野草

クマガイソウをみにいく

閑けさやクマガイソウに風もなし クマガイソウが咲いている、という新聞記事を読んで友人と見に出かけた。図鑑でみるクマガイソウの派手な姿を実際に見るとこができると思うと、向かう車中からワクワクした気分になる。 件の場所は、静岡県掛川市倉真で人里…

帰り花・・・子規と良寛と雑感

蜜すこし蝿を寄せたる帰り花 鉢に植えたヒメユウスゲが咲いた。なんと12月、大雪のこの時季にである。目に飛び込むような鮮やかなレモンイエローの花弁。花茎がほとんど伸びていないため、花は地面から突然咲き出している。転がっているように見える。葉は余…

セイダカアワダチソウの昨今(キク科)

泡立草美し 瑞穂のど真ん中 セイダカアワダチソウの黄色い風景は、もう見慣れてしまって驚くこともなくなった。むしろこれが無かったら秋の風景が寂しいとさえ思われる。それはセイダカアワダチソウが、爆発的に繁茂した頃と比べて幾分数が減り、風景全体で…

オケラが咲いていた

この山に再来(く)ることありやオケラ咲く (オケラ キク科 不機嫌なとっつきにくい花だ) 久しぶりの信州行き。長野市浅川の市営墓地にある義父の墓を訪ね、花を手向けてきた。コロナ自粛を経て10年ぶりにもなるだろうか。 墓地は善光寺から北に向かって2…

曼殊沙華 赤と白

曼殊沙華白く咲かせて色懺悔 人差し指ほどの茎が伸びてきたなと思っていたら、すぐに花が満開になった。彼岸花の名のとおり、暦通りにやって来てくれるのが、うれしい。 暦の名前と言えば、セツブンソウ、半夏生、八朔などがすぐ思いつくが、最近花の時季が…

草の花 

雑草も今朝は秋草庭一面 庭の植物は今年の異常な暑さには参ったようで、いろんな優しい花は溶けてしまっている。雑草たちは、手入れをされないので伸び放題。雑草なのだが、この季節になると、やさしい慎ましい花をつけ、愛しさが増すので、「雑草」から「秋…

炎天の浜を歩く

炎天や漁船も雲もただ白し あんまりにも暑いので、意地になって、海を見にいった。 焼津の石津浜である。近くには小川漁港がある。 この付近の浜は小泉八雲が夏になると家族を連れて遊びに来ていた場所で、「乙吉だるま」という短編も残している。浜は松林の…

蓮見には暑すぎて

白蓮も悟りて散るやしどけなく 近くの沼に蓮がたくさん咲いている。 早朝に見に行こうと考えていたら、今日ももう10時を回ってしまった。気温もどんどん上がり30度に近い。ハスの花見は朝早くというのが相場であり、午後になると花は閉じ、数日開閉を繰り返…

夏の小國神社と草花

涼しさや杉の参道進むとき 連日33度続き、熱帯夜、夕立も降らないこの異常な暑さの中、遠州森町の小国神社に詣でた。あそこなら涼しいかなと思ったからなのだが、結果、実に涼しかった。 土曜日とあってか、駐車場もほぼいっぱい、門前の茶や横丁も混んでい…

牧野富太郎展 または菫(スミレ)はセロリ

来世はエノコログサでも良しとせん (博士の東大助手の頃 明治33年:本と標本の山) NHKテレビの連続ドラマで、牧野富太郎博士がテーマになっている。これにちなんで、かどうか知らないが、静岡県立の「ふじのくに地球環境史ミュージアム」で牧野博士の企…

朱い夏

鬼百合や弾け咲く瞬(とき)今朝も見ず 雨が上がった朝、ぱっとオニユリが咲いた。今年は玄関近くのプランターや花の鉢から茎が20本ほど立ち上がっている。自然に増えたものだ。二三日したら花が10個以上になってきて賑やかになった。豪快で気分がいい。アゲ…

マツバランをみつけた

万緑やわれまた植物細胞を持ち 日陰を探して、山の農道に車を停めてぼんやりしていたら、脇の石積みに変なものが目に入った。初めて見るもので、花なのか枝なのか何だか全く見当がつかない。まわりはツタや花の終えたテイカカズラなどが繁茂していて、その隙…

「半夏」生と「半夏生」

半夏生白さは私の病気です 七十二候に半夏生(はんげしょう)がある。七月初めの5日ほどを指している。 で「半夏生」という草だが、ドクダミの仲間で葉の一部が白くなる特徴がある。わが庭にも病的な白い葉を何枚か光らせていて、異常に目につく白さである。…

庭にカボチャを

庭園にかぼちゃ咲かせてポストモダン 農協で野菜の苗を見ていたら、カボチャの苗が目にはいり、ふいにカボチャを植えてみたくなった。といっても畑はない。 さてどこに?と考える。 こいつは野生的だからどこでも大丈夫そうだ。では庭の花畑、野草が乱雑に植…

キキョウソウの仲間たち(キキョウ科)

振り向かずただ夏野行く二人かな 梅雨に入ったという夕方、散歩していると道の脇にキキョウソウを見つけた。 紫のぱっちりした花を数個つけて、茎はまっすぐに30センチ以上も立ち上げている。花の大きさは1.5㎝くらい。茎の下部に見えているのは閉鎖花と…

