鉄腕アトムが俳句を作る?

父の日や子に叱られつつ手にスマホ

図書館から「豪華版 鉄腕アトム」を借り足しながら読んでいる。全部で14巻あるのだが、残念ながら1巻と3巻がみあたらず、1巻の一番目がいつ書かれた何だったのか分からない。この版じたいもう古いもので本も相当ガタが来ている。

アトムの初出は昭和26年らしい。戦後すぐの生まれの私の周囲には、その頃はまだ「のらくろ」が歩いていたし、杉浦茂のレレレッという訳の分からないのが流行っていて、それに比べるとアトムはとびぬけて現代的だった。

だがアトムの頭脳は当初決してすぐれてはいなかった。

昭和34年の「キリストの目」の巻のひとコマ。

 

それが、こうなる。昭和39年「すりかえ頭脳」の巻

アトムは、成績優秀クラスで一番。

コンピュータは自分で学習をしていく時代だ。

 

いま読んでいると、よくこんな素直な目をしたヒーローを創造できたものだと感心する。機械やコンピュータに対する人類の深い楽天的な信頼が底辺に流れているのを感じる。しかし巻を読み進めるにつれて、すなわち昭和の時代が進むにつれて、ストーリーは複雑になり環境問題や大学紛争、格差問題、ロボットによる人間の失職など社会問題もテーマに採り入れら、善悪が難しい設定もあらわれてくる。が、アトムという明るい素直な天性の個性(?)は変わることがない。本当に一時代を画したのだなあと読み直して改めて思う。こうした日本の少年時代はもう2度とこないかもしれない。

次の時代を画したのは、「ドラエもん」、かな。

 

最近とみに「生成AI」なるものがマスコミを賑わしている。私は自分の生活に必要とは思っていないので、これがどんなものか理解していないのだが、まさにアトムなどはこうしたレベルの頭脳なのだろう。

この生成AIなるものに、俳句を作らせたら、多分人間はとても敵わないだろう。毎日何万という句が日本中で作られているが、ほとんどは月並みを出ない。でもAIは多分もっといい句を一瞬で何万句も作るのだろう。

鉄腕アトムに俳句を作らせてみたかった。

 

さて俳人は皆職を失うことになるのかどうか。ひげおやじも悩む。現代人も同様だ。