湯たんぽ抱えて

此岸(ここ)に居て湯たんぽぎゅっと抱きしめる

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石油ストーブを使うと、湯がどんどん沸いてくれる。もったいないので湯たんぽを使い始めた。電気毛布や電気アンカとはちがい、暖かさに包容力があり不思議な幸せ感が味わえるので、一度使うと手放せない。

 

年末にまた、大阪の心療内科を襲うむごい放火殺人があった。犠牲になったのは、通院している患者さんたちだった。きっと生きずらさを抱えて何とか普通の社会生活を送りたいと日々悩んでいた人たちに違いない。容疑者の男は、自身のエキセントリックな性格からくる不幸をすべてを他人のせいにするような妄想に捕らわれていたらしい。

また有名女優さんが北海道の公演の前夜、ホテルから身を投げた。ベランダの遺体は雪に埋もれていたようだ。

現在社会の、行き所のない、寂寞とした心の風景が見えてくる。安らぎの場所を求めてたくさんの心が街をさまよっている。

私は、湯たんぽを使うと、いっときでもこのささくれた気分が穏やかになるような感じがする。電機ではない湯という人間の体の成分、地球の自然、羊水。湯殿山は湯そのものが口外してはならないご神体だった。湯たんぽにはそんなものに共通する力がありそうだな、と思う。