フキノトウ燦燦ー2

ふくからにむべふきったまといふならむ
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フキは、春の七草に入れてもらえなかった。調べてみたが万葉集にも登場しない。和歌にもあまり歌われなかったのではないだろうか。だから、「春の野に出でて若菜摘む・・・」の、「みこ」には、入っていなかったのかもしれない。
シーボルトのいろんな目録にもなさそうだし、牧野富太郎柳田國男も特に取り上げているようには見えない。(私が読んでないだけか) ということで、先日掲載した宇都宮貞子さんの記事が、私には唯一のデータである。
 
こんな春の代表的味覚のフキが、何故?と思うが。
それは、東国のヤマガツの食べるものだったのだろうと、私は勝手に考えている。この食文化は昔、蝦夷と呼ばれた人々の、東国の縄文文化の採集生活のはるかな残骸なのではないか、と。そして西国では見向きもされないただの草だった。
 
だが、「ふき」という音は、日本語ではきわめて重要だ。以下思いつきで言う。
「吹く」、「噴く」は、中からエネルギーが噴出し、空気の流れが引き起こされる状態を言う言葉に違いない。フは唇を通る風の音である。ふきの「き」はなにか?それは大地生成の神聖不可思議なエネルギーをしめすもので、のちに当てられた漢字では、気、木などになるのだろう。黄色のキもそうかもしれない。創世神話の神「イザナキ」「イザナミ」は、キが男性、ミが女性の意であり、キがちからを意味しているという。「息」は f が i に入れ替わったもので、やはり人の呼吸が命のみなもとであることを伝えている。これらは古代からのいわゆる大和言葉の重要な語ではないだろうか。
 
早春にようやく暖まってきた大地から、ふつふつと芽吹いてくる黄色い芽。これは大地のエネルギーの化身にちがいない。だから、フキなのだ。北に行けばコロポックルの童話にもなる地の命の力のビジョンなのだ。