キキョウソウの仲間たち(キキョウ科)

振り向かずただ夏野行く二人かな

梅雨に入ったという夕方、散歩していると道の脇にキキョウソウを見つけた。

紫のぱっちりした花を数個つけて、茎はまっすぐに30センチ以上も立ち上げている。花の大きさは1.5㎝くらい。茎の下部に見えているのは閉鎖花といって開かない花。側溝のコンクリートの狭い隙間から並んで生えていて、どうもこうした厳しい環境を好むようだ。以前九州で見かけて以来で、静岡では初めて目にする。

 

似た花にヒナキキョウソウという小型種がある。こちらは背丈はずっと低く20センチ以下くらいのが多い。花は余り開花せず、茎の頂上に1つ咲かせているものが多い。炎天下のグランド脇など乾燥した所にしぶとく咲いている。

 

また、よく似た花にヒナギキョウがある。こちらはひょろっとした茎には枝葉が無くて先っぽにこれまたかわいい乙女のような薄紫の花を一つつける。こちらは在来種である。

 

さて、私が参考にしている外来植物の本も古くなってしまった。淺井康宏著「緑の侵入者たち」だが、発行は30年前の1993年のものだ。しかし調べると嬉しいことに「キキョウソウ」は一項おこしてふれていた。

それによると、キキョウソウは北アメリカ原産で、主に第2次大戦以後みられるようになったもの。ヒナギキョウソウは昭和の初めに確認されており、この名前は前川文夫氏がつけたのだという。

「この仲間、欧米ではビーナスの手鏡と呼ばれ、可憐な野草として親しまれている。」牧野富太郎博士は、これにダンダンギキョウと名をつけた。キキョウソウは、密入国者のなかでも可憐な好ましい存在で、もっと増えてほしいものの一つである」。と結構肩入れをしている。

 

いずれもキキョウ科だが、名前がみな近似値で混乱する。一工夫あってもよかったように門外漢は思う。

本当のキキョウは、そろそろ蕾が小さくできてきた。今年は開花が早いかもしれない。