2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

子規と絵または石膏像のデッサン-2

大掃除ローマ男にハタキかけ (日本の座敷に置かれたアグリッパ。年末の大掃除で、石膏像も叩けば誇りがでる?) 石膏像が教室の棚に並んでいる。 ミロのビーナス、メジチ、アグリッパ、マルス。いろいろ居るのだが、分かるのはビーナスくらいで、他は名前を…

名句に教わる-7(年を以て巨人としたり歩み去る)

大勢を殺してケロッと年往きぬ 年も押し詰まったので、今日は虚子の次の句を眺めてみた。 年を以て巨人としたり歩み去る(大正2年:虚子39歳) 時間が人、しかも巨人だという。大胆な擬人化である。 おそらく一年を振り返り、俳諧世界のことから政治経済、家…

子規と絵または石膏像のデッサン-1

冬の日や石膏像は眼を閉じず (アグリッパの石膏像) 寝たきりの子規にとって、絵を描くことは喜びだった。子規は、「僕に絵が描けるなら、俳句なんてやめてしまう」とまで言っている。 子規は中村不折などとの交際の中から、西洋画の知識を会得していったの…

名句に教わる-6(カマキリも枯れる)

蟷螂の落葉とともに掃かれたり (これはバッタですが・・・もう動きません) ブドウの棚を下ろしていたら、今年もカマキリの卵が2つ見つかった。捨てるのもかわいそうなので、いつも枝ごと別の樹に引っ掛けておく。 (ついでながら、卵というのも違和感があ…

ヤブコウジとツルコウジ

野鼠もしばし見入るや藪柑子 (ツルコウジ 鉢に植えたところ) 紅葉を見に行ったら、山道の斜面に赤い実があるのに気がついた。ヤブコウジかなと思ったが、少し雰囲気が違う。実は小さいし葉の形が異なっている。 持ち帰って調べたら、ツルコウジというもの…

寂しい帰り花

明日からはまた冷えるぞよ帰り花 (ユキヤナギの狂い咲き) ふと気づくと、ユキヤナギがちらほらと花をつけている。本当に雪の時期に開いてしまった。そういえば先月末には、ライラックが一番上の枝先に一房の花を咲かせた。初冬のライラックを私は初めて目…

名句に教わる-5(冬の川)

川涸れて烏隠るる蔭もなし 冬の川は俳句になりやすいのだろうか、古来いい句があるので思いつくまま2つ3つ。 易水にねぶか流るゝ寒さかな (蕪村) ・易水は「史記」でも有名な始皇帝を暗殺しようと出発する壮士の物語の舞台。蕪村は漢詩文の世界を市井の…