キツネノカミソリ (ヒガンバナ科)

キツネノカミソリが咲いている、という新聞記事を見て重い腰を上げた。

場所は高山という市民の森で、静岡市街地から小一時間ほど。標高700mの山頂は広場になっていて、立派な山桜が一本枝を張っている。眺望も素晴らしく静岡市街、駿河湾、そして遠くに富士山も望まれ、思わず背伸びをしたくなるほど。家族づれにも人気のハイキングスポットになっている。

実は2年前にも訪れたのだが、そのときは虻が異常に多く、ほとんど車から出られなかったのだった。今回は沼を巡って、山頂までも歩くことができた。

 

キツネノカミソリは、ヒガンバナ科

春先に出る白緑の細長い葉を、キツネが使う剃刀に見立てた名前だという。だがこの時季には葉はない。

花は林下のやや陰ったところに何本かずつ咲いていて、可憐である。赤というか絵具のローズマダーのきれいな色をしている。管理人さんの話では人の手によって移植されたのだろうとのこと。隣の竜爪山にはオオキツネノカミソリの自然群落があるときいていて、見たいと思いはするのだが、行ったことがない。宿題の一つである。

今回はこの花が見れたので満足。他にも松風草などがみられたが、総じて花が少ない時期である。

アサギマダラが3匹、もつれ合って飛んでいた。やや小型だった。

沼には水芭蕉が植えられているはずだが、見渡してもほとんど株が見当たらないので管理人さんに伺うと、「鹿が全部食べてしまったんです。沼を全部囲う訳にもいかなくてね、全滅ですよ」と困った顔をされた。

 

杉林からはヒグラシの声が響いてくる。胸にしみるようなさわやかな鳴き声。汗も引いていきそうだ。近づく秋を感じさせる。

ヒグラシや杉林を統べ高らかに