2016-01-01から1年間の記事一覧

コンブ漁を初めてみました

昆布干して鼈甲色の邨(むら)の朝 (干しているうちに色が微妙に変わる) 北海道の道東にある浜中町は昆布の生産量が日本一だという。その町の霧多布の浜でコンブ干しを見てきた。ちょうど台風が過ぎ去ったあとの爽やかな朝だった。以下、垣間見た昆布干し…

鶏頭の句

鶏頭のバケツのままで売られけり (この鶏頭は、花屋のもの。きれい過ぎてイメージが違うね) 朝市で、バケツに無造作に投げ込んだまま鶏頭が売られていた。鶏頭らしい売られ方だ、と思った。句は、子規の 鶏頭の十四五本もありぬべし を意識している。 この…

ツリガネニンジン(キキョウ科)

釣鐘草ジョバンニ目覚める夜の丘 釣鐘型の花は、「銀河鉄道の夜」のカンパネルラを思い出させる。ジョバンニは夜の草むらで目を覚まして町に降り、カンパネルラが友達を助けようとして川で死んだことを、知るのだった。 さて、ツリガネニンジンとソバナは似…

今日はフォーレを

君知るや九月の風に形あり (あまり意味のない写真になってしまった) 迷走台風10号が、東海地方を外れて北上し、その日午後には強い日差しが戻ってきた。しかし吹く風は涼しさを孕み光も黒い影を伴っていた。 庭の木の葉にもう秋らしい光がちらちらし、その…

子規あれこれ 2

「臭いぞな」子規はじっと虚子の眼を見る (子規の描いた糸瓜棚 「仰臥漫録」より) 子規が苦痛と戦い、それに負けずに毎日精力的にものを書いていたのは、想像するさえ悲壮である。そんな子規の下世話ごとを詮索するのはフェアな精神とはいえない気もするが…

エッシャーの不思議

美術館秋の日を閉ざして闇し 「昼と夜」 (『エッシャーの宇宙』朝日新聞社 より) オランダのいわゆる「だまし絵」の画家、エッシャーの企画展を静岡市美術館でのぞいて来た。90点ほどの作品が出ていて有名な絵はほとんど見られ、内容は充実していたし、夏…

子規のツクシ

土筆食う里ありと聞く逃げて来よ 子規の妹、律は二度の結婚をしたものの家に戻り子規の世話に明け暮れた。律の仕事は、看護婦、お三どん、一家の整理役、子規の秘書、書籍の出納、原稿の浄書、にわたると子規は書いている。 そんな妹を苦痛に癇癪を起こす子…

子規の食べた柿・リンゴ

肉体の腐るを哭きて柿二つ(子規を読んで) (子規 果物帖から) 子規の「仰臥漫録」をよんでいたら、子規の食べた柿に、「江戸一」「百目」がでてきたので、先のブログに一応追加しておく。 http://blogs.yahoo.co.jp/geru_shi_m001/65580916.html リンゴの…

せみ時雨

蝉時雨鳴き尽くしては死ぬばかり ヒグラシの涼しい林 熱い家を逃れて、車で10分ほどの林道に行ってみたら、27度で、涼やかな風が吹いていて、good ! 4,5時間ここで昼寝をして、笛を吹いて、発声練習をして・・・あとは蝉のこえを聞いていた。一応、熊が…

ノカンゾウ(ユリ科):子規の写生

カンゾウの花五里四方日蔭なし カンカンの堤防を歩いていると、いつもは見かけないところに、花が咲いて居る。どうやらノカンゾウのようだ。ヤブカンゾウよりも美しく、一服の涼を感じる。 たまたま、8月6日の子規の「病牀六尺」には、カンゾウを写生して…

またブドウを食べられたこと

熟れブドウ獣がたべて我に蔕(へた) (これはまだ青いのに!) 毎年書いているが・・・、7月の末から、ブドウの被害が出始めた。 朝になると、折角の熟れたはじめたブドウが、無残に食い散らかされ、皮だけ下に積もるほど落ちている。我が家のブドウは、軒…

子規の食べた柿は?

山の辺や御陵平べて柿の畑 (奈良山辺の道を歩いて) (やまのべやみささぎなべてかきのはた) 柿の畑をぬう山の辺の道(柿は刀根早生柿の木) 子規の柿好きは余りにも有名である。自分を「柿喰ひの俳句好みしと伝ふべし」と詠んでいる。 では、どんな柿を食…

子規の柿の絵は?

柿食いてなお柿寿しも求めたり (故義母(今井歌子)の柿の絵:使わせてもらいますよ) 子規が草花の写生画をたくさん残したことはよく知られている。病状六尺には、モルヒネを飲んで一時の安静を得たときに病床で嬉々として描いている様子が書かれている。…

俳句あれこれ

たかが遊びと嗤えど呻いて五七五 (いつの間にか歳時記が集まった) テロ、無差別殺人、子殺し・・・。 あんまりにも凄惨な陰湿な事件が多くて、俳句なんかで遊んでいていいのだろうかと、ブログを書く気持ちになれなかった。 けれど 「遊びをせんとや生まれ…

トンボ、アリ地獄、へび等の近況

水蠆(ヤゴ)でありしを不思議ともせず空を翔ぶ 水鉢のすぐ脇で羽化していたから、水槽にいたヤゴなのだろう。どうやら無事に変身を遂げることができたようだ。 かつて水中の昆虫、とくにゲンゴロウが面白くて飼育をしたこともあったのだが、その際に羽化が…

