ミョウガの花とハナミョウガ

こぼれ出た茗荷の花や小さき声

f:id:zukunashitosan0420:20211003103426j:plain

空が澄んできて秋の気配がし始めると、茗荷が花をつける。地面近くに文字通りひっそりとである。

裏の半日陰に生えている茗荷は、株数で20本ほどだろうが、今年もたくさん花をつけた。葉陰の暗がりに、一見タケノコのように出てくるのは茗荷の子ともいい、花穂だという。花は一日花で、花穂から順繰りにいくつか出ては咲く。軟弱にひょろっと出て咲く、なんとも言えない幽霊のような頼りなさが陰気で面白い。受粉はするのかどうかは知らないが、花を見る限り、私には生殖器官だという認識が湧いてこない。

 

茗荷は酢漬けも美味いが、田舎の母のみそ漬けを思い出す。シソの実のみそ漬けも忘れられないが、いずれももう口にすることはできない。

以前、魏志倭人伝に出てくる茗荷でも書いたが、茗荷を食するのは日本人だけのようだ。かつて中国大陸から渡ってきたのだろうと推測されているが、中国人は現在はあまり食べていないという。

(参考:https://zukunashitosan0420.hatenablog.com/entry/65179829

 

角川文庫の俳句歳時記を見ると、秋に「茗荷の花」「秋茗荷」で載っている。そして「花茗荷」は別種で食用ではない。と書いてある。

これには驚いた。私はてっきり同じものをさしていると思っていたからだ。

 

f:id:zukunashitosan0420:20211003103715j:plain

(これがハナミョウガ:5月の花:ミョウガとは似ても似つかない姿)

 

ハナミョウガは、ショウガ科の多年草で、本州関東以西から九州までの暖地の林内に生えていて、季語としては夏だという。私の写真は静岡県里山で5月に撮影したもの。多分これがハナミョウガだと思われる。赤い実に結実する。

ネットで俳句を見ていると、茗荷の花と花茗荷を混同してるものが結構見うけられる。

 

ということで、私の句も、花茗荷としていたものを急遽差し替え手直しした次第。