壱岐対馬の野の花をちょっと

対馬海流のお陰で暖かいのだろう、壱岐対馬の森はシイなどの照葉樹が目立った。それは伊豆などに似た雰囲気だった。対馬の金田城(257m)にシイの実を踏んで上ると、眼下には絶景が広がっていたが、陸地は文字通り一面の山と森林で、素人の私の目にはスギなども結構見られた。

いくぶん本土とは植生が違うのだろうか、と思いつつ、歩行中に眼についた路傍の花をせこせことスナップショット。

ダンギク (シソ科)

私は初めて目にした。写真は対馬の金田城で見られたもの。島内ではふつうにみられるようだ。花は段々につくからダンギクというのだろう、だがシソ科でキクらしくはない。九州北部や対馬に多いとのこと。花の少なくなるこの季節、紫が鮮やかだ。

 

トウワタ (キョウチクトウ科

これは対馬の最北端、韓国展望台の近くにある豊砲台跡地で。南アメリカ原産で日本には江戸時代末期の天保年間に渡来したようだ。静岡ではあまり見かけない。派手な花だ。寒さに弱いので暖地でないと自生しない。別名はアスクレピアス。これも初めて目にした。

 

ヤクシソウ (キク科)

静岡近辺で見ているものとは印象が違い茎などもしっかりした様なので、当初ヤクシソウとは思わなかった。壱岐対馬ではいたるところに見られ、景色を賑やかで明るくしている。これも豊砲台跡地で。

 

ナンテンハギ (マメ科

壱岐の勝本城址の公園で。この城は豊臣秀吉が朝鮮侵攻の際の兵站基地として、わずか4か月で完成させたと言われている。穴太衆が造った石垣は堅牢で今も当時の姿を残している。多分ナンテンハギで珍しいものではない。

 

ヤマハッカ (シソ科)

これも壱岐の勝本城址で。珍しくはない花だが、野の花らしくていい。シソ科の同定にはあまり自信がない。ハッカの匂いはしなかった。

 

オガタマノキ (モクレン科)

壱岐住吉神社境内にあり、壱岐の銘木に指定されている。こんなに実をつけているのも初めて見る。オガタマノキは、招魂(おきたま)から転じたと言われて、神社によく植えられている。天鈿女命(あめのうずめのみこと)がアマテラスを天の岩戸から呼び出すときに、この木の枝を持って踊ったといわれる。また鈴はこの木の実を模したものとも。私は文献などを知らない。