オニユリ・ヤマユリ2題

オニユリを屋号とせしも子孫絶え 堤防からいただいてきた、オニユリがうまく咲いてくれた。堤防のユリは、先に書いたとおり草刈りで、いまは影も形もない。 句は、山あいの部落を走っていたとき、庭に沢山のオニユリが咲いていた家があり、車をとめて見入っ…

お化けキュウリ

キュウリ隠れて一尺五寸の大笑い (私のガラケーと並んで一枚:句はちと大袈裟) ちょっと軒下をのぞいたら、お化けキュウリが2本ぶら下がっていてびっくりした。雨が続いて3日ほど見なかったら、あっという間に大きくなってしまったようだ。もう蔓がたわ…

ヤブカンゾウ咲いて(ユリ科)

ヤブカンゾウ暑き野に暑く立ちたり 毎年この時期になると、堤防の草が奇麗に刈り取られてしまう。驚いたことに、最近は堤防の斜面を、傾いだまま草刈作業する機械が現れて、これがあっという間にきれーいに刈り取ってしまう。確かに効率は、抜群によさそうだ…

合歓の花(マメ科)

花合歓や童の頬にいたぶられ (はなねぶやわらべのほほにいたぶられ) 花のように見えるのは、元が白く、先が紅色の蕊である。これが放射状に噴きだしている。頬にあてるとフワフワッとして気持がいい。 表現しがたいぼんやりした風情は、古来和歌俳句に詠み…

マタタビ白むころ(マタタビ科)

夕間暮れマタタビ白し里へ二里 あれは何の花?と、初めて見る人はおそらく目を疑う。梅雨のころに山道をゆくと、あちこちに白いものが木々一面に広がっているのが見えるからだ。まるでそこに雪が積もっているかのようだ。 これは花ではなくて、マタタビの白…

簡単に花2題(ホタルブクロ、ネジレバナ)

なに容れて蛍ぶくろのうっとりと (小倉遊亀 「花三題「から 昭和60年) 空想の中では、ゾウもカバも、ナマケモノも入っていそうだ。世界中の子供らの夢を入れても、容量は十分にある。空想だから。 ねじれ花父祖伝来の左巻き この螺旋は上から見ると時計回…

ヤマアジサイ(アジサイ科)

アジサイや枯れて恥も外聞もなし (ヤマアジサイ) 私は手まり形ホンアジサイの、ぼってりした脂っぽい容姿よりも、ガクアジサイの、漫画のフキダシのような額がフッと外に飛び出している、あの不規則性のほうに愛着を感じる。 先日、朝市でフキダシのあるア…

びるぜんさんた丸や(処女聖マリヤ)―5

告解(おゆるし)や母微笑めば夏の雲 (ロザリオの聖母:生月島山田地区で最も古いものと思われ、 十字が描かれていないので、 潜伏時代のものと思われるという。) 「かくれキリシタンの聖画」に見た聖母は、乳房を顕わにしてイエスにふくませていた。 http…

アジサイ(アジサイ科)

アジサイの群青絵の具にありません 「紫陽花」と書く花は、白楽天が名前のわからないきれいな花の名を問われて、そのときに名づけたという漢詩がある。この花を、平安時代の源順(みなもとのしたごう)が、アジサイとみなし「倭妙類聚集」という辞書に書き込…

ササユリが咲いていた (ユリ科)

ササユリや甲斐の空堀在りし跡 (色はもう少し紅がある) 葉のスッスッと伸びた姿が、笹に似ているので笹百合と言われるようだ。 先日山梨県南部町の富士川を見下ろす山にあるアジサイ園に行ったら、駐車場の近くに保護されたササユリが何本も見られた。薄日…

びるぜんさんた丸や(処女聖マリヤ)―4

天草や夕焼けて番う空と海 (天草市有明: 道の駅リップルランドの夕焼け 2014.05) 今回の熊本大地震は大分付近にも飛び火して、震度4クラスが何度か発生している。400年前の1596年9月6日、やはり大地震が発生し大津波によって府内(いまの大分市街)は…

笹もちのかおり

笹もちや父祖伝来の石の臼 奥信濃の妹から「笹もち」が届いた。この頃では珍しい食べ物になったが、現地ではスーパーで売っているのだそうだ。さっそく焼いて食べると、笹独特の香りが香ばしくて懐かしかった。 さて半世紀前の話だが、村では田植えが済むと…

シャラまたは夏椿(ツバキ科)

落ち沙羅や女人成仏なり難し 下草に落ちたシャラ 夏椿(シャラ)が、また贅沢に咲きはじめた。 一日花だから、「まだもったいない」と思えるほどしっかりした花が、ぼとぼとと落ちてしまう。落ちてからも1,2日はそのままの姿で、かえって艶かしい。それが…

びるぜんさんた丸や(処女聖マリヤ)―3

破天連は呪いか真言(まこと)か黒揚羽 (聖母子の掛け絵:生月島壱部地区びわの首ツモトの御前様:「かくれキリシタンの聖画」(小学館)39ページから借用) 「天地始之事」では、イヴはゑわ、アダムはあだんで、原罪のりんごは、まさんの木の実という。(…

びるぜんさんた丸や(処女聖マリヤ)―2

烈日や殉教の像爪先(あし)垂らし(長崎26殉教者記念像にて) (絵は聖母子。浮世絵ばりに大胆な絵柄である。乳房を出している聖母像は世界各地にあるのだろうか。「かくれキリシタンの聖画」(小学館)40ページから転用。) 丸やの出産の描写がまた田園的…