New野の花365日

ヒトリシズカが来た

起きるよりヒトリシズカを幾たびも ヒトリシズカがようやく咲き始めた。「造化の妙」についついみとれてしまう。 はじめは赤黒い太いマッチ棒のような茎が慎重にかおをのぞかせて、よく見るとその先はこれから開いていく葉であって、中に白いものがちょっと…

芽吹き 3様

ふくぶくと吹いて膨れろ草芽ぶけ 3月の光はやっぱり強くて暖かい。 この日射しをうけて、草の芽たちもどんどん膨らんで土から顔を出してくる。 これはヤブレガサ。もう少し経てば名前のとおりの姿をした葉を開いてくる。まだ傘をたたんだ状態だが、いかにも…

春が隣りまで

梅の香やほのかに寒肥も混りたる 近くの日当たりのよい山すその梅が、もう満開と言っていほど咲き誇っている。春がもう近くまで来ているようで、今日も「春隣り」という季語を実感させてくれる陽気。 寒とはいえ今年は暖冬で、ここ静岡は(私の家では)まだ…

草紅葉いろいろ

土もまた滅びを詠う草紅葉 これはタコノアシ(タコノアシ科) まるでゆでだこの足の吸盤に見えるところが面白い。素晴らしい赤。沼地や休耕田などに生えていて、いいアクセントになる。遠景は富士山。 これはタウコギ(キク科)たんぼにしばしば見られる草で…

セイダカアワダチソウの昨今(キク科)

泡立草美し 瑞穂のど真ん中 セイダカアワダチソウの黄色い風景は、もう見慣れてしまって驚くこともなくなった。むしろこれが無かったら秋の風景が寂しいとさえ思われる。それはセイダカアワダチソウが、爆発的に繁茂した頃と比べて幾分数が減り、風景全体で…

オケラが咲いていた

この山に再来(く)ることありやオケラ咲く (オケラ キク科 不機嫌なとっつきにくい花だ) 久しぶりの信州行き。長野市浅川の市営墓地にある義父の墓を訪ね、花を手向けてきた。コロナ自粛を経て10年ぶりにもなるだろうか。 墓地は善光寺から北に向かって2…

曼殊沙華 赤と白

曼殊沙華白く咲かせて色懺悔 人差し指ほどの茎が伸びてきたなと思っていたら、すぐに花が満開になった。彼岸花の名のとおり、暦通りにやって来てくれるのが、うれしい。 暦の名前と言えば、セツブンソウ、半夏生、八朔などがすぐ思いつくが、最近花の時季が…

草の花 

雑草も今朝は秋草庭一面 庭の植物は今年の異常な暑さには参ったようで、いろんな優しい花は溶けてしまっている。雑草たちは、手入れをされないので伸び放題。雑草なのだが、この季節になると、やさしい慎ましい花をつけ、愛しさが増すので、「雑草」から「秋…

炎天の浜を歩く

炎天や漁船も雲もただ白し あんまりにも暑いので、意地になって、海を見にいった。 焼津の石津浜である。近くには小川漁港がある。 この付近の浜は小泉八雲が夏になると家族を連れて遊びに来ていた場所で、「乙吉だるま」という短編も残している。浜は松林の…

蓮見には暑すぎて

白蓮も悟りて散るやしどけなく 近くの沼に蓮がたくさん咲いている。 早朝に見に行こうと考えていたら、今日ももう10時を回ってしまった。気温もどんどん上がり30度に近い。ハスの花見は朝早くというのが相場であり、午後になると花は閉じ、数日開閉を繰り返…

牧野富太郎展 または菫(スミレ)はセロリ

来世はエノコログサでも良しとせん (博士の東大助手の頃 明治33年:本と標本の山) NHKテレビの連続ドラマで、牧野富太郎博士がテーマになっている。これにちなんで、かどうか知らないが、静岡県立の「ふじのくに地球環境史ミュージアム」で牧野博士の企…

朱い夏

鬼百合や弾け咲く瞬(とき)今朝も見ず 雨が上がった朝、ぱっとオニユリが咲いた。今年は玄関近くのプランターや花の鉢から茎が20本ほど立ち上がっている。自然に増えたものだ。二三日したら花が10個以上になってきて賑やかになった。豪快で気分がいい。アゲ…

マツバランをみつけた

万緑やわれまた植物細胞を持ち 日陰を探して、山の農道に車を停めてぼんやりしていたら、脇の石積みに変なものが目に入った。初めて見るもので、花なのか枝なのか何だか全く見当がつかない。まわりはツタや花の終えたテイカカズラなどが繁茂していて、その隙…

「半夏」生と「半夏生」

半夏生白さは私の病気です 七十二候に半夏生(はんげしょう)がある。七月初めの5日ほどを指している。 で「半夏生」という草だが、ドクダミの仲間で葉の一部が白くなる特徴がある。わが庭にも病的な白い葉を何枚か光らせていて、異常に目につく白さである。…

キキョウソウの仲間たち(キキョウ科)

振り向かずただ夏野行く二人かな 梅雨に入ったという夕方、散歩していると道の脇にキキョウソウを見つけた。 紫のぱっちりした花を数個つけて、茎はまっすぐに30センチ以上も立ち上げている。花の大きさは1.5㎝くらい。茎の下部に見えているのは閉鎖花と…