エビネに出逢う

空山に人語の響きエビネ咲く エビネを見にいかないか、と友人に誘われて、野生のエビネを見にでかけた。彼は昨年たまたま近くの山を歩いていて、花に出くわしたのだそうだ。 「もういい頃だと思うけど、咲いていればいいんだが」 と心配そうにしている。山の…

かきつばたと牧野富太郎博士

かきつばた少年愛は院の中 藤枝にある田中城跡に、カキツバタを見に出かけた。 この城跡は、現在は学校敷地となりおもかげは少ないが、その一部の下屋敷跡が整備され、本丸櫓や茶室なども移築されていて、わずかに歴史を偲ぶことができる。カキツバタが咲く…

草の芽 五態

地球いまこの一粒の芽生えかな 草の芽が躍動している。 日当たりが遅い我が家の庭にも、ようやく芽生えがやってきた。草の芽は、土の中で蠢いて騒ぎ、もがいて外に出て、始めはあれッという感じで大人しいが、すぐさま遠慮なしに伸び始める。その顔を見てい…

野花の苗

花の芽に世界のことなど希みかけ この時季は花屋さん、苗木屋さんをのぞくのが楽しい。 ポット植の南高梅が昨夏に急に枯れてしまったので、もう一度ウメを植えたいなと思って、きょろきょろしているのだが、それ以上に色々な花々が鮮やかで思わず知らず見入…

ミゾソバやタコノアシなど秋の沼

みぞそばの瀬を跳びかねて遠回り 近くの沼を散歩していると、ミゾソバが満開だった。見れば見るほど砂糖菓子のようで可愛い花である。 みぞそばや金平糖のお姫さま こんな句が出てくる。 サクラタデはもう終わり。今年は台風15号の出水で花の時季に泥かぶ…

壱岐対馬の野の花をちょっと

対馬海流のお陰で暖かいのだろう、壱岐対馬の森はシイなどの照葉樹が目立った。それは伊豆などに似た雰囲気だった。対馬の金田城(257m)にシイの実を踏んで上ると、眼下には絶景が広がっていたが、陸地は文字通り一面の山と森林で、素人の私の目にはスギな…

すすきの穂が出て

穂に出でて風におどろくススキかな ススキが美しい季節だ。 一つ一つの穂花もいいし、群生して風に波打つのもいい。古来日本人がこの姿を愛でてきたのも納得できる。しかも屋根をふくにも欠かせないものであればなおさらである。 枕草子64段は知る人も多い…

ことしも白萩

黄蝶きて萩さわぎ立つ日の光 白萩が満開になった。遠慮なく花をこぼしている。 そして決まったように黄色の蝶が2,3匹やってきて、花叢の上でくるくると舞い踊り、舞い降りて枝にとまりじっとしていたと思うと、早々にまた高く上がったり。賑やかで楽しそ…

キツネノカミソリ (ヒガンバナ科)

キツネノカミソリが咲いている、という新聞記事を見て重い腰を上げた。 場所は高山という市民の森で、静岡市街地から小一時間ほど。標高700mの山頂は広場になっていて、立派な山桜が一本枝を張っている。眺望も素晴らしく静岡市街、駿河湾、そして遠くに富…

ヤブカラシ (ブドウ科)

変電所立ち入り禁止ヤブカラシ 世界は異常な暑さ。日本もまた同様で、連日猛暑日だ。 この暑さで、我が家の梅の木も葉が全部落ちてしまった。ブドウもどんどん枯れて落葉している。しかし野原のクズやヤブカラシは平気そのもの、しっかり蔓を伸ばしている。 …

狭庭の花レポート

青簾富山の風鈴蚊遣り豚 (ウツボグサ シソ科) どうやら梅雨に入ったようだ。今日も昨日も雨。 句は、夏になると出てくる定番の小物たち。富山の風鈴は、かつて高岡市の万葉歴史館を訪れた折にそこで買ったもの。 庭には、ウツボグサが咲き始めた。キキョウ…

「卯の花と小町」雑談

色うつる卯木の花を挿頭(かざし)かな 山では卯木が満開。種類もいろいろだ。 おや、花の色が白とピンクのものがある。 帰宅して調べたら、ハコネウツギ(もしくはニシキウツギ)らしい。いずれも白から赤に変化し、両者の区別は難しいとのことなので、即断…

ニセカラクサケマンでしょうか??

草茂る名前も風も横向きに おや、見かけない花だね? 最近、静岡の麻機遊水地がさらに拡張された。まだ雑草の少ない、広々とした水辺の風景は心地よい。そこに見たことのない花を見つけた。 ムラサキケマンが何かおかしく生育してしまったのか?それともヨナ…

チガヤまたはツバナ

空につづく径浄めたる茅花かな この季節、チガヤの花穂が真っ白に風になびいて美しい。 白というより光というほうが感覚としては近いかもしれない。俳句ではこの風を「つばなながし」といい、特別扱いしていることでも、この花穂に対する日本人の思い入れが…

立夏の白い野草たち

卯の花を挿せば小雨となるやらん 今日は白い花にスポットを当ててやろうと思う。 先ずはウノハナ。といってもこれはバイカウツギで野草と書いたが園芸種かもしれない。微かに香るのも品がいい。 でも、わが狭い庭の草たちは、今が盛りと生長し花をつけている…