2019-01-01から1年間の記事一覧

「時雨」連想―2

塾に行く足渋らせる時雨かな 「さんさ時雨」は誰もが知る東北の民謡。伊達政宗の作という風説もあるが、事実はそんなに古くはなく江戸の中期以後、京都以西で唄われた恋の流行唄が伊達領一帯に移入されたものという。*3 とすると、「しぐれ」が好きな芭蕉…

音楽ストリーミングサービス なるもの

冬籠りこのスピーカーとも五十年 (探すに一苦労の雑然としたCD棚) IT音痴の話。 息子が家に来て、積み重なった私の本棚やCDの棚を見て言う。 「親父が亡くなったら、俺がこれを処分するのか?」 まあ多分そういうことだろう。と、私は心の中で思う。 そ…

思い出のCD(アンナー・ビルスマ)

貧しきは幸いなるか聖夜凍む 古楽演奏の大家、アンナー・ビルスマが今年亡くなった。ピッコロチェロという小型のチェロを弾き、さわやかな演奏を聴かせてくれた。 私は彼のCDを2,3枚持っているだけで、熱心なファンという訳ではないのだが、忘れられな…

「時雨」連想ー1

照る翳る降りみ降らずみ谷戸時雨 (太平洋側だが、時雨雲らしい) 「時雨」という言葉は、人気がある。深まりゆく秋の山河や濡れそぼつ旅人のイメージを喚起して、日本人好みなのだろう。私も上手く使ってみたいと予て思っている。 たとえば、山頭火の「草木…

ベートーベンの「寒月ソナタ」

寒月や隠れ処無し樹も我も 煌々と月が照っている。今宵は満月で辺りも異常に明るい。世界がくっきり見えている。 疑うらくはこれ地上の霜かと これは李白だったが、今夜の月はこんな詩を思い起こさせる。確か李白は、 頭をたれて故郷を思う のだったはずだ。…

錬金術でユズ黄金

黄金柚子錬金術師も苦笑い 小さいポットに植えたヒメユズが20個ほど色づいてくれた。それにしても、緑色の小さい実が立派な黄金に成長してきた様は、見事としか言いようがない。西洋中世の錬金術師も斯くやと思われる。 ひとつ採って味見をしてみたら、い…

秋の田の季語「ひつじ」?

園児らの一本道やひつじの田 「ひつじ」という言葉を最近、俳句歳時記から教わった。意外にも、秋に田んぼの切り株から生え出た稲のことだという。 静岡は暖かい気候のせいか、秋なのにまるで田植えをした後のように稲が青々としている。そして稲穂も見える…

越前から野菜来る

前田殿熊と競いて柿をもぎ 越前大野の友人から、思いがけず段ボール箱が届いた。開けてみると、柿30個ほど、辛そうな大根、赤い大カブが出てきた。名物羽二重餅もひと箱入っている。 メモ書きを読むと、柿は、熊が来るので危ないから早く取り入れろと市か…

カラスウリの実と花は

カラスウリ「たまご」と言いて小さき掌 この時期、裏山を歩くと藪にカラスウリが見つかって楽しい。その赤といい、その丸い形といいいかにも何かを訴えているようだ。たぶん種の拡散のため鳥に啄んでほしいのだろう。 人間様もついつい枝を引いて取り、しば…

青いバラ (名句に教わる7:池田澄子氏) 

青い薔薇あげましょう絶望はご自由に 池田澄子(1988年『空の庭』) (写真:wikipediaから) 青いバラは、今日こそ市販されているがもともと自然界には存在しなかった。 2004年にサントリーが遺伝子操作で開発したものだというし、おそらく作者が吟じたころ…

ラグビーとアザミいろいろ

風神も避けて通るやフジアザミ 9月の半ばに友人たちと富士山麓を歩いて「フジアザミ」をたくさん見かけた。大きくて棘も鋭く粗野な印象。 下の写真は「トネアザミ」に近いかなあと思われるが、アザミは種類が多いので、品種を同定するのが難しいので、自信が…

長野水害ハザードマップ

泥の湖にまた雨来るや秋出水 (上に見える表示が5mの高さ:長野市) 台風19号ハギビスは凶暴だった。 列島に近づく前から激しい雨を降らせ、伊豆半島に上陸し関東を抜けていった。80人を超す死者行方不明者を出し、日本の半分を水浸しにし、東海から関東、…

寄生虫 ハリガネムシ

針金を産んで蟷螂鎌を垂れ (カマキリから出てきたハリガネムシ) 庭先で何かが動いていたので、よく見たらハリガネムシがのたうっていた。気持ち良いものではない。その脇に呆然としたようなカマキリ。こんなのを見るのは、子どもの時以来だ。 ハリガネムシ…

ヤブマメとアイヌ文化

藪豆の組み敷いて芒開かざる やぶやぶしたところを注意してみると、背の高い草や木に絡んでいる。スラっとした姿で、ちょっと上品な感じがする。花の紫色の印象かもしれない。 図鑑では、この花は「形の異なる3種類の花をつける写真のような開放花と、花が…

子規の命日 獺祭忌

老化など屁の河童なり獺祭忌 (子規が写生した草花)草花を画く日課や秋に入る 子規 9月19日は、子規の命日だった。亡くなって117年になる。 子規は獺祭書屋主人というペンネームを使ったことがある。俳句で、子規の命日が獺祭忌ともいわれる所以である。 …

