリーマンはその時期は年度末年度初めでせわしく、花を見に出かける余裕もないのが実情だった。そういう意味では、桜も身近なものしか見たことがなかった。
先日たまたま信州に用があって出かけたので、少し遠回りして座禅草を見てきた。
場所は、大町市の居谷里(いやり)湿原。木崎湖から東に登った山中である。豪雪地帯なので、山に入るとまだまだ雪がたくさん残っていて、雪解け水が沢を滝のようにあふれ落ちている。
湿原にはいると、まだ手入がされてなくて、10cmもぬかりこむ木道には木が倒れたままになっていた。
座禅草は顔を出し始めていたが、色が赤黒いので直ぐにはわからなかった。目が慣れるとあちこちに出ているのに気がついた。感動だった。
苞に包まれている花は、まだ咲いていないのだろうか、色も写真のように白っぽくて、あまり匂いもないし(相当に臭いらしい)、苞に触るとプラスチックのようにポコポコ硬い音がした。
あたりにはまだあちこちに雪が堆く残って居て折からの雨を冷やして一面をガスが深くつつむ。幻想的な風景。木々の芽吹きも始まっていない。まだまだ山は冬だった。
ちなみに座禅草の花は、20度くらいに発熱し、それがために周りの雪を自分で溶かすことができるのだそうだ。こうしたメカニズムはまだまだ解明されていないとのこと。雪と戦う植物なのだろう。