あんずの里(風景の中へ36)

ミツバチとあんずの里を右往左往
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4月3日、あんずの里を訪ねた。長野県千曲市しなの鉄道屋代駅から東に入った山裾の集落一帯である。
ここも予ねてから、一度はと思いつつなかなか見れなかったところである。

前日の情報で、「アンズが開花した」と聞いたので、まだチラホラかな?と思いながら村に入ると、とんでもない。周囲一面が白や薄桃色のアンズの花に埋め尽くされていた。右を見ても左を見ても、アンズアンズである。
4月1日から「アンズ祭り」が開会ということなのだが、まだ観光客は少ない。駐車場もがらんとしていた。この辺りでは桜よりも開花が早く、また花がより明るい。果樹園なので背が低くく、頭上ではなく目の前に咲いている感じがする。花に埋まった集落の中の小路を歩いてみる。心なしかどの家もどの家も幸福そうに見えてくる。のどかで平和である。ついつい「桃李成蹊」なんていう熟語を想起してしまう。

時折家の屋根を越すような高い木もみえて、紅の濃い花をたっぷりつけている。村の人に伺うと、これらは古くからの原種の木で、実も小さいらしい。昔はこうした木が各家にありそれが今日のブランド化の礎になったのだという。果樹園で咲いている花は白っぽく薄く、木も剪定されて低木一列である。
一目10万本といわれる上平展望台まで上って見ると、地区が一面の花に覆われ、まさに桃源郷の風情。遠くに青く見えているのは北信五山の飯縄山だろうか。絵になる風景だ。

元禄時代宇和島から嫁いだ豊姫がもたらしたという言い伝えもあり、栽培は古いようだ。千曲市合併する前の更埴市はアンズの生産が日本一であったという資料もある。
アンズはこれから受粉して成熟し、6月には収穫時期を迎える。花も実もあるとはこのことである。
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