#生物学

帰り花・・・子規と良寛と雑感

蜜すこし蝿を寄せたる帰り花 鉢に植えたヒメユウスゲが咲いた。なんと12月、大雪のこの時季にである。目に飛び込むような鮮やかなレモンイエローの花弁。花茎がほとんど伸びていないため、花は地面から突然咲き出している。転がっているように見える。葉は余…

蛙2 (大ガエルの大群)

蝦蟇という傍若無人皮の中 (ウシガエルの骨格標本 : 静岡県立 ふじのくに地球環境史ミュージアム) ある家を訪れたとき、「ガマが棲みついている」と言われ、まさかと思っていたら、のっそのっそと這い出してきて、びっくりした。 我が物顔で歩いて人間な…

マツバランをみつけた

万緑やわれまた植物細胞を持ち 日陰を探して、山の農道に車を停めてぼんやりしていたら、脇の石積みに変なものが目に入った。初めて見るもので、花なのか枝なのか何だか全く見当がつかない。まわりはツタや花の終えたテイカカズラなどが繁茂していて、その隙…

「半夏」生と「半夏生」

半夏生白さは私の病気です 七十二候に半夏生(はんげしょう)がある。七月初めの5日ほどを指している。 で「半夏生」という草だが、ドクダミの仲間で葉の一部が白くなる特徴がある。わが庭にも病的な白い葉を何枚か光らせていて、異常に目につく白さである。…

新じゃがとジャガイモの実

新じゃがや飛び出してくる風の中 3月の初旬に、いたずらで埋め込んだジャガイモ。茎が黄色く与太ってきたので、一つを掘ってみた。植えてから100日が目安、と聞いたので、少し早いし、花壇の端っこに埋めた株なので、さあ、期待はあまりできないが・・・。 …

早春の赤い花木たち

春動く花にも兆す血のゆらぎ 満を持したように、赤い花が咲き始めた。 これは、木瓜(ぼけ)。 これは、緋寒桜(ひかんざくら)。実際はもっと黒っぽい。 これは、紅梅(こうばい)。 これは、玉之浦(たまのうら)。 早春の花の赤や紅には、身から絞り出し…

白鳥の歌

白鳥や頸折り眠る星の下 静岡市の郊外にある麻機沼に、今年また白鳥が来ている。この地では珍しいことなので、沼には観察者がいつも数人は集まって、カメラを構えている。 私も沼の周辺を散歩がてらに白鳥を観察?した。オオハクチョウで、8羽くらいいそう…

赤い実と白鳥の沼

赤き実のことさら赤き年の暮れ 近くの沼の周辺をぶらぶら歩き。襟を立てポケットに手を突っ込んで。鼻を啜りながら。 陽が西に傾いてきた。自分の影が長い。 路の脇に、ヘクソカズラの赤茶色い実が見えたので、引っぱって取った。茎は結構しっかりしているか…

蓮をみる一茶

オモダカもハスの盛りに咲きけるを (オモダカ) 蓮を見に、朝食を済ませて直ぐに出かけた。車で5分ほどの沼地。 このところ極端な暑さなので、とても蓮見に行く余裕などがなかったが、今朝は雨模様で幾分涼しい。 午前中の花は、やはりきれいだ。 蓮の花は…

「卯の花と小町」雑談

色うつる卯木の花を挿頭(かざし)かな 山では卯木が満開。種類もいろいろだ。 おや、花の色が白とピンクのものがある。 帰宅して調べたら、ハコネウツギ(もしくはニシキウツギ)らしい。いずれも白から赤に変化し、両者の区別は難しいとのことなので、即断…

ニセカラクサケマンでしょうか??

草茂る名前も風も横向きに おや、見かけない花だね? 最近、静岡の麻機遊水地がさらに拡張された。まだ雑草の少ない、広々とした水辺の風景は心地よい。そこに見たことのない花を見つけた。 ムラサキケマンが何かおかしく生育してしまったのか?それともヨナ…

チガヤまたはツバナ

空につづく径浄めたる茅花かな この季節、チガヤの花穂が真っ白に風になびいて美しい。 白というより光というほうが感覚としては近いかもしれない。俳句ではこの風を「つばなながし」といい、特別扱いしていることでも、この花穂に対する日本人の思い入れが…

柳絮、柳を挿すということ

芽吹きから青柳までの早さかな 公園を歩いていると、おや?白いものがたくさん飛んでくる。 柳絮だ。これはヤナギの花のホワタで、近づいてみると今を盛りに枝も真っ白である。 柳絮、と書くと、なんだか中国の古い時代、唐詩や伝奇集を思い出して現実離れし…

万朶のサクラ妄想

酔え笑え花すっぱだか我すっぱだか 満開の桜の下を歩いている。香りがうっすら漂ってくる。 溢れるような万朶の桜に包まれると、桜の花の下には死体があるとか、桜は神の依り代でこれを頼りに神が下りてくるとか、何かあの世的な、魔的なさまざまな想像を呼…

静岡にハクチョウ

白鳥の鼻の黄色き二月かな 近くの遊水地に、昨年に続いて今年も白鳥が4羽姿を見せた。10日ほど前に見て以来、情報もないので、まだいるのだろうか。広い湿地なのでなかなか見つけるのは難しい。 友人にも教えたのだが、私の見た場所では、確認できなかった…

