苔青し富士の腐海に迷い込む 6月の末、第2回の古道歩きをした。 前回の終点、大渕林道の1200m付近から天照教社、標高1000mまでの比較的短距離である。 西臼塚の駐車場に車を止め、ここから大渕林道に入る。なだらか下りの林道を約20分、林道と村山道の交…
倒木も屍骸も溶かし苔茂る 先日歩いた(下山した)富士山村山道は、苔の道だった。その美しさは独特だった。火山のスコリアは保水能力が低く植物が生えるには厳しい環境だが、苔のお蔭でたくさんの植物が生存できる。 そんな道の脇に見えた小さい野草をいく…
青富士の青を一歩一歩かな (「富士山自然休養林ハイキングマップ」(富士山自然休養林保護管理協議会)に加筆)富士山自然休養林保護管理協議会 自然休養林保護管理協議会士山自然休養林保護管理協議会 富士山の「村山口登山道」という古道を友人Eと歩いて…
ミサイルもホタルと同じに光るのね 6月からすでに40度近い静岡市。人間が家に籠って熱中症がどうのこうのと言っている間に、虫も植物もわがもの顔に繁殖している。 ホタルの季節だが、テレビで映し出されるテヘランやキーウの夜空に光り飛び交うミサイル…
(静岡市の「手児の呼坂」周辺 :ひどい地図だが、私の能力はこんなもの) ①江戸時代の東海道 ②歓昌院坂ルート 古くからの間道 ③奈良時代辺りの東海道か ④奈良時代古代東海道、道幅約9m(両側側溝を含めると12m)の道路遺構が約350m発掘された(図…
(下調べのメモなので、あまり面白くありません。悪しからず。) 梅雨荒れて踏み跡細き古道かな 県立図書館からのリファレンス回答に「「ふるさとの東路」―知られざる万葉の道」が紹介されていたので、さっそく手にしてみた。著者は静岡市丸子(地元)の方で…
(下調べの個人メモなので、あまり読んでいただく意味がありません。悪しからず。) (呼坂の乗越にある看板。ここには、紫式部が歌っていると書かれている?・・・。また万葉集に3首とされているが、私はまだ2首しか見つけていない) 中西進 さんの 万葉…
九つの人九つの場を占めてベースボールの始まらんとす 正岡子規 ( 棒(バット)を手にする子規 ) ( 子規の和歌は、9人の選手が守備について、プレイボール!という意味。明治28年の作なので、130年前のことになる) 長嶋茂雄さんが亡くなった。時代が移り…
ヤブレガサ降っても晴れても知らぬ顔 ヤブレガサの花が咲いた。まだ5月なので早い、もっと盛夏に咲くものと思っていた。 小さい芽を植えてから1年目は葉が1枚、2年目は2枚になって、3年目に花茎が6,70cmほどに伸びて花がついた。 ゆっくりだが着実、そ…
寝聡さや夏あかときの東歌 (ねざとさや なつあかときの あずまうた) 「万葉集はいいね」なんて言うけれど、実は有名歌を拾い読みするだけで、通して読んだことはない。なにしろ4,500首ほどあるので、通読はなかなか難しい。 いつも天皇や人麻呂、家持の歌…
風青し風吸いこみて空となる (5年前の花: おもいきって地味な蘭なので誰も振り向かない) 静岡市を流れる安倍川は勾配が急な川だが、そこに注ぐ支流も急で、各所に小さな滝がある。 1週間ほど前、家からさほど遠くない「鳴沢の滝」という小さな滝に出向い…
草取るやくさぐさのこと想ひつつ せまい庭だが、田舎なのでいろいろな草が訪ねてくる。居座るのもいるし、すぐ消えるのもいる。招かれざるもあり、珍客もある。 (コナスビ 花は7・8ミリ) 今日は珍しい草が来たので、メモしておく。 一つは、「コナスビ」…
若葉雨ジブリのCD聴きながし 小雨の農道に車を停めると、まだ起こしてない田んぼは一面に草が伸びほうだいだ。その中にアキノウナギツカミに似た花が目に入った。 おかしいな?まだまだ時期が早すぎる。 と思い少し濡れながら近づいてみたが、見た目はウナ…
茶摘み待つ一芯二葉や富士の下 混んでいるだろうな、とは思ったが、せっかくの連休なので富士山の麓まで行ってみようと車を出した。天気もいいし風も爽やかだ。 ところが 国道1号バイパスに乗るとすぐに 渋滞。10キロ先の清水インターまで小1時間かかって、…
老いの喉 山に唄えば山笑う (先月の写真 山桜の時季) いつも散歩に行く山道を歩き始めると、 おや、懐かしい匂いが漂って来る。ミカンの花の香りだ。もう5月だ、早くもミカンの薫る季節になった。 この山道は 新東名のルート確保のために山を削って付け替…
