春動く花にも兆す血のゆらぎ
満を持したように、赤い花が咲き始めた。
これは、木瓜(ぼけ)。
これは、緋寒桜(ひかんざくら)。実際はもっと黒っぽい。
これは、紅梅(こうばい)。
これは、玉之浦(たまのうら)。
早春の花の赤や紅には、身から絞り出したような強さを感じる。それにしても、多様な赤色がある。これらをどういう言葉で、伝えればいいのか迷うところだ。
私の水彩絵の具(ホルベイン)のセットには、以下の4種の赤色が入っている。
ローズマダー、クリムソン・レーキ、バーミリオン、オペラ。
これらをネットで調べると、
ローズマダー。
マダー(madder)は日本語で茜(アカネ)のことで、セイヨウアカネから採取される、紫みを帯びた濃い赤をさす。
クリムソン・レーキ。
濃く明るい赤色で、若干青みを含んで紫がかる。メキシコなどサボテンにすむコカス・カッチという昆虫から抽出したコチニールからつくられる。
バーミリオン。
あざやかな黄の赤で、一般に、硫化水銀(辰砂など)を主成分とする黄色みを帯びた赤をさす。日本の朱色に近い。
オペラ。
明るい赤紫のこと。20世紀初頭に登場した色名で、歌劇の華やかなイメージを意味するとも言われるが由来ははっきりしない。などとなる。
一方、日本の伝統色として、手元の本*1 には
赤、茜、緋、紅、韓紅、紅の八塩、猩々緋、朱、蘇芳、臙脂、紅梅、桃色、桜色などがずらっと並んでいる。
微妙な違いなので、区別は難しいし、染めの濃さによってまた差が出るだろう。ただし染料としては、アカネ、ベニバナ、蘇芳など植物系のものが多く、猩々緋はコチニール、朱は辰砂が原料でこれは水銀と硫黄の化合物。
ということは猩々緋はクリムソン・レーキ、朱はバーミリオン。茜と緋はアカネで染めているのでローズマダー系なのかな・・・、と素人考え。
いずれにせよ微妙な区別は私の認知を超えている。上記の花の色を何と言っていいのか、木瓜と玉之浦はバーミリオン系、紅梅はアカネ系、緋寒桜は臙脂とか蘇芳系に近い?のかな。結局うまく言えない。
(参考:*1 中江克己「色の名前で読み解く日本史」青春出版社)