カマキリ枯れる

生と死の際に蟷螂枯れており カマキリが晩秋に衰えて、色が茶色に変わってくるのを、「蟷螂が枯れる」と俳句では表している。実際には緑色のものが茶色にはならないようだ。 けれど寒い日にもカマキリが威厳?を失わず、ただじっとしているのを見ると、やは…

またイチョウのことなど

銀杏散る本堂奥に涅槃仏 hitokoto2020さんからいただいたコメントの情報から「イチョウの大冒険」という絵本を知って、早速図書館から借りてきた。 なかなか優れた本で、日ごろいろいろ疑問に思っていたことを知ることができた。 イチョウは絶滅しかけたが、…

ルリタテハの旅立ちまで

ルリタテハ枯葉と見れば忽ちに この幼虫は、いかにも毒々しい姿をして、毎年我が家のホトトギスを丸裸にしてくれる。これまで当然殺虫剤で駆除していて、何の疑いも持たなかったのだが、ある時知人に、「あれはルリタテハの幼虫だよ」と教えられた。 ルリタ…

西山本門寺のイチョウ(富士宮市)

大銀杏大見得切ったる落葉かな 富士山麓の西山本門寺に、大銀杏の黄葉を見にいった。 昨年伺ったときには、遅すぎて裸木になっていたので、今年はそのリベンジ。境内に入ると、燃えるような黄金色が目に飛び込んできた。並んで立つ二本のイチョウは樹齢20…

カワセミやその他の沼の鳥たち

翡翠(カワセミ)が秋の水面を貫通す 沼を歩いていて、翡翠を見かけた。じっと水面をのぞき込んでいる様は可愛いし、色もきれいなので、見つけるとやっぱりわくわくする。ときおり見つける所とは離れていたので、ちがう個体かもしれない。 俳句にしようとし…

ミョウガの花とハナミョウガ

こぼれ出た茗荷の花や小さき声 空が澄んできて秋の気配がし始めると、茗荷が花をつける。地面近くに文字通りひっそりとである。 裏の半日陰に生えている茗荷は、株数で20本ほどだろうが、今年もたくさん花をつけた。葉陰の暗がりに、一見タケノコのように…

アフリカフウチョウソウと「ふじのくに地球環境史ミュージアム」

のっけには全員名はなし草の花 田んぼの水路わきで、見慣れない花を見つけた。 実はそれは一年前のこと。その時、図鑑やネットでいろいろ調べてみたが、分からずじまいで断念。以来気にかかっていた。先日そこを通りかかった折に改めて草むらを歩くと、ちゃ…

ノカンゾウに夢中

ウマオイも花に眠るや真昼時 今年は庭のノカンゾウがとても元気で、次々と大きな花を咲かせてくれる。花の色は個体によって、黄色っぽいものから、朱色っぽいものまで微妙に違っていて、庭の花は黄色っぽい部類か。 と思ってみていると、その一つに緑の虫が…

堤防にも秋の花

声あらば何を語るや草の花 大雨がようやく収まったので、久しぶりの堤防漫歩。 この夏も、猛暑だ、オリンピックだ、コロナ警戒宣言だ、土砂崩れ、アフガンだと言っているうちに8月も下旬。なんだか時間が全く自分のものでなくなってしまって、モモじゃない…

西洋のセミ事情 (奥本大三郎氏の本から)

大水や蝉の生まれぬ里となる 窓を開けておいたら、蝉が飛び込んできた。カーテンにとまってじっとしているので、外に出そうと摘まむと、ジーッと油の声を出した。うるさくなる前に外に出してしまった。この2,3日の雨で蝉はずいぶん静かにしている。 最近…

ウマノスズクサと馬鈴薯

小用を足さんとすれば葛葎 野原は油照りだが、次第に秋の気配も見せ始めた。この時期に一番目立つのはつる植物。クズやカナムグラ、イシミカワ、ヤブガラシなどが各々自分がたくさん日を浴びようと、絡み合いながら、野原をのたうち回っている。甲斐信枝さん…

ネジバナ・モジズリ・ヒダリマキ

ネジバナや父祖伝来の左巻き 別名で、ヒダリマキとも言われるらしい。ただし左巻きと右巻きといっても、花茎の上から見た場合と下から見た場合は逆になるので、右左の定義はあいまいなのだそうだ。しかも逆巻きのものが結構みうけられる。写真の左から2本目…

クジャクサボテン咲き出す

花咲いて孔雀仙人掌お披露目に この時季、後ろの方にある鉢を玄関先に出して花を披露する。 今年は花のつきが良くて、花芽を数えたら12ある。今日は4つ目が咲き始め、最初の花は萎れたので切り取った。残りは順番を待っている。この花は2日ほどもつので…

三保の松原にハマボウフウが咲く

三保の浜富士見えぬ日や浜防風 俳句の友人らと、清水の三保海岸へハマボウフウを見にいった。 三保の松原は世界遺産なので、人出を心配して平日を選んだら、観光客はほとんどいなかった。「みほしるべ」という世界遺産案内所ができ、駐車場も整備され、浜の…

ナンジャモンジャってなんじゃ?

真白きは噂の花かナンジャモンジャ 先日、ナンジャモンジャが満開だと聞いて、近くの沼の公園に見に行った。シュレッダーで切った紙のようちらちらした白い花が、豪勢に咲いていて一見の価値はあった。木の下で花見のお昼をしている人もいた。 この奇天烈な…