#春

ヒトリシズカが来た

起きるよりヒトリシズカを幾たびも ヒトリシズカがようやく咲き始めた。「造化の妙」についついみとれてしまう。 はじめは赤黒い太いマッチ棒のような茎が慎重にかおをのぞかせて、よく見るとその先はこれから開いていく葉であって、中に白いものがちょっと…

寒戻り・料峭

突然の一平 解雇寒戻る 驚きのニュースだった。大谷が無辜の天才野球少年に思えるだけに、こうした「俗世間」が彼を襲うのは、なんとも寒々しく、自分にも忸怩とした気持ちがよぎる。 さておき、 あの暖かさが一変して、強い寒気が来た。この寒の戻りを俳句…

ツバナの飛行場から

出立や茅花(つばな)偃(のえふ)す飛行場 新緑に誘われて、車を走らせているうちに「富士山静岡空港」に行きついた。ここは全国有数の茶の産地、牧之原の台地で、一面の茶畑が広がっている。茶の芽はまだ伸び始めたばかりで、茶摘みまでにはもう少し必要だが、…

花の三月尽

名草の芽空を恋うるや空を指し (ヒトリシズカ) 今年はまた一段と花が早い気がしている。 気象観察の資料として庭の花などをメモしておく。 アマドコロが数日前に芽吹いてきた、と思ったらもう咲き始めた。ヒトリシズカは満開。ニリンソウもほぼ満開。タン…

草の芽 五態

地球いまこの一粒の芽生えかな 草の芽が躍動している。 日当たりが遅い我が家の庭にも、ようやく芽生えがやってきた。草の芽は、土の中で蠢いて騒ぎ、もがいて外に出て、始めはあれッという感じで大人しいが、すぐさま遠慮なしに伸び始める。その顔を見てい…

河原でヤナギが満開

柳咲いて大河目覚めの狂詩曲 安倍川の中流を歩くと河原のヤナギが満開だった。眩しいほどのディープ・イエローに咲き誇っている。 まだ風は冷たく傾き始めた午後の光の中で、おびただしい数のヤナギの樹々が燃えるように浮かび上がる。石ころの両岸に沿って…

ジャガイモから馬鈴薯へ?

薯(いも)植えるインカの如く棒つつき 台所で芽が生えていたジャガイモを、初めて植えてみた。といってもただ土を棒でつついて穴を掘り、上らしき方を上にしてそのまま埋めただけ。イモは丈夫だからきっと生長するだろうと信用している。これで一個の薯が数…

早春の赤い花木たち

春動く花にも兆す血のゆらぎ 満を持したように、赤い花が咲き始めた。 これは、木瓜(ぼけ)。 これは、緋寒桜(ひかんざくら)。実際はもっと黒っぽい。 これは、紅梅(こうばい)。 これは、玉之浦(たまのうら)。 早春の花の赤や紅には、身から絞り出し…

早咲きサクラと小泉八雲

初サクラいざ生きめやもこの朝(堀辰雄風に) カワヅザクラは、ピンクが鮮やかでとても早咲きだ。近所にもたくさん植えられていて、1月の半ばから、もうちらほら花が見えてきた。その中でも特に早い一本があったので、写真を撮ってきた。盛りの時季よりはま…

ウグイスとイソヒヨドリ

囀りや森の深くは暗きまま (情けない写真だが、ウグイス) 最近家の近くにウグイスが毎日来て、早朝から美声を聞かせてくれる。 今年の彼は歌が上手くて、ケキョの部分を二度繰り返し気味に鋭く響かせ、これまで聞いたなかで指折りだ。このケキョが、街に響…

柳絮、柳を挿すということ

芽吹きから青柳までの早さかな 公園を歩いていると、おや?白いものがたくさん飛んでくる。 柳絮だ。これはヤナギの花のホワタで、近づいてみると今を盛りに枝も真っ白である。 柳絮、と書くと、なんだか中国の古い時代、唐詩や伝奇集を思い出して現実離れし…

馬酔木の花柄摘み夢想ー1

甘えたき香り微かに花馬酔木 庭の馬酔木がおわった。あせた不様な姿をさらしている。 でも2月から二月ほど庭を贅沢に彩ってくれた。ピリッとした空気の朝、かすかに漂う香りも嬉しかった。メジロやヒヨドリの群がる木であったし、タテハチョウが真っ先に飛…

万朶のサクラ妄想

酔え笑え花すっぱだか我すっぱだか 満開の桜の下を歩いている。香りがうっすら漂ってくる。 溢れるような万朶の桜に包まれると、桜の花の下には死体があるとか、桜は神の依り代でこれを頼りに神が下りてくるとか、何かあの世的な、魔的なさまざまな想像を呼…

野草の小さい花

草萌ゆる一丁前面小さき花 (くさもゆる いっちょまえづら ちさきはな) 普段は気にもしにない雑草の小さい花たちが、やはり芽吹きのこの時期は、特別に可愛く感じられる。 枕草子に 「うつくしきもの。瓜にかきたるちごの顔。すずめの子の、ねず鳴きするに…

ものの芽 3枚

ものの芽や赤子のちんちんつまみたし これはチューリップ 玉が小さいので、今年は咲くかどうか? これはバイモユリ これが一番早く咲きそう これはムサシアブミ まだ冷えるのにこんなに芽を伸ばして大丈夫か?

