ぷつぷつと面皰(にきび)が痒し木の芽時
(キブシ)
先日700mほどの近くの山、高山市民の森(静岡市)に登った。といっても駐車場に車を停めて、そこから登るのは高低差100mほど。
早春の木々や草花の芽吹きを見に行くのが目的だったが、風は冷たく、草木が目を覚ますにはもう少し時間が必要のようだった。里山はもうニリンソウなどが咲き始めているけれど、この高さまで来ると草の芽も出ていない。
(ミツマタ)
そんな中で、キブシ。ミツマタ。サンシュユ。マンサク。などの木の花が見られた。種類はわからないがサクラの仲間。それからツツジの類だろうか、柔らかな緑色の芽吹きも眼に入った。
早春の花木たちは、葉が出る前に花を咲かせる。いずれも一風変わった花の形をしている。これがどういう生き残り戦略なのかは知らないが、気の遠くなるほどの長い時間の中で獲得してきた能力なのだろう。それが季節を感じ取って、毎年決まってこの時季、枝先に花をつける。不思議としか言いようがない。
(山頂のサクラ)
頂は丸くきれいに刈り払われていて、その遠くには真っ白な富士山が控えていた。そして眼下には静岡・清水の60万人がごちゃごちゃ暮らす平野が手に取るように一望でき、遠くは伊豆半島から御前崎付近まで見はるかすことができた。
山頂はおそらくここ数年で木が伐採され整備されたのだろう。私は今までも何度かこの頂に立っているが、こんな素晴らしい眺望になっているとは知らなかった。
山頂には大きなサクラが一本残されていた。堂々と枝を伸ばしていて、もう枝先は幾分赤味を帯びていた。実に一幅の日本画のようで、花開いたら改めて見に来たいと思わせる。
市民の森の施設は、新型コロナの感染予防のため、閉じられていた。
管理人さんが、外のベンチで手持ち無沙汰にしていた。
「ここなら問題はないと思うんですが、市の施設だから一斉に使用中止になってね。私もやることがなくてね」
ついでながら
山頂にはコガネムシが何匹も歩いていた。ちょうど羽化の時期だったのだろうか。緑金色でとても美しく、図鑑でしらべると不確かだが、オオセンチコガネに似ている。