静岡にハクチョウ

白鳥の鼻の黄色き二月かな

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近くの遊水地に、昨年に続いて今年も白鳥が4羽姿を見せた。10日ほど前に見て以来、情報もないので、まだいるのだろうか。広い湿地なのでなかなか見つけるのは難しい。

友人にも教えたのだが、私の見た場所では、確認できなかったようだ。

 

ハクチョウにはオオハクチョウコハクチョウがあるが、その見分け方は、体躯の大きさは別にして、鼻に見られる黄色の部分の形で区別できるという。オオハクチョウのそれは鋭角に鼻の先方に突き出し、コハクチョウでは突き出していない。

という知識で見ると、どうやらここに来ているのはコハクチョウかなと思える。

 

記紀ではヤマトタケルが能褒野に葬られた後、白鳥となって河内の国に飛来し、そこにも陵をつくったが、最後は空の彼方に飛び去ってしまう。古事記では有名な文学的な場面だ。古事記では景行天皇の条に、「八尋白智鳥(しろちどり)」と出てくる。陵は白鳥陵。ただしこの白鳥が、今でいうハクチョウなのかは良くわからない。

 

万葉集では、白鳥(しらとり)が2か所出てくる。

白鳥の飛羽山松の待ちつつそわが恋ひわたるこの月ごろを (巻第4 588)

白鳥の鷺坂山の松蔭に宿りて行かな夜も更けゆくを (巻第9 1687)

 

2首目は鷺坂山だから鷺だろう。

1首目の飛羽山は中西進さんの解説では所在不明としている。こちらは、渡ってくるのを待っているというから、ハクチョウに取れそうだ。飛羽=鳥羽を連想するのだが。

古事記では白鳥が英雄の霊魂として美しく登場するのに対して、万葉ではほとんど歌が無いのは、どうしたわけだろう。白い鳥というだけであまり区分も意識されていないし、関心が低かったように思える。

巻第2 210に 亡き妻が「大鳥の 羽易(はが)いの山に」いると人麻呂が歌っているが、むしろこうした大きさで捉えていたかもしれない。

 

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私はこのハクチョウたちが空を飛んでいるところを見ていない。いつも水面を泳いでいるときだけである。余り根気がないので舞いあがるまで待っていることがないのだ。もう沼の縁には菜の花が黄色に咲いている。