ルリタテハ枯葉と見れば忽ちに
この幼虫は、いかにも毒々しい姿をして、毎年我が家のホトトギスを丸裸にしてくれる。これまで当然殺虫剤で駆除していて、何の疑いも持たなかったのだが、ある時知人に、「あれはルリタテハの幼虫だよ」と教えられた。
ルリタテハといえば馬酔木の咲く早春、庭に遊びに来て枯葉そっくりな姿で日を浴びている。翅を開閉すると青地に白っぽい線が鮮やかに目に映る。そしてまるで忍者のような素早さで飛び去って行く。一風変わった個性的な蝶だ。
それではと思って、10月15日、今年最後の一匹をホトトギスの葉に見つけたので、殺さないでおいた。そして、注意してみていることとした。
10月24日、ホトトギスに姿が見えない。近くを探すと、約50㎝ほど離れたところに生えていたミズヒキの細い茎にとまっている。ここまで歩いてきたようだ。サナギになる準備中か?
10月25日、ここで蛹(サナギ)になった。2cm5㎜ほどの大きさで、後部一点でぶら下がっている。まだ毛虫の殻がくっついている。ここは枝が垂れてしまって地上10㎝ほどの位置で、しかも日当たりが悪い。大丈夫かな?
その後、何も変化がない。10日も経つが、やはり日当たりが悪いから寒くてだめなのかと思い、ぶら下がっている茎を根ごと鉢に入れて日当たりの良い場所に移動した。その後も変化なし。死んでしまったのだろうか。羽化は本当に大変なのだ。昔、ゲンゴロウを飼育していたが、その羽化も大変で成功率は半分に満たなかった記憶がある。
と思いきや!
11月17日、今朝のぞいてみるとサナギの所に黒いものがみえる。羽化した!
じつにタイミングがいい。多分羽化したばかりらしく、殻にとまったままで動かない。急いでカメラをとってきて撮影に成功。10分以上そのままじっとしていたが、急に素早く飛びたち近くのブドウの葉にとまった。サナギから実に23日が経過している。
日向に出て盛んに翅を開閉して体温をあげている。五体満足なようだ。(写真に見るとおり外見はボロボロだが、これで正常)これからこいつは冬を越さなければならない、厳しい生活が待っている。
がんばってちゃんと生き延びろよ。
一つの命のドラマに付き合うことができた、そんな嬉しさがこみあげてくる。