ひまわり雑感

ひまわりの十四五本もありぬべし
 
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ヒマワリの絵といえば、ゴッホと相場が決まっているが、ゴッホには何枚かのヒマワリの絵がある。損保ジャパンの持っているヒマワリの絵は、花が十数本ありそうだが、これは面倒だが一つひとつ数えないとわからない。
そう思うと、自然に上記の句が生まれる。
 
子規の「鶏頭の十四五本もありぬべし」もまた、数えるのが面倒だな、という句かもしれないなんて思ったりする。
ゴッホの絵は1888年、子規の鶏頭は1900年の作。意味もない連想。
ちなみに虚子には「向日葵が好きで狂いて死にし画家」という変な句がある。ゴッホのことと思われる。
 
ヒマワリの下戦後の半ズボン
 
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昔、ソフィア・ローレンとマストロヤンニの「ひまわり」という映画があった。
新婚の二人を戦争が割いて、男はロシア戦線に送られる。そして終戦になっても戻らず、消息もない。女はロシアまで探しに出かけると、男は命を救ってくれた女と家庭を築いていて子供もいた。それを見た女は列車に飛び乗りイタリアに帰るが、その後男が意を決して戻ってきたときには、既に女も結婚しており、男はまたロシアに帰る。悲しい戦争映画である。
派手なつくりのソフィア・ローレンの顔が、泣きっ面になる。つくづく男は女の泣き顔には敵わない。
 
この映画に、ひまわりが地平まで一面に咲いているシーンが出てくる。当時この光景は信じられないほどだったが、今は日本でもあちこちで見られるようになった。日本は観賞観光用だが、ロシアでは食用、油用だという。現在でもひまわり栽培の世界一はウクライナである。
 
どうしてあんなに一面に咲くのかと考えると、ひまわりの花がみな同じ方向を向いているからだと気が付く。皆こっちを見ている。
ヒマワリは、太陽の方向を向いて一日動くと言われ、それが向日葵(ヒマワリ)という名にもなっているのだが、どうやらそれは俗信らしい。牧野富太郎翁は「世人は一般に、ヒマワリの花が日に向こうて回るということを信じているが、それはまったく誤りであった。先年私が初めてこれを看破し…」(*1)と威張っている。しかし、回らないけれど東のほうを向く性質があるのだという。
ということは、花を見るには畑の東側から西方を見ないといけないから、地球儀でいえば、ロシア側からウクライナ側を見ることになる。両国の戦闘を思い出してしまう。

*1 「植物知識」 牧野富太郎 (講談社学術文庫