静岡市の名もなき山稜を歩く(麻機アルプス?) (権現山から子供病院まで)

春浅し辿るかすかな獣道

 

静岡市の平野に、北部から流れ込んでくる山の尾根筋が何本かある。よく知られているのは、賤機山といわれる山稜で、静岡の街の中まで伸びてきて、先端部に静岡浅間神社があり、ハイカーが良く歩くコースである。

今回歩いたのは、賤機山稜の東側に走るもので、竜爪山から尾根を分けてきて、県立こども病院の裏に続いている尾根。(写真)

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(中央左奥が権現山 ここから右の尾根を辿った)

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(アップダウンが続く山稜 左から右へと辿った)

 

この稜線には名前が特に無いようで、一部のハイカーが「麻機(あさはた)アルプス」と呼んでいると聞いたこともあるのだが。適切な名前だと思い、使わせていただく。

(麻機丘陵と記している本もある)

このルートを3回に分けて、合計約4.5㎞を歩いてみた。

出発は権現山といわれる479mのピーク付近。近くまで農道があるので、それを利用する。道の終点付近には最近太陽光発電のパネルが大規模に広がり、この開発のお蔭で、尾根のルートが全く分からない状態になっていて、とんでもないひどい藪漕ぎを強いられた。

尾根筋は、343m、205mの三角点を通って徐々に下ってくるとは言うものの、アップダウンを繰り返し老体にはなかなか手ごわいルートである。

しかしコース中には随所に巨木が神妙な空間をつくり、亭々とした檜杉の林や、左右に落ち込む痩せ尾根での高度感、また普段見られない新東名高速を見下ろすことができたり、一面に広がる麻機の沼、その向こうに静岡のビル群を望むこともできる。変化と魅力に富んだコースであった。

残念ながらマイナーなので整備は不十分であり、コース案内もないし、場所によっては踏み跡も薄い。展望ももう少し確保したい。繁茂した木を伐る必要があるだろう。しかし上記のように、なかなか魅力あふれるコースであり、とても良いハイキングコースになる資源は十分にある。

今回は友人と目印テープを枝に巻き、倒木を移動したりの若干のコース整理をしながらのハイクだったが、山のよさを堪能した。是非多くの人が歩いてこの山稜の魅力を楽しんでもらいたいものだ。

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(新東名を見下ろす、前方は新東名安倍川橋 この茶園は立派、右は荒れている)

この山は里山といっていいのだろう。

尾根筋には茶畑やタケノコ園がみられたが、大半は手入れがされず放置されたままで荒れていた。モノラックも何条も走っていたが、錆びついていた。村人が通って作物を作っていたのは、昔のことではない。つい10年前までは多分手入れがされていたのだろう。先人の苦労が目に見えるようだ。

日本人を養ってきた農は、荒れ切ってしまった感があり、豊かさとは何か、などと言う疑問もわいてくる。