秋きぬと目にはさやかに空の瑠璃
秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる (藤原敏行)
よく知られた古今和歌集の歌。風の音に秋の到来を気づいた繊細な感受性が、平明に歌われている。日本人の季節の感受性を、言葉に定着させたような歌だ。
この時代の「おどろく」は、はっと気がついたというようなニュアンスらしい。
藤原敏行は9世紀後半の貴族。
秋たつや何におどろく陰陽師 (蕪村)
これも有名な句。上の古今集の歌を踏まえているのは瞭然だが、劇画タッチに変貌させた着想は非凡だ。
ただしこの句の「おどろく」は、古今集のおどろくに比べて、幾分現代語のびっくりするニュアンスが濃いのではないか?
私の駄句も、パロディーのつもり。
とすると私の駄句は、秋の最中の眼に見える情景句であり、当たり前すぎて面白くもなんともないということだ。
しかし、事実、空が青くなった。
そぞろ
秋立つや仕度を急げと風の声