紫色の野草を4つ

野の花や清明の雨やわらかに ジュウニヒトエ(シソ科) 庭の隅にあったものが、ゆっくりだが着実に地保を固めて増えている。春に花茎を立て鈴なりに紫色の花をつける。その立ち上がった姿がいい。 ただし写真の花は、どうやら園芸種のアジュガで西洋ジュウニ…

草の芽 ビッグバン

庭十坪 木の芽草の芽ビッグバン (ヒトリシズカ:センリョウ科 やっと上がってきました) じっさい、芽というものは、葉や花とおなじぐらい奇妙で、千差万別だ。あたらしい相違点を見つけていたら際限がないだろう。しかし、それを見つけようと思ったら、ほ…

啓蟄の日の芽ぶき

啓蟄や蚯蚓ぬくぬく土を喰う 今日は啓蟄。24節気の一つで、虫が穴から出てくるという意味だという。いよいよ賑やかになる。自然界は上手くできていて、虫たちは草の芽生えに合わせて姿を現す。そうして緑をバリバリ食って成長する。草もまた受粉などを虫に…

「土匂う」 いい季語だね

信州のしょんべん小僧や土匂う (フラサバソウ :オオバコ科) 日向は土が温まって、草の芽が一斉に芽吹き始めた。せまい十坪の庭も徐々に草に覆われていく。その上に、馬酔木と椿がほころんで贅沢に落ちている。 このところ毎日、何度も何度も草の芽を視に…

山火事おさまれ

山火事や上州名物空っ風 足利の山火事をハラハラしてニュースを見ていたが、1週間してようやく勢いが衰えて来たようだ。この時季の乾燥と強風で、たぶんハイカーの小さな火種が、106万㎡を越す山を燃やした。アメリカやオーストラリアを連想してひやひや…

椿と梅と花馬酔木 3句

梅の香に芭蕉も蕪村も子規も居り 雌蕊だけは枝に残すや落ち椿 花房の風に馬酔木や香を少し

セツブンソウと気象庁の生物季節観測

節分草ユーゲント・シュティールの色を咲き (これは昨年の花 今年はまだ小さいツボミ) 今年の節分は2月3日ではなく2日で、これは124年ぶりだという。従って立春が3日になる。ようやく春だ。 我が家の鉢植えの節分草が、やっぱり暦に合わせて咲き始めた。…

メジロのつがいの愛情

メジロ二羽餌台に遊ぶ春新居 (ヒヨに追われて、木の上に) 庭にエサ台を作ってしばらく経つが、常連はメジロのつがいだけ。ヒヨドリはうるさいので、追い払ってしまう。ハトはエサ台に乗らないで下をうろうろ。スズメは近くにいるが、来ない。他の野鳥は、…

草木に寒肥を

庭十坪鶏糞二袋寒の肥 句のとおり私は毎年この時期、庭木に鶏糞を二袋ほどこす。あちこちに穴を掘って適当に埋め込むだけだが、これを年中行事としてやっている。 この時季に春に備えて樹木や果樹などに肥料を施すことを「寒肥」といい、俳句では季語に定着…

クスダマツメクサとコメツブツメクサ(マメ科の小花たち)

大方の花は眠らず春の宵 いつもの堤防を歩いていて、ふと黄色い小さい花が目に留まった。雑草ハンターの私の脳の図鑑にまだ載っていない花だ。なんだろう? 見渡すと周辺に数株が確認できた。 調べると、クスダマツメクサかと思われる。ツメクサだから、マメ…

コロナに見えた ハマボウフウ

怯えればコロナを見たりハマボウフウ ハマボウフウ。セリ科。 砂地に生え、春は茎が食用になるということで、各地で激減しているとのこと。私は食べたことがない。まばらに生えていたが、個体数はたくさんあった。 花が半球状について、流行りの新型コロナに…

早春の山の花たち

ぷつぷつと面皰(にきび)が痒し木の芽時 (キブシ) 先日700mほどの近くの山、高山市民の森(静岡市)に登った。といっても駐車場に車を停めて、そこから登るのは高低差100mほど。 早春の木々や草花の芽吹きを見に行くのが目的だったが、風は冷たく、草木…

マンサクにコロナ

マンサクのころなり郷を出で立ちぬ 新型コロナウィルスが感染拡大。政府はバタバタと休校を要請、野球もサッカーも自粛。株は下がり、裁判員裁判も延期。マスクがない。 冒頭の俳句は、コロナをよみ込んで、遊んだもの。 (湯殿山への道で) さて、マンサク…

モグラの穴に驚く!

春の野や土竜(もぐら)は眠くやわらかく 公園の芝生にモグラのトンネルがよく見えていた。音と臭いでミミズを追って捕まえ、さばいて泥を出して食べるのだという。本当かな。 我が家の北側にも棲んでいて、たまに穴をつぶしたりするのだが、ネズミに比べて…

暖冬大寒

大寒の地の底を打つ鼓動かな (早々とリュウキンカが咲いた。雪山では4,5月頃咲く花だ。) 暖冬で、雪国に雪がない。クマは冬眠しない。ヒマワリが咲き始める。 困ったものだ。 という以上に自然の微妙で複雑なバランスが壊れると、いろいろ問題が起きて…