エビネに出逢う

空山に人語の響きエビネ咲く エビネを見にいかないか、と友人に誘われて、野生のエビネを見にでかけた。彼は昨年たまたま近くの山を歩いていて、花に出くわしたのだそうだ。 「もういい頃だと思うけど、咲いていればいいんだが」 と心配そうにしている。山の…

かきつばたと牧野富太郎博士

かきつばた少年愛は院の中 藤枝にある田中城跡に、カキツバタを見に出かけた。 この城跡は、現在は学校敷地となりおもかげは少ないが、その一部の下屋敷跡が整備され、本丸櫓や茶室なども移築されていて、わずかに歴史を偲ぶことができる。カキツバタが咲く…

花の三月尽

名草の芽空を恋うるや空を指し (ヒトリシズカ) 今年はまた一段と花が早い気がしている。 気象観察の資料として庭の花などをメモしておく。 アマドコロが数日前に芽吹いてきた、と思ったらもう咲き始めた。ヒトリシズカは満開。ニリンソウもほぼ満開。タン…

草の芽 五態

地球いまこの一粒の芽生えかな 草の芽が躍動している。 日当たりが遅い我が家の庭にも、ようやく芽生えがやってきた。草の芽は、土の中で蠢いて騒ぎ、もがいて外に出て、始めはあれッという感じで大人しいが、すぐさま遠慮なしに伸び始める。その顔を見てい…

野花の苗

花の芽に世界のことなど希みかけ この時季は花屋さん、苗木屋さんをのぞくのが楽しい。 ポット植の南高梅が昨夏に急に枯れてしまったので、もう一度ウメを植えたいなと思って、きょろきょろしているのだが、それ以上に色々な花々が鮮やかで思わず知らず見入…

早咲きサクラと小泉八雲

初サクラいざ生きめやもこの朝(堀辰雄風に) カワヅザクラは、ピンクが鮮やかでとても早咲きだ。近所にもたくさん植えられていて、1月の半ばから、もうちらほら花が見えてきた。その中でも特に早い一本があったので、写真を撮ってきた。盛りの時季よりはま…

赤い実と白鳥の沼

赤き実のことさら赤き年の暮れ 近くの沼の周辺をぶらぶら歩き。襟を立てポケットに手を突っ込んで。鼻を啜りながら。 陽が西に傾いてきた。自分の影が長い。 路の脇に、ヘクソカズラの赤茶色い実が見えたので、引っぱって取った。茎は結構しっかりしているか…

ミゾソバやタコノアシなど秋の沼

みぞそばの瀬を跳びかねて遠回り 近くの沼を散歩していると、ミゾソバが満開だった。見れば見るほど砂糖菓子のようで可愛い花である。 みぞそばや金平糖のお姫さま こんな句が出てくる。 サクラタデはもう終わり。今年は台風15号の出水で花の時季に泥かぶ…

壱岐対馬の野の花をちょっと

対馬海流のお陰で暖かいのだろう、壱岐対馬の森はシイなどの照葉樹が目立った。それは伊豆などに似た雰囲気だった。対馬の金田城(257m)にシイの実を踏んで上ると、眼下には絶景が広がっていたが、陸地は文字通り一面の山と森林で、素人の私の目にはスギな…

すすきの穂が出て

穂に出でて風におどろくススキかな ススキが美しい季節だ。 一つ一つの穂花もいいし、群生して風に波打つのもいい。古来日本人がこの姿を愛でてきたのも納得できる。しかも屋根をふくにも欠かせないものであればなおさらである。 枕草子64段は知る人も多い…

山芋が花鉢から採れた話

山芋の蔓枯れてあり掘りてみん とんでもないところから、山芋が見つかった。 鉢植えの蔓バラが最近あまり咲かないので、整理しようと思って鉢から抜くと根がびっしりと回っていた。ところがその一番下に太い白い根がとぐろを巻いている。変な根だなあ、と思…

キツネノカミソリ (ヒガンバナ科)

キツネノカミソリが咲いている、という新聞記事を見て重い腰を上げた。 場所は高山という市民の森で、静岡市街地から小一時間ほど。標高700mの山頂は広場になっていて、立派な山桜が一本枝を張っている。眺望も素晴らしく静岡市街、駿河湾、そして遠くに富…

ヤブカラシ (ブドウ科)

変電所立ち入り禁止ヤブカラシ 世界は異常な暑さ。日本もまた同様で、連日猛暑日だ。 この暑さで、我が家の梅の木も葉が全部落ちてしまった。ブドウもどんどん枯れて落葉している。しかし野原のクズやヤブカラシは平気そのもの、しっかり蔓を伸ばしている。 …

蓮をみる一茶

オモダカもハスの盛りに咲きけるを (オモダカ) 蓮を見に、朝食を済ませて直ぐに出かけた。車で5分ほどの沼地。 このところ極端な暑さなので、とても蓮見に行く余裕などがなかったが、今朝は雨模様で幾分涼しい。 午前中の花は、やはりきれいだ。 蓮の花は…

狭庭の花レポート

青簾富山の風鈴蚊遣り豚 (ウツボグサ シソ科) どうやら梅雨に入ったようだ。今日も昨日も雨。 句は、夏になると出てくる定番の小物たち。富山の風鈴は、かつて高岡市の万葉歴史館を訪れた折にそこで買ったもの。 庭には、ウツボグサが咲き始めた。キキョウ…