寒戻り・料峭

突然の一平 解雇寒戻る

 

驚きのニュースだった。大谷が無辜の天才野球少年に思えるだけに、こうした「俗世間」が彼を襲うのは、なんとも寒々しく、自分にも忸怩とした気持ちがよぎる。

 

さておき、

あの暖かさが一変して、強い寒気が来た。この寒の戻りを俳句では、余寒、料峭、春寒、凍返る・凍戻る、冴返る などともいう。昨日今日の陽気はこの季語がピタリだ。

 

いつもより少し上流の堤防を歩いた。

河川敷のヤナギが黄色い花をつけ始めていて、遠目にも樹全体がぼうやりと黄色くふくらんで見える。時計は午後3時を過ぎただろうか。

ヤナギの黄色いふくらみは、日が翳り汚れてみえる藍色の山を背景にして、いかにもわずかな時季をかすめるように、一瞬の輝きを見せている。

このぼうやり感を若いころはいらいらして見ていたが、最近は愛おしく思えるようになった。

寒波が来ているらしい、急に冷たい風がはげしく吹いてきて帽子を飛ばす。フォーレのレクイエム、2番の奉納唱がイヤホンから流れてくる。寒さと暖かさが入り混じった、春先の不安な空に丁度いい。