ユリと子規

鬼百合やうつむいたまま裾まくり

 

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風で折れちゃったけど、活ける?

お隣さんが、カサブランカを一茎持ってきてくれた。大きなツボミが2つついている。二三日後、二つとも大きな花を開いてくれた。夜は家中を香りでいっぱいにしてくれる。

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我が家の庭のカサブランカは、株も大きく豪勢になっていたけれど、残念ながら突然絶えた。ユリ根が虫に食われたのだろうと思っている。今年は細い茎が伸びていて、まだ花には遠い。

カサブランカは、白い家、という意味のスペイン語らしいが、花自体は日本原産のヤマユリをヨーロッパが改良したものだという。ツバキもそうだが、彼らはみんなバタ臭く変えてしまう。以前書いたブログ参照。 

https://zukunashitosan0420.hatenablog.com/entry/64612787

 

玄関先のプランターでは、今年も豪勢にオニユリが咲く誇っている。これが、カッと咲いてくると梅雨明けが近い。これにはアゲハ蝶がたくさん寄ってくる。それを見ているのも楽しみの一つ。

 

 

正岡子規は、亡くなる年に集中して百合の句をよんでいる。何かあったのだろうか?「小園の記」に庭の植え込みを書いているが、そこにユリは見当たらないから、多分切り花をいただいたのかと思われる。

子規がこっそりと布団の下に入れて書いていた「病臥漫録」には、メモのように14句が書いてあり、そのうち10句に〇がついている。自分で選句したと思われる。

「病床六尺」の8月5日には、多分その10句から、虚子と碧梧桐に選句させている。

碧梧桐は 用ありて在所へ行けば百合の花

虚子は  姫百合や余り短き筒の中     

 を選句した。そして二人はお互いの選句を、選ぶことがなかったと、子規は書いている。子規は苦心の末の作、

畑もあり百合など咲いて島ゆたか

を碧梧桐が第1に取ったと書いて行間に嬉しそうな感じが漂うが、「この句いまだ虚子の説を聞かず。賛否を知らず。」

碧梧桐のとった句は、オニユリのような野性的な赤い百合を感じるし、虚子がとったのは姫百合で白い繊細さを感じる。二人の資質の違いなのかな。私はどちらか言えばオニユリ派だ。

それにしても、余命一か月の子規の蝕まれた肉体に、こういう強い創作意欲があるのは驚くべきことだ。