2018-01-01から1年間の記事一覧

子規と絵または石膏像のデッサン-2

大掃除ローマ男にハタキかけ (日本の座敷に置かれたアグリッパ。年末の大掃除で、石膏像も叩けば誇りがでる?) 石膏像が教室の棚に並んでいる。 ミロのビーナス、メジチ、アグリッパ、マルス。いろいろ居るのだが、分かるのはビーナスくらいで、他は名前を…

名句に教わる-7(年を以て巨人としたり歩み去る)

大勢を殺してケロッと年往きぬ 年も押し詰まったので、今日は虚子の次の句を眺めてみた。 年を以て巨人としたり歩み去る(大正2年:虚子39歳) 時間が人、しかも巨人だという。大胆な擬人化である。 おそらく一年を振り返り、俳諧世界のことから政治経済、家…

子規と絵または石膏像のデッサン-1

冬の日や石膏像は眼を閉じず (アグリッパの石膏像) 寝たきりの子規にとって、絵を描くことは喜びだった。子規は、「僕に絵が描けるなら、俳句なんてやめてしまう」とまで言っている。 子規は中村不折などとの交際の中から、西洋画の知識を会得していったの…

名句に教わる-6(カマキリも枯れる)

蟷螂の落葉とともに掃かれたり (これはバッタですが・・・もう動きません) ブドウの棚を下ろしていたら、今年もカマキリの卵が2つ見つかった。捨てるのもかわいそうなので、いつも枝ごと別の樹に引っ掛けておく。 (ついでながら、卵というのも違和感があ…

ヤブコウジとツルコウジ

野鼠もしばし見入るや藪柑子 (ツルコウジ 鉢に植えたところ) 紅葉を見に行ったら、山道の斜面に赤い実があるのに気がついた。ヤブコウジかなと思ったが、少し雰囲気が違う。実は小さいし葉の形が異なっている。 持ち帰って調べたら、ツルコウジというもの…

寂しい帰り花

明日からはまた冷えるぞよ帰り花 (ユキヤナギの狂い咲き) ふと気づくと、ユキヤナギがちらほらと花をつけている。本当に雪の時期に開いてしまった。そういえば先月末には、ライラックが一番上の枝先に一房の花を咲かせた。初冬のライラックを私は初めて目…

名句に教わる-5(冬の川)

川涸れて烏隠るる蔭もなし 冬の川は俳句になりやすいのだろうか、古来いい句があるので思いつくまま2つ3つ。 易水にねぶか流るゝ寒さかな (蕪村) ・易水は「史記」でも有名な始皇帝を暗殺しようと出発する壮士の物語の舞台。蕪村は漢詩文の世界を市井の…

富士山世界遺産センターなど

刑務所の塀の上なり富士の雪 (静岡の刑務所:実景です) 雪をかぶった富士山は、当地では珍しくもない風景だが、しかし毎日見慣れた人にとっても、それは感動的に美しい。 もっと近くで見たいとおもって、富士宮まで車を走らせた。やはり近くで見る富士山は…

鷹一羽

鷹一羽瀬切れの河は白々と 初冬のこの時期、安倍川で鷹を見かけることがある。 上空でパタパタと数回羽ばたいた後、羽根を止めてスーッと滑空する姿から、これは鷹だとすぐにわかる。 ところが、このところ麻機沼に整備された広い芝生に、鷹が現れている。 …

一茶と子規の草紅葉の句

片脚をあげる子犬に草紅葉 (みぞそば) 野原を散歩していると、草の紅葉が本当にきれいだ。 紅葉の名所の、目に鮮やかな赤や黄色も捨てがたいが、ささやかな微妙な色合いの千種が足下に広がっているのを慈しむのもまたうれしいものだ。 一茶のデータを検索…

扇風機の千秋楽そろい踏み

そぞろ寒かの扇風機さえ邪魔になり (ひと夏、ご苦労さん。ほこりを払ってお蔵入り) 扇風機は、猛暑、酷暑をのりきる大事な助っ人だったが、ここに来てようやく蔵う決心がついた。 これが遅いのかどうか。最近は暑さへの警戒心が高まってしまい、加えて季節…

野菊 キダチコンギクだろうか?

野菊晴れ老々介護の車イス (キダチコンギク と思われる) 野菊がたくさん咲いている。気持ちのいい秋晴れ。 野菊とは、秋の野原に咲くキク科の花の総称で、ヨメナやコンギク、シオンなど多くの仲間が混入している。その区別たるや、微に入り細に入りで素人…

ゴーヤと万有引力の法則

ゴーヤぶらりでかい地球を引っぱって (ぶら下がっているのではなく、逆に地球を引き上げているゴーヤ) 葉が少なくなってきたぶどう棚から、ゴーヤが4つ5つとぶら下がってきた。みていると日に日にずり下がってくる。 万有引力を知っている僕らの眼は、ゴ…

みぞそばが満開(タデ科)

溝蕎麦(みぞそば)や花に産まれし童女(わらべ)あり 秋はタデ科の花の美しさがひときわ目をひく。 沼地や田の水路にはミゾソバが群生して、今を満開に咲いている。この花の美しさは、まるで砂糖細工のような繊細で乙女チックな色合いだ。 覗き込んでいると…

木喰の微笑みを見に行く

柿一つ供えてありき微笑仏 山梨県身延町で「木喰展」が開かれているので出かけた。 木喰上人はご当地の出身であり、また今年は生誕300年にあたるのでこの企画になったようだ。NHKの日曜美術館でも紹介されたため、遠来の客もあり駐車場はいっぱいだった。 会…

人麻呂の柿の木は、渋柿か?

