エッシャーの不思議

美術館秋の日を閉ざして闇し
 
イメージ 1
 
「昼と夜」 (『エッシャーの宇宙』朝日新聞社 より)

オランダのいわゆる「だまし絵」の画家、エッシャーの企画展を静岡市美術館でのぞいて来た。90点ほどの作品が出ていて有名な絵はほとんど見られ、内容は充実していたし、夏休みで大勢きていた子供たちに、この不思議世界を垣間見せただけでも企画は成功だったろう。
 
エッシャーの絵は、実物を見ても「これがあの!」という感動がわかない。図版をみているときとそう感動は変わらない。というのは、あれっ、オヤッと思ってから後の考える時間のほうが長い、思惟の絵だからだろう。色彩画が少ないのも理由か。
 
とは言うものの、「空と水Ⅰ」では魚が上に行くに従って鳥になるのは見ていて幻覚を覚えるし、爬虫類が紙面から這い出す絵は手で触れそうなリアルさに目が釘付けになる。
 
さて、以前エッシャーの「昼と夜」の中のペンタゴンについて、ブログに書いたことがあったが、( http://blogs.yahoo.co.jp/geru_shi_m001/64982855.html )、改めて見ていると、実に上手い絵だ。左右に黒と白の鳥がいつの間にか分かれて飛び去り、上下で見ると四角な畑がいつの間にか白と黒の採りになって飛翔する。そうして左右は白黒逆のシンメトリー。
 
で、私の気にした城郭都市は5角形で左右に描かれている。なぜ五角形か?
畑は四角形、城が五角形、そうして鳥は、よくよくみれば、変形だが六角形なのである。エッシャーは畑の四角形から、鳥の六角形への変様の過程に,さりげなく城郭の五角形をすべりこませた、と私は勝ってに了解した。発見は、それだけのことである。