秋晴れの富士山宝永火口

天高し山巓遠し道嶮し (宝永火口の縁から山頂を仰ぐ) 先日友人らと4人で富士山ハイクにでかけ、絶好の秋晴れに恵まれた。 ところが、この日は秋の3連休、しかも夏山シーズンの入山規制が終わり、マイカーで新五合目まで入れるとあって、予想以上の混雑だ…

「き・らめく・・・展 2019」を見て

美術展わが絵恥ずかし部屋の隅 八月の末、新聞で目にした「き・らめく・・・展 2019」を静岡県立美術館に見にいった。名前も知られていないマイナーな美術展なので、同館で同時開催されていた熊谷守一展に比べ客足には当然雲泥の差があった。 ちょっと変わっ…

秋の花野のセチメンタル

めぐりあう不思議哀しき花野かな まだ日盛りの堤防は体にきついが、それでも時折の涼風に慰められながら、少し歩いてみた。暑い暑いと怠けているうちに、季節は確実に秋を深めているようだ。花たちはすっかり秋の風情である。見渡すばかり緑の草が、ことごと…

殺人ロボット

働くはロボットのみの酷暑かな ジュネーブで「殺人ロボット兵器」の規制を話し合う国連の会議があり、国際人道法を順守するなどの議長報告が取りまとめられたが、各国の意見の隔たりが大きく、法的な拘束力を持つ条約などによる規制は難しい状況のようだ。 …

蜘蛛を殺してゴキブリ増える

地球儀を乗っ取りゴキブリ黒光り 我が家は、いつになく今年はゴキブリと大蜘蛛が多い。 古い家だから隙間だらけなのだが、それでも例年ならゴキブリはせいぜい2,3匹を見つける程度。今年はもう10匹を超えている。ゴキジェット(殺虫スプレイ)も買い足し…

富士山の原生林を歩く

涼しさや富士原生林の苔深し 富士山なら幾分は涼しいはずだ、と期待して、先日友人と、富士山中腹の原生林を歩いた。 夏山の繁忙期になると富士宮新五合目へはマイカー規制され、水が塚駐車場からシャトルバス(往復1500円)かタクシーのみとなる。この駐車…

この度YAHOOから引っ越してきました

よろしくお願いします。 この「移行」というのが、簡単そうでいてわかりにくかった。 まずはてなのIDが拒否されたので、変えて入れたら、なんだ!二つできてしまった。 指示にしたがって進めると、あれ!もう「移行中」になってる?。ので不審に思いながら、…

イモムシころころ?

いもむしに射竦められて引き下がる (遠く離れて撮影。嫌いな人は見ないで!) ふと気が付くと、庭のムサシアブミの葉がない。下に大量の糞が落ちている。 しまった食べられた!と思って、のぞき込むと、強烈なのが居た。 それが写真の芋虫! どう見ても蛇、…

ひまわり雑感

ひまわりの十四五本もありぬべし ヒマワリの絵といえば、ゴッホと相場が決まっているが、ゴッホには何枚かのヒマワリの絵がある。損保ジャパンの持っているヒマワリの絵は、花が十数本ありそうだが、これは面倒だが一つひとつ数えないとわからない。 そう思…

大磯の「高来神社」参拝

大磯町にある高来神社に詣でたので、記録しておく。 大磯は、旧東海道の松並木もよく残されていて、静かな風情のある街だった。同じ湘南といえど、鎌倉葉山あたりの浮ついた観光地の雰囲気はない。かつては鎌倉もこうした落ち着いた風情だったのだろうかと思…

サンセベリアが咲いた!

夕端居サンセベリアの香りかな 先日ふと気が付くとサンセベリアの鉢に花茎が上がっている。花が咲くとは想像もしていなかったので、少し驚いた。 開化は珍しいけれどままあることらしい。株が大きくなると咲くのだという。 気を付けたことは?と考えてみるが…

ソテツの精虫 または子規の埋め字

女子高の蘇鉄は雄株いま盛り 近くの高校に蘇鉄の植え込みが何本もあり、それが一斉に花を咲かせている。最近剪定をしたら、隠れていた雄花が突然現れたもので、ちょっと驚いた。巨大な黄色い松ぼっくりのような、異様な姿があちこちに立っている。これはみん…

灯台のロマン 剱埼灯台(三浦半島)

剱崎かもめ溶け込む雲の峰 三浦半島の先の方に、剱埼(つるぎさき)灯台がある。 観音埼灯台や城ケ島灯台のような観光地ではないので、余り知られていないが亡義父が好きな灯台だったというので、行ってみた。 ところが道がひどい。 細い農道をはいると、ど…

野鳥の来客あり

青葡萄王女の棺の硬き石と 軒下の日除けに這わせているデラがたくさん実をつけ始めたので、摘果した。半分くらいにしたいのだけれどもったいない、と思ってしまってなかなか減らせない。で結局実入りが悪くなってしまうのだ。今年も同じ轍を踏む。 気がつく…

梅ゼリー 自作自賞味

しかめっ面してなお齧る実梅かな (自作の梅ゼリー ・・・うまくいかない) ポット鉢の南高梅が色づいたので収穫?したら20個ほどしかなかった。今年はなぜか早くからぽとぽと落ちてしまい、昨年よりだいぶ少ない。でも、色も香りもいいので、梅を収穫した満足…