大銀杏大見得切ったる落葉かな
昨年伺ったときには、遅すぎて裸木になっていたので、今年はそのリベンジ。境内に入ると、燃えるような黄金色が目に飛び込んできた。並んで立つ二本のイチョウは樹齢200年。枝ぶりも堂々としてさんさんと秋の陽にを受けて輝き、葉を散らせている。木の下は柵で囲われていて散り敷いた落葉も輝いている。1時間ほどゆったりと堪能した。黄色い光に包まれて心身が蕩けて霧散してしまいそうだった。
一本は雌株で銀杏の実を落としていて、異臭が漂ってくる。境内にある別の雌株も実を降らせていて、村の人がバケツで拾い集めていた。そして、目を移せば雪の富士山が真っ青な空に白く輝いている。
昨年のブログに、イチョウは中国原産で日本には鎌倉から室町時代頃に渡来したらしいことを書いた。
(参考:https://zukunashitosan0420.hatenablog.com/entry/2020/11/30/145741
幕末近く、シーボルトはたくさんの草木をヨーロッパに送り込んだが、1860年ころのリストの中にイチョウ(その一種)とあるので、オランダのライデン気候順化園にギンナンが蒔かれたのかもしれない。今、ヨーロッパでイチョウがどのようになっているのか私は知らない。
当然その当時、ヨーロッパには無かったので、印象派の画家たちがイチョウを描くことはなかった(と思う)。ゴッホもイチョウを見たことがなかっただろう。これもifになるが、もし日本の秋の燃えるようなイチョウをゴッホが見ていたら、糸杉ではなくて、イチョウを描いていたかもしれない。あのうねるようなタッチで。それも名画になったろうと思う。
(参考: 石山禎一「シーボルト」―日本の植物に賭けた生涯 里文選書)