小鳥見る地蔵となりて小半時
(まだぼんやりしている)
バーンと音がして、ガラス戸に小鳥がぶつかったようだ。
急いで庭を見ると、きれいな小鳥が落ちている。くちばしの色が明るいバーミリオンだ。まだ息はあるようで、細い足を突き上げたりする。寒さで死んではいけないと思って掌に包んでしばらくじっと暖めていた。そのうち少し体を動かしたので、小さく指でトントンと刺激を与えてやった。どうやら意識を回復してきたようなので、脇にあった軍手を布団がわりにして風を避けておいておくと、ギ―ッと声を出して跳ね上がって1mほど駆けて、そこで立ったまま10分ほどじっとしていた。
と思ったら、パッと飛び去ってしまった。
年に1、2回はあることだが、今回は死ななくてよかった。
写真にとって調べてみると、ソウシチョウという鳥かもしれない。
「恐るべし、外来生物」(静岡県文化財団発行)にある北川捷康さんの記事を読むと、真っ先に出てくるから外来鳥の代表格のようだ。以下この本を参考に。
この鳥は、中国南部からアジア南部に広く分布していて、既に江戸時代から飼育されている記録があり、特に1972年の日中国交正常化以後多数移入されたという。それらが逃げ出したり放鳥されたりして日本に生育域を広げていった。普段は標高1000m以上の高地に棲んで冬は低いところに降りてくる。
名前は、相思鳥。
「飼っていた雄と雌を離したところ、お互いに呼び合うところから命名されたと、いかにも作り話のようであるが、その習性は間違いない」、そして鳴き声も「澄んだ優しい感じ」だとしている。
ただし、「日本の侵略的外来種ワースト100」に名を連ねていて、高地のコマドリやコルリの減少の原因となっている可能性もあると、北川さんは指摘している。
以前、やはりガラス窓に鳥がぶつかり死んでしまったことがあった。鳥の相方だろうか、一羽が近くでピーピーと鳴いていた。丁度その時、私はロス・アンヘレスの「オーヴェルニュの歌」を聴いていた。しかも「一人のきれいな羊飼い娘」という曲で、この訳詩はこうなっている。偶然の一致であった。
ああ、私は哀れな羊飼い娘
捨てられてしまったのだわ
つれあいをなくした
キジバトとそっくりに!