2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

エドヒガンの古木を見に行く

参道を喘ぐ二人や桜降る (富士山が雲で見えていない、このあと顔を出した。) 富士川沿いの小さな集落、今は合併して富士市に編入された北松野の妙松寺という古刹に、桜の古木をみにいった。 ちょうどタイミングが良くて、満開。風が吹くたびに花びらが宙に…

野火のなつかしさ

草焼いて里を離れぬ煙かな 写真は野火というには、余りにさみしいものだが、それでも畑に煙が立っているのが見えると、不思議な懐かしさを覚える。昔は枯草やごみがあれば、その場で燃やしたものだった。だから里のあちこちに煙が立っていて、それが棚引く風…

寒緋桜のじゅうたん

紅点(さ)して春は去にけり振り向かず 余りに鮮やかなので、踏み越えるのがもったいなかった。 これは寒緋桜。 近くの家に毎年早々と春の到来を告げてくれる。花は下向きに咲いて、ちょっとホタルブクロのように釣り鐘状になっている。散った花を見ると、花…

石の夢想―3 (小夜の中山夜泣石)

亀は鳴かず小夜の中山夜泣石 (峠にある久延寺の夜泣石) 亀は鳴かないのだが、不思議にも俳句の世界では鳴くようであり、春の季語となっている。 しかし、かつて東海道の難所、小夜の中山では夜になると、石が泣いたのだという。 身重の女が、このあたりで…

フラサバ草の庭(ゴマノハグサ科)

小さきものに春の光の来てとまる 庭に繁茂しているのが、フラサバ草。 オオイヌノフグリなどと同じで、ゴマノハグサ科。青い花はせいぜい5㎜。茎や葉には白い毛がびっしりあって、それが光を受けて美しい。 実はこの花がまだ珍しかった10年ほど前に、見つ…

私的な(俳句的)風景画論ー2 セザンヌのパレット

三月や十八色のいろ絵の具 ポール・セザンヌは毎日のようにセントビクトワール山を写生に出かけていたという話は誰も知るところだが、しかしじっと風景を見ていたのに、何故あのような写実とはいえない絵を描いたのだろう。 野には花が咲いてもいただろうに…