2021-01-01から1年間の記事一覧

年末は一茶とシューベルト

閑居して不善も為さず暦果つ 暦を新たにする。 身の回りだけ、ざっと掃除も済ませた。庭のナンテンを3本切って、玄関に活けた。数少なくなった年末の仕事である。 年末の俳句は、一茶が似合わしい。あなた任せだし、中くらいだし。私は下だけれど。 つまし…

安倍川粘土搗き唄(地元の民謡を)

寒声や野山の女神に届くまで (安倍川の河川工事 2020.12撮影) 静岡には民謡がないね、ちゃっきり節と農兵節くらいなものか、と人は言う。けれど、茶摘み歌も田植え歌も盆踊り歌もあったはずであるが、静岡はそれをうまく残し伝えなかっただけだ。 民謡クラ…

湯たんぽ抱えて

此岸(ここ)に居て湯たんぽぎゅっと抱きしめる 石油ストーブを使うと、湯がどんどん沸いてくれる。もったいないので湯たんぽを使い始めた。電気毛布や電気アンカとはちがい、暖かさに包容力があり不思議な幸せ感が味わえるので、一度使うと手放せない。 年末…

レンコン掘り

蓮根(はすね)掘って探って掘って泥となり 家の近くの湿地では昔からレンコンが栽培されていてローカルなブランド品となっており、正月を控えたこの時季、収穫姿があちこちで見られる。一部では水圧を使って掘り出しているが、大部分は手掘りの小規模経営で…

大谷、田中、仲邑さん

ただ走り木枯しとなる漢(おとこ)かな (静岡県市町村対抗駅伝 12月4日) スポーツは苦手な私だが、今年は「大谷翔平」には夢中にさせられた。 シーズン開幕早々、彼の怪我の回復を心配しながらテレビ観戦すると、なんと160キロを連発するピッチングを見…

カマキリ枯れる

生と死の際に蟷螂枯れており カマキリが晩秋に衰えて、色が茶色に変わってくるのを、「蟷螂が枯れる」と俳句では表している。実際には緑色のものが茶色にはならないようだ。 けれど寒い日にもカマキリが威厳?を失わず、ただじっとしているのを見ると、やは…

またイチョウのことなど

銀杏散る本堂奥に涅槃仏 hitokoto2020さんからいただいたコメントの情報から「イチョウの大冒険」という絵本を知って、早速図書館から借りてきた。 なかなか優れた本で、日ごろいろいろ疑問に思っていたことを知ることができた。 イチョウは絶滅しかけたが、…

秋の些事(2)相思鳥(ソウシチョウ)

小鳥見る地蔵となりて小半時 (まだぼんやりしている) バーンと音がして、ガラス戸に小鳥がぶつかったようだ。 急いで庭を見ると、きれいな小鳥が落ちている。くちばしの色が明るいバーミリオンだ。まだ息はあるようで、細い足を突き上げたりする。寒さで死…

秋の些事(1)ムカゴ

ささやかな日々や零余子の粒ほどの 庭木を這っていたヤマイモの葉が、日増しに黄色くなってきた。 この蔓には夏ごろから気が付いていたが、敢えて取り去ることもないだろうと思ってみていたものだ。 先日、ムカゴがあるかなと近寄ってみたら、思いのほかたく…

ルリタテハの旅立ちまで

ルリタテハ枯葉と見れば忽ちに この幼虫は、いかにも毒々しい姿をして、毎年我が家のホトトギスを丸裸にしてくれる。これまで当然殺虫剤で駆除していて、何の疑いも持たなかったのだが、ある時知人に、「あれはルリタテハの幼虫だよ」と教えられた。 ルリタ…

西山本門寺のイチョウ(富士宮市)

大銀杏大見得切ったる落葉かな 富士山麓の西山本門寺に、大銀杏の黄葉を見にいった。 昨年伺ったときには、遅すぎて裸木になっていたので、今年はそのリベンジ。境内に入ると、燃えるような黄金色が目に飛び込んできた。並んで立つ二本のイチョウは樹齢20…

椎の実 そして しいのみ学園

椎の実を罪人となり踏みてゆく ウォーキングの山の農道に椎の実がたくさん落ちていて、歩くとパリパリとスニーカーの下でつぶれる。些かの罪悪を感じるけれど、避けて通るわけにもいかない。 今年は例年よりも実のつきが良いように思うが、どうなんだろう。 …

「ゴッホの手紙」を少しめくってみた

ヒマワリを生命の花とや描きけむ (手前の二階家がゴッホがアルルで住んだ家、外が黄色に塗られていた。ゴッホは「黄色い家」に描く。これはその素描。(「ファン・ゴッホの手紙」より) 「ゴッホの手紙」は古く岩波文庫からでていたが、新たな訳も出ている…

タデの区別は難しいや

蓼噛んで辛さも嬉し野良の径 季節は今、タデ科の花盛りだ。近くの沼をひと廻りしてくるだけで、もう何種類かに出会う。先日、サクラタデを紹介したが、同様に判別しやすいのがミゾソバとかイヌタデ(アカマンマ)だろうか。しかし、さまざまな種類のタデが咲…

サクラタデと腋臭(ワキガ)

サクラタデ砂糖細工をそと咲きぬ 近くの湿地に、サクラタデが咲いている。 湿地を保全する会の方々が、葦でぼうぼうな湿地を整備して、きれいなサクラタデの花園にしてくれたのだという。群生している風景はなかなかなものだ。 (白い絨毯だ) サクラタデは…

