草萌ゆる一丁前面小さき花
(くさもゆる いっちょまえづら ちさきはな)
普段は気にもしにない雑草の小さい花たちが、やはり芽吹きのこの時期は、特別に可愛く感じられる。
枕草子に
「うつくしきもの。瓜にかきたるちごの顔。すずめの子の、ねず鳴きするに踊り来る。
「蓮の浮葉のいとちひさきを、池より取りあげたる。葵のいとちひさき。なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし。
という、かわいらしい段がある。この時代の「うつくし」は現代の「かわいらしい、いとしい」という語感だったようだ。清少納言の女性らしい視線の柔らかさを感じさせ。心が和む。
庭の草たちも一斉に伸びだして、われ先に花をつけ生殖活動をして種を残そうとしている。いずれも、花はせいぜい5㎜。「うつくしい」けれど見えない厳しい競争がある。
フラサバソウ(オオバコ科)
ヒメウズ(キンポウゲ科)
・・・清少納言のいう「小さい葵」に似ていそうだから。