閑居して不善も為さず暦果つ
暦を新たにする。
身の回りだけ、ざっと掃除も済ませた。庭のナンテンを3本切って、玄関に活けた。数少なくなった年末の仕事である。
年末の俳句は、一茶が似合わしい。あなた任せだし、中くらいだし。私は下だけれど。
つましい生活にはつましい喜びしか訪れてこない。その小さな喜びを火種のように大事にして暖まる。
今年やったことと言えば、句会の句集「パンデミっ句」を作製したこと。これは5人の句友に喜んでもらえたかな。それと自分の句集、2019年の句をまとめた「植物的細胞記憶」と2020年の「現青人草」の2冊を作製したこと。これは日記的個人備忘句集。
シューベルトのピアノソナタ19番ハ短調の第4楽章をリピートして、ずっと聞いている。走る仔馬のようなさわやかな悲しみの中に、若さと明るさがたまゆら顔をみせ、また悲しみの影が横切る、時雨のような繊細さ。これもまた年の瀬に似合わしい。
シューベルトのピアノソナタは長ったらしくて飽きるので、私は時おり4つの即興曲を聞くくらいなのだが、「全楽章聞かなくても、1楽章だけ取り出して聞いていればいいんだ」、と思いついた。そうしたら、何と新鮮に耳に入ってくることか!