2016-01-01から1年間の記事一覧

第九の初演と石橋・・・ドイツ捕虜の遺産(大麻比古神社周辺)

年の暮歓喜の歌にも老い独り 年末にはベートーベンの第九と相場が決まっているが、第九が日本で初めて演奏された場所が、先日参拝した阿波の一の宮「大麻比古神社」の近くである。鳴門市大麻町坂東に、現在ドイツ村となって観光客を集めている。 (「バルト…

阿波の一の宮「大麻比古神社」とは

大麻比古神社 (阿波国) 所在地 徳島県鳴門市大麻町坂東字広塚13 ご祭神 大麻比古大神 猿田彦大神 参拝日 平成28年12月 お遍路ブームもあるので、四国では寺院が繁栄する一方神社が寂しいのではないか、と思いつつ阿波一の宮に向かった。というのもここには…

讃岐の一風変わった一の宮「田村神社」

田村神社 (讃岐国) 所在地 香川県高松市一宮町286 ご祭神 倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)、 五十狭芹彦命(吉備津彦命)、猿田彦命、天隠山命、天五田根命 の五柱 参拝日 2016年12月 とにかく猥雑な何でもありという感じのする、一風…

コレッリとバッハのクリスマス曲

キリストも仏陀も孔子もマホメットもみなかき混ぜて大銀河あり クリスマスですね・・・ (オーケストラ・スプラウトさんのステージ) 24日に、アマチュアのリコーダー演奏団体のコンサートにでかけた。なかなかどうして、立派な演奏だった。 演目にコレッリ…

土佐一の宮は質実剛毅だった

土佐神社 (土佐国) 所在地 高知市一宮しなね2丁目16-1 ご祭神 一言主神(ひとことぬしのかみ) 味鉏高彦根神(あじすきたかひこねのかみ) 参拝日 2016年12月 冬の朝、雨あがりの神社を訪れると遅い紅葉は今が盛りでしっとりと美しかった。周囲の木々も大…

戦争遺産「掩体」を土佐に訪ねる

戦争は燃えさしのまま南風(まぜ)強し 「白菊」の枯れて戻らず土佐の空 (「白菊」は海軍の練習用飛行機の名) 掩体(えんたい)とは、戦時中の戦闘機の格納庫のこと。 20年ほど前に目にした奇妙な光景が忘れられなくて、高知県南国市の海岸近くに向かった…

淡路の一の宮へ

伊弉諾神宮 所在地 淡路市多賀740番地 ご祭神 伊弉諾大神、伊弉冉大神 参拝日 平成28年12月 明石海峡大橋を走っていると、まるで空をゆくような気持ちになってくる。そんな浮ついた気分でいやに明るい感じの淡路島に入った。本土とは何かが違う気がする。け…

若冲の墓に詣でて

笑いつつ羅漢埋もれる落ち葉かな 伏見稲荷へ詣でてから近くにある石峰寺に寄った。大きい寺ではない。 斜面の窮屈な家並みの中に寺の看板と標石があり、そこからきれいに清掃された石段が続いていて、それが参道になっている。両側の植え込みには南天が真っ…

讃岐富士にのぼりました

秋深み野火の烟りのたなびきてのどかにおわす讃岐の富士は (丸亀城からみた讃岐富士) 四国に足を踏み入れるたびに、この山のもつ独特なのどけさに迎えられ、私はいつしかこの姿を見るのを喜びとしていたようだ。車窓にあっても目はいつもこの山の姿を探し…

静岡浅間神社で神の遷座を見学する

御遷座を見下ろし銀河冴え冴えと 静岡の通称「おせんげんさん」にある神社の一つ、大歳御祖神社(おおとしみおやじんじゃ)は、3年前から外部の漆塗り替え工事が行われていて、このたび竣工となった。そして12月3日に仮殿の境内八千戈神社から本殿に戻られる…

浅間神社の化粧直しを見る

神やしろ大棟たかし冬の鵙 静岡浅間神社の境内社である少彦名神社の、外装(漆)を塗り替える工事が行われていて、その見学会があると聞いて参加してきた。浅間神社は、東海の日光と呼ばれるほど豪華であるが、1800年代初めから50年ほどかけて徳川家によって…

万葉集のモミジは黄色?

散り敷いてさあ踏んでください山紅葉 少し足を伸ばして浜松市の浜北森林公園へ紅葉を見にいった。広大な自然の森がひろがり、標高は高くないがまあまあの紅葉がみられた。鮮やかな色の葉はいずれもカエデの仲間であろう、その赤、紅、黄の微妙な配色の世界は…

柿を干せば

柿吊るすミロとマティスの青い空 今年もわずかばかりの柿を剥いて、ベランダに吊るした。もちろん柿は好物だが、こうして手間をかける、その手間がまた楽しいのである。二日ほどして揉んでみたら、もう相当に柔らかい。このところ曇天続きなので、黴ないか心…

放棄地の草紅葉

放棄地や原野に還る草紅葉 わたしの住まいの近くは、古くは一面の沼地が広がり、稲作にも適さない低湿地で、レンコンなどしかできなかったようだ。圃場の整備が進んで、これが立派な水田になり、瑞穂の国らしい風景になったのだが、それは束の間だった。徐々…

富士の高嶺に雪は降りける

里人も息のむ富士のしろさかな (赤人の歌碑 間にうっすらと富士山) 今年2016年の富士山の初冠雪は、10月26日で例年より26日遅くなり、実に60年ぶりの遅さだったとのこと。ただし私は静岡側から9月の末に初雪を見たのだが、このときは甲府気象台での確認が…