カワセミやその他の沼の鳥たち

翡翠(カワセミ)が秋の水面を貫通す 沼を歩いていて、翡翠を見かけた。じっと水面をのぞき込んでいる様は可愛いし、色もきれいなので、見つけるとやっぱりわくわくする。ときおり見つける所とは離れていたので、ちがう個体かもしれない。 俳句にしようとし…

ミョウガの花とハナミョウガ

こぼれ出た茗荷の花や小さき声 空が澄んできて秋の気配がし始めると、茗荷が花をつける。地面近くに文字通りひっそりとである。 裏の半日陰に生えている茗荷は、株数で20本ほどだろうが、今年もたくさん花をつけた。葉陰の暗がりに、一見タケノコのように…

中部横断自動車道にブドウの秋

遡行して甲斐は山国ぶどう狩り この夏、中部横断高速道が全線開通して、静岡と山梨が結ばれた。難工事で計画より何年か遅れての開通となった。正確に言うと、開通したのは、新東名新清水JCTと中央高速双葉JCTの間約75km。この一部が未開通だったのが今回供用…

秋の白さ

細径や花も色なき風の中 (イタドリ) 秋は白で白秋、春は青で青春、そして朱夏、玄冬。これは中国の故事を取り込んだもの。北原白秋の名ももここから来ている。 何故秋は白なのか、というのも愚問だが、そう思ってみれば秋は確かに白かもしれない。紅葉の鮮…

囲碁AIと子規

碁にまけて厠に行けば月夜哉 子規(明治31年) (今日現在対局が行われている、第46期名人戦。ライブネット配信である) 将棋の藤井聡太さんが叡王タイトルを獲り、10代での3冠は史上初というニュースが駆け巡っている。囲碁では井山裕太さんが全7冠は失った…

アフリカフウチョウソウと「ふじのくに地球環境史ミュージアム」

のっけには全員名はなし草の花 田んぼの水路わきで、見慣れない花を見つけた。 実はそれは一年前のこと。その時、図鑑やネットでいろいろ調べてみたが、分からずじまいで断念。以来気にかかっていた。先日そこを通りかかった折に改めて草むらを歩くと、ちゃ…

ノカンゾウに夢中

ウマオイも花に眠るや真昼時 今年は庭のノカンゾウがとても元気で、次々と大きな花を咲かせてくれる。花の色は個体によって、黄色っぽいものから、朱色っぽいものまで微妙に違っていて、庭の花は黄色っぽい部類か。 と思ってみていると、その一つに緑の虫が…

堤防にも秋の花

声あらば何を語るや草の花 大雨がようやく収まったので、久しぶりの堤防漫歩。 この夏も、猛暑だ、オリンピックだ、コロナ警戒宣言だ、土砂崩れ、アフガンだと言っているうちに8月も下旬。なんだか時間が全く自分のものでなくなってしまって、モモじゃない…

西洋のセミ事情 (奥本大三郎氏の本から)

大水や蝉の生まれぬ里となる 窓を開けておいたら、蝉が飛び込んできた。カーテンにとまってじっとしているので、外に出そうと摘まむと、ジーッと油の声を出した。うるさくなる前に外に出してしまった。この2,3日の雨で蝉はずいぶん静かにしている。 最近…

ウマノスズクサと馬鈴薯

小用を足さんとすれば葛葎 野原は油照りだが、次第に秋の気配も見せ始めた。この時期に一番目立つのはつる植物。クズやカナムグラ、イシミカワ、ヤブガラシなどが各々自分がたくさん日を浴びようと、絡み合いながら、野原をのたうち回っている。甲斐信枝さん…

蛇か!いやイモムシだ(閲覧注意)

芋虫や生まれながらに太々し(ふてぶてし) なんだと思われる方もおられるだろうが、これはイモムシ。まったくヘビそのもの。 先日、ムサシアブミの葉が食われているので、よくみると、このイモムシ。まあ、葉っぱの二三枚ならいいにしようと思って放ってお…

巣立ち鳥 3様

巣立ちたり本能のまま淡々と ひと月ほど前、雨の田んぼの畔に、ムクドリの親とひな鳥の姿をみつけた。親が何かを啄んできてはひな鳥の口に渡している。そんなにたくさん虫がいるのかなと思うほど、頻繁である。雛はもう親と見分けがつかないほどの大きさだ。…

ユリと子規

鬼百合やうつむいたまま裾まくり 風で折れちゃったけど、活ける? お隣さんが、カサブランカを一茎持ってきてくれた。大きなツボミが2つついている。二三日後、二つとも大きな花を開いてくれた。夜は家中を香りでいっぱいにしてくれる。 我が家の庭のカサブ…

キキョウへの想い

寂しさの風船割れて桔梗咲き 庭のキキョウがさいた。咲く前のツボミがふくらんでくるのも楽しかった。地植えのものが、ヨトウにやられてしまったので、この春苗を買ったものだが、鉢でしっかり花をつけてくれた。 私にとって、青いキキョウは盆花であって、…

「長雨蓄積型」の土砂崩れ

梅雨出水いま大雨雲の下に居る 熱海の伊豆山で土石流が発生した。 テレビで見ると、土石と言っても石の少ない泥流が沢に沿って流れ下った感じで、その速さと激しさに息をのんだ。一瞬に多くの人の命、生活が失われた。数年前の広島の災害を思い出す。まさに…