春闌(た)けて花むらさきを深めけり (タチツボスミレ:と思われる(スミレ科)) 春先は白と黄色の花が目立つのだが、野草たちにも幾分余裕が出てきたのだろうか、紫の花たちが咲き始めた。庭や野原の花たちをメモしておこう。 上の写真はタチツボスミレ。…
山霞熊も目覚める奥信濃 (高橋喜平「雪国動物記」の挿絵から) 4月9日午後、長野県の北端にある飯山市に熊が出て、 3人が負傷したというニュースが入った。昨今はクマの事件が多いが、これにはびっくりした。現場は私の故郷で、しかも私の生家から2キロと…
トランプ大統領の就任以来世の中が 世界がバタバタしてきた。 政経にピントが悪い私だが、やっぱり大きな価値の変動が起きていると感じる。 ロシア ウクライナ調停しかり、欧州の再軍備拡張、米中経済戦争、米中覇権争い、グリーンランド、 パナマ運河、イー…
久々の雨となった。今治や岡山の山火事が鎮火してくれればいいが。 有名な秋田民謡「長者の山」には、山火事=野火がうたわれている。 ♪ 山さ野火ついた 沢まで焼けるな なんぼか蕨コ さあさ 惚けるやらなあ 山火事を見ながら蕨を心配している。山火事は当然…
永き日や花屋の前の人だかり このところの高温はやはり異常だ。静岡では25度を超え初夏の陽気が続いている。草花もあわてて一斉に芽吹きだ。 (3月13日) (3月24日) 我が家の庭の芽吹きで面白いのはヤブレガサ。ヌボーと白い毛の頭が土から出てき…
其の腰で夜も竿さす筏乗り 卍(北斎) 断捨離をしていたら、読まずに積んであった「北斎川柳」という冊子が出てきた。日永の一日、改めてこの冊子をひらいてみた。 あまり知られていないと思うが、葛飾北斎は川柳をよくしている。 変わったことに、この本は …
人間(ひと)よりも逞しと知る名草の芽 (ホトトギスの芽生え いい色をしている) 3月6日に、初めてウグイスを聴いた。初音、というのだろう。まだたどたどしい。 ようやく春を感じられるようになった。朝方に寒さはあるが、真冬の底冷えとは違う。日が射…
山城の曲輪閑かに冬日射し 先日、友人Eと藤枝市にある花倉城(葉梨城とも)跡に登った。標高は300m弱で、登り口からへたへたと1時間15分、尾根に拡がるミカン・お茶の畑の農道を歩く快適なコースだった。が、脚力が落ちた。 最後のきつい登りをやっと踏ん…
梅の香や花に隠れて富士の嶺 (富士市岩本山公園 梅の名所で富士山もよく見える) 紅梅とは花弁の色が赤いものをいうのだと思っていたが、実はそうではないという。木を伐ったときに幹の内部の木質が赤い色をしたものを紅梅、白いものを白梅というらしい。と…
(この机でゲーテは立ったまま詩などを書いたという。ゲーテハウス(フランクフルト)) 友人Fからのメールで、今期の芥川賞は鈴木結生さんの『ゲーテはすべてを言った』だと知った。友人が「西洋の教養、哲学、文学史的知識がいたるところに振りまかれ、勉…
冬枯れと言えど駿河は茶の緑 (安倍川と新東名が見えている 良く管理された茶畑が美しい) 友人と連れ立って、静岡市背後の低山を貫く林道を歩くこととした。ありがたいことに寒波が一段落して、暖かい好天となった。その単純なメモである。 林道は「俵峰門…
福寿草 花屋の春のど真ん中 寒波の後の陽射しが暖かいので、ふらふらと花屋に入りついつい福寿草を買った。 小さいポットなので、すぐに大きな鉢に移す。直径30センチ、深さ30センチくらいの素焼き鉢、これくらいあれば一年くらいはいいだろうと考えた。…
春を待つ逝くに逝けない老夫婦 先日、永年付き合ってくれた先輩が亡くなった。ここ数年は年賀状やりとりだけになってしまっていたので、まさか、と虚を衝かれた。葬儀中には彼とのいろんな思い出が脳裏に湧き上がってきた。彼は半年ほど病床にあり、ご家族に…
それぞれの宇宙樹めざす芽生えかな ムサシアブミに芽がやってきた。例年より半月は遅い感じだ。 昨年の夏は暑かったし、実を言うと結構陽ざらしにしてしまったので、「まずいなあ、駄目にしたかな」とおろおろしていたのだった。今日数えると、芽が8つ出て…
年ごとに穴浅くなる寒肥かな 軒下ブドウの剪定をした。 たいがいの細枝は切り落とし、伸びてほしい方のは少し残す。まったくの我流だが、毎年しっかり枝葉を茂らせ、実をたくさん付けてくれる。この生命力には驚く。先年、確か春先に邪魔な枝を落としたこと…