ゴーヤと万有引力の法則

ゴーヤぶらりでかい地球を引っぱって
 
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(ぶら下がっているのではなく、逆に地球を引き上げているゴーヤ)

葉が少なくなってきたぶどう棚から、ゴーヤが4つ5つとぶら下がってきた。みていると日に日にずり下がってくる。
万有引力を知っている僕らの眼は、ゴーヤが果敢にも地球と綱引きをしているが、劣勢やむを得ず、徐々に引き寄せられている現象なのだと、理解する。
同時に、それは極微細ではあるが、理論的にはゴーヤが逆に地球を引っ張ている現象でもあるはずだ。
 
けど、そんな引力などは見えやしない。アリストテレスは、物そのものの本性として、土に落ちるのだと解説したのが、紀元前4世紀のことだという。コペルニクスが地動説を唱えたのが16世紀。

地球は丸くてそれが回転している、その上にあなたは立っている。といわれれば、そんな馬鹿な、下側に行ったらみんな地面から剥がれ落ちてしまうじゃないか?と恥ずかしながらやっぱり不安になる。
現代人だってこんな程度だから、西洋の16世紀に地球が丸いとか地動説とかいえば、やはり火あぶりの刑にあたいするほどの妄言だったのだろう。

ケプラーガリレオニュートンなどの理論、実験により地動説は定説となったが、ものの捕らえ方における、西洋の実証的、論理的思考にはやはり驚かされる。
日本の古代中世に、「なぜ物が下に落ちるか?」などという問いを発し仮説を立てた人がいただろうか?
 
レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(岩波文庫)を、私は時折思いついてページを開いてみる(読むではなく)のだが、実にきちんと理屈っぽい。かれは、コペルニクスより20歳ほど歳上であり、その地動説に触れてはいなかったようだが、「太陽は動かない」(下42p)とも書いているから、地動説かなと思われる。

重さと力と運動について語るのは、物理の教科書に出てくるいわゆるF=ma(Fは力、mは質量、aは加速度)の公式を思わせるし、重力についてもいろいろ書いていて、慣性の法則ニュートンの「万有引力」を思わせる記述もみいだせる。

「大地はその上に憩える一羽の小鳥の重さによって位置を動かされる」

「運動とは重さまたは力の不平等から生まれる現象である」

こんな文を読んでいると、
ダ・ヴィンチ先生に冒頭の駄句をみせても、理解してくれそうな気がするが、いかがか?