暗いところが好き=キチジョウソウ(ユリ科)

暮れ早し吉祥草(キチジョウソウ)は無口なり 日当たりの悪い庭の、その一番悪い場所にキチジョウソウを植えたのはもう10年もまえのこと。地味なのでほとんど気も遣わないでほったらかしだが、しっかり生息している。たまたま庭木の枝を切ろうと木下に入った…

秋ナスの気骨

秋茄子の気骨しみじみと頂きぬ 今年はナスを実によく食べた。ほぼ毎日欠かさず料理をして食卓に出した。 料理? もちろん私の手料理である。(それが料理といえるならば・・・) 揚げびたし、煮びたしでそれ以外は知らない。ナスは吸わせる油や出汁が決めて…

アシもいろいろ(イネ科は苦手4)

取り立てて言うことでもなし葦の花 アシ(ヨシ) アシは古来和歌にもたくさん歌われている。万葉集には50首で、意外だがススキの47首を上回る(尾花、カヤを含む)。数としても多いのは、身近によく目にとまり、簾や屋根など昔の生活には欠かせないものだっ…

タデの花3種

赤ままや野球ぼうずが踏みしだき 3年ほど前、道端に見事に群れ咲いていたイヌタデをみつけ、持ち帰って平鉢に盛り込んだのだが、翌年は周りに逃げ出してしまった。ところが今年、どうした訳か自分の方からその鉢にはいり込んで咲いてくれた。それがちょうど…

「ペンパイナッポーアッポーペン」の妄想的雑感

オッペケペ オッペケペッポー ペッポーポー (俳句じゃないけど、五七五) (滝田ゆう名作劇場6 「小舟の上で」から) 1 オッペケペ オッペケペッポー ペッポーポー これは川上音二郎の「オッペケー節」。明治時代、自由民権をこの節に乗せて主張した。「権…

今度はルノワールのヌード像

ブロンズの裸婦のおいどや冷えきって (「勝利のヴィーナス」 後姿のほうがいい) さて、釧路の幣舞橋で4体の裸婦像を観察してきたので、勢いづいてJR静岡駅南口、バス乗り場に建っている裸婦像を観察に行った。「勝利のヴィーナス」(上)と「洗濯する女…

手塚治虫的「硅素系の生物」ヌード

黒光も守衛も逝きぬ裸婦秋思 ヌード彫刻から、手塚治虫のある漫画を思い出した。記憶を手がかりにネットで探すと「サンダーマスク」というタイトルだった。99%省略して最後の一こま。 宇宙からきた硅素系の生物が美少女に取り付き、彼女は石のような硅素…

イネ科は苦手ですー3(ススキとナンバンギセル)

道の辺の尾花がしたの思ひ草今さらさらに何をか思はむ (万葉集巻十 2270) (秋の草の花) ブログにいただいたコメントに、ナンバンギセルがススキに寄生して枯らしてしまったというお話があった。ナンバンギセルは寄生植物で、ススキやチガヤ、ショウガ、…

イネ科は苦手ですー2 (ススキとオギ)

業平の峠を塞ぐすすきかな (オギの穂のなびき:茎は一本立ち) ススキとオギは区別がつけにくいが、私は、湿地に生えていて、一本ずつ真っ直ぐに立っているものを、まずオギだろうと考えるようにしている。これに対してススキの生えるのは湿地ではなく、ま…

能「羽衣」の説話

清水の三保の松原を舞台に「三保羽衣薪能」が毎年ひらかれていて、今年は第33回となる。友人の誘いで出かけたが、あいにくの雨で能はホールでの開催になった。本来なら三保の伝説の「羽衣の松」を背景にして富士の峰を遥かにのぞみつつ、天女の舞がみられる…

イネ科は苦手ですー1

吹きわたる風いざ立てよ草の絮(わた) イネ科の草は、同定がむずかしい。地味だし、雑草としてはしつこいから、野草が好きな御仁でも敬遠する人も多いのではないか。 ただし、稲、麦は人類を飢えから解放し繁栄に導いた偉大な植物だし、日本人にとってスス…

裸像妄想(釧路の幣舞橋にて)

幣舞に女像四人の裸足冷ゆ (ぬさまいにおんなよにんのすあしひゆ) (「春」 舟越保武 背後はフィッシャーマンズワーフ) 釧路市は人口17万人を超す道東の中心都市で、幣舞橋は市の観光スポットの一つとなっている。橋は釧路川の河口近くに架かっていて、周…

霧多布湿原でカヌー遊び

湿原に鶴を飛ばせてカヌー漕ぐ 霧多布湿原を流れる琵琶瀬川をカヌーで下った。コースは約2キロ1時間程度である。1艘に2,3人が乗って、パドルは1人1本。ゆっくりと息を合わせて漕いでいく。 天気は快晴、風も心地よい。空の青が水の深い藍に溶け込む…

道東の秋の花たちー2

ハマナスの実を掌の夕日かな ハマナス(浜茄子)(バラ科) 花はほとんど終りで、丸い真っ赤な実がたくさん見られた。これはローズヒップになる。また動物たちの貴重な食料でもある。霧多布にはハマナスロードと名づけられた景色の良い道路があり、そこを走…

道東の秋の花たちー1

花御寮お急ぎなされ冬近し 霧多布湿原とその周辺で、もう盛りを過ぎてしまった花たちをフォーカスした。本土ではあまり見ないものがある。北海道にはもうすぐ冬が来る。 シュムシュノコギリソウ(占守鋸草)(キク科) ノコギリソウの変種で、占守島(シュム…