熟れぐあい鵯(ヒヨ)に教わる柿日和 (生らせすぎかな、来年はダメかも) 今年は生り年なのだろう、庭の柿も例年よりたくさん実った。この数日、小鳥が飛来してにぎやかになった。そんな楽しい団欒をヒヨドリがけたたましく恫喝して追い散らしてしまう。 私…

台風24号におろおろ

大風や荒魂(あらたま)なれば畏れ待つ 台風24号が、一晩中荒れて、私はただ息をひそめて通り過ぎるのを待った。 最近は予報が正確になったので、伊勢湾台風並みの暴風だ、注意しろ!といわれれば、21号の記憶も生々しいので、あれ以上のもが来たらひとたま…

曼珠沙華は古典には出てこない?

曼珠沙華茎をみどりに揃え持つ (最近は黄色や白もよく見かける) この花は古くから日本に生えていたはずで、よく目立ち、彼岸花、死人花、キツネノカミソリなどといろいろな呼び方をされるが、どういう訳か日本の古典にはあまり登場しない。 万葉集にはイチ…

秋の笛の音をきく

笛吹いて秋の女神を踊らせむ 静岡リコーダーフェスティバルという催しにいってみた。アマチュアのリコーダー愛好家、団体が参加して、丸一日音楽ホールを借り切って、マラソン演奏するという初めての企画である。この日は、24団体、240人が登壇した。 グルー…

雑草という言葉

来世はエノコログサでもよしとせむ (オオエノコログサ? イネ科) 昭和天皇が、雑草という言葉を、 「どうもこの名前は少し侮辱的な感じがして好きではない。水田、畑に生え栽培植物の生長を妨げる植物や、道端に雑然と生えている植物のうちにも、花が咲いた…

八千草の花の野辺ー2

八千草に囲まれて居り手に図鑑 虫が鳴く季節になっている。風も気持ちがよい。 河原は一面の草原で、草やぶの陰には何があるのか全く見えない。 骨も見えずむくろも見えず草の花 子規 (明治29年) (ママコノシリヌグイ タデ科) 弦状の茎に下向きの小さな…

八千草の花の野辺-1

ウォーキング止まってばかりや草の花 (センニンソウ キンポウゲ科) 10歩進んでは屈みこみ、暫くして立ち上がって、また5歩進んだと思ったら立ち止まり。今度は何枚も写真を撮っている。これではウォ-キングにならない。 しかし野辺の道には八千草の花が咲…

秋 来ぬと(パロディ)

秋きぬと目にはさやかに空の瑠璃 秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる (藤原敏行) よく知られた古今和歌集の歌。風の音に秋の到来を気づいた繊細な感受性が、平明に歌われている。日本人の季節の感受性を、言葉に定着させたような歌…

造化のいたずら?「砂紋」

白亜紀の化石白ゞ秋の川 これは何に見えるか?恐竜の化石か? 実は、川の水流が岸辺に残したアートである。 台風20号で増水した安倍川。その濁流がだいぶ治まった昨日、橋の上から河原に変なものがみえた。ここはもう何年も散歩しているのだが、こんなもの…

甲子園、ついでに子規の野球ずき

甲子園弱小校に肩入れし (静岡新聞を使わせていただきました) さて今日は甲子園の決勝。 普段スポーツ熱心ではない私だが、めずらしく興味が湧いてくる。 それは大阪桐蔭と金足農業が、あまりにチームカラーが対照的なことによる。片や全国から英才を集め…

「庭の千草」「埴生の宿」

鍬の歯にカチリと当てて九月来る 今朝は22度くらいまで下がった。急に涼しくなり秋の気配を感じて、脳や感性が活性化してきたのだろうか、ようやく音楽を聴く気も湧いてきた。 で、朝CDを選んでいたら、往年のソプラノ歌姫サザーランドの一枚が目についた…

餓死した皇軍兵士

皇軍は餓死せりと知る盂蘭盆会 中公文庫の「日本軍兵士…アジア・太平洋戦争の現実」という本を手にした。著者の吉田裕氏は、兵士の目線、立ち位置から「死の現場」を再現しようと試みた、と書いている。 本では、この大戦の後半、著者の言う「絶望的抗戦期」…

最も古い?火星人

火の星の地球に寄りくる熱帯夜 (みえますかね?) 先日、火星が最接近するというので、久しぶりに夜空を見上げた。東の空に、大きくて赤い星がかかっていた。 SFでは、火星には火星人がいるということになっていた。ウェルズの小説をモデルに彼らはタコのよ…

貧乏人に熱い?

この熱さ貧乏人の口減らし (朝6時、28度) この熱さ、気象庁が命にかかわる「災害」という認識になってきた。洪水や地震、津波とおなじで生活・生存の危機だということだ。実際死者も出ている。総じてつましいお年寄りが多いことに、胸が痛む。同類の気がす…

うれしき暑さありけるを

暑さにもうれしき暑さありけるを (ヤブカンゾウの脇を、老年ランナーが行く: 登場人物はブログと無関係です) 冷房は夜中に切っていたが、今朝がた、温度計をみると23.8度を示していた。 なんだか忘れてしまったような、暫くぶりのさわやかな涼しさだった。…