2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「時雨」連想―2

塾に行く足渋らせる時雨かな 「さんさ時雨」は誰もが知る東北の民謡。伊達政宗の作という風説もあるが、事実はそんなに古くはなく江戸の中期以後、京都以西で唄われた恋の流行唄が伊達領一帯に移入されたものという。*3 とすると、「しぐれ」が好きな芭蕉…

音楽ストリーミングサービス なるもの

冬籠りこのスピーカーとも五十年 (探すに一苦労の雑然としたCD棚) IT音痴の話。 息子が家に来て、積み重なった私の本棚やCDの棚を見て言う。 「親父が亡くなったら、俺がこれを処分するのか?」 まあ多分そういうことだろう。と、私は心の中で思う。 そ…

思い出のCD(アンナー・ビルスマ)

貧しきは幸いなるか聖夜凍む 古楽演奏の大家、アンナー・ビルスマが今年亡くなった。ピッコロチェロという小型のチェロを弾き、さわやかな演奏を聴かせてくれた。 私は彼のCDを2,3枚持っているだけで、熱心なファンという訳ではないのだが、忘れられな…

「時雨」連想ー1

照る翳る降りみ降らずみ谷戸時雨 (太平洋側だが、時雨雲らしい) 「時雨」という言葉は、人気がある。深まりゆく秋の山河や濡れそぼつ旅人のイメージを喚起して、日本人好みなのだろう。私も上手く使ってみたいと予て思っている。 たとえば、山頭火の「草木…

ベートーベンの「寒月ソナタ」

寒月や隠れ処無し樹も我も 煌々と月が照っている。今宵は満月で辺りも異常に明るい。世界がくっきり見えている。 疑うらくはこれ地上の霜かと これは李白だったが、今夜の月はこんな詩を思い起こさせる。確か李白は、 頭をたれて故郷を思う のだったはずだ。…

錬金術でユズ黄金

黄金柚子錬金術師も苦笑い 小さいポットに植えたヒメユズが20個ほど色づいてくれた。それにしても、緑色の小さい実が立派な黄金に成長してきた様は、見事としか言いようがない。西洋中世の錬金術師も斯くやと思われる。 ひとつ採って味見をしてみたら、い…