2016-01-01から1年間の記事一覧

ウツボグサが咲く(シソ科)

山里を恋しがらせようつぼぐさ 一年前に天竜の山奥に棚田を見にいった折に、道の脇から一株いただいたもの。わが庭の雑草園で花をつけた。想定に反してずいぶんと色が薄い。可憐ささえ感じさせる。この花を見ていると、花が終わって焦げ茶色い松ぼっくりのよ…

びるぜんさんた丸や(処女聖マリヤ)―1

蝶を追えば蝶に追われて野辺の道 「かくれキリシタンの聖画」より「受胎告知」 「びるぜんさんた丸や」とは一体何かと面食らうが、じつはびるぜんはポルトガル語のvirgemで処女の意味、すなわち聖母マリヤのことである。隠れキリシタンの口伝の聖書「天地始…

アサギマダラの雨宿り

夏の胡蝶を隕(お)として黒き雲速し 新東名の高架橋のしたで、じっとしている蝶を見つけた。多分アサギマダラだろうと思う。 午後から雲行きが悪く時おり突風がふき、雨も横から吹きつけ始めた。そんな中、おそらく一時の雨宿り、というより避難のためこの…

孔雀サボテン異変

仙人掌の花の真中と凝視めあう 今年も孔雀サボテンが花を咲かせた。 だが、驚いたことに白い花である。 これまで10年近く、咲いたのは全てあでやかな紅赤色だったが、まさか白い花をつけるとは想像もしなかった。こういうことがあるのだろうか? 園芸種で多…

白いノアザミ?-2

先日、白いノアザミのことに触れ、花が咲かないし遺伝しないようだと書いたが、 http://blogs.yahoo.co.jp/geru_shi_m001/65488587.html そのご異変が起こった。 実は、シロバナの2代目に、白い花が咲いたのだ。株は次々に普通の紫の花を咲かせたが、8つ目…

コバンソウ2種を(イネ科)

小判草ままごとの御金(かね)にもならぬに 小判草とは、なかなか面白い名前をつけたもので、ただちに納得してしまう。一茶がこの草を知っていたら果たしてどんな句をつくっただろうかと思うのも愉快だ。ただし小判を知らない今の子供らにはよくわからないだ…

白いノアザミ?

野薊は眼に紫のシミである いま堤防は一面のノアザミ。眼に痛いほどの紫である。 去年、花が紫ではなく白い変種をみつけて、その種を持ち帰った。鉢にまいておいて今年の花を待ったのだが・・・。 花は咲いてくれたが、白くはならなかった。幾分かは白みがあ…

両面宿儺(リョウメンスクナ)-2

遠雷や飛騨の宿儺(すくな)は顔二つ それにしても、両面で4本の手足とはどんな人だったのか。 と思っていたら、先日テレビでアビーとフリトニーの姉妹の報道を眼にした。アメリカに実在している姉妹で首から下が癒着している奇形である。ベトナムのベトち…

両面宿儺(りょうめんすくな)-1

行く春も睡りしままの仏かな (千光寺円空仏寺宝館) 両面宿儺の像をみに高山の千光寺を訪ねた。円空の傑作のひとつである。寺は高山市街から10キロほどの山の中。円空が和尚と気があって長らく滞在した寺だという。 像は高さ1mに欠けるくらいだろうか。鉈…

庭のユキノシタ(ユキノシタ科)

花びらの不揃い愛しゆきのした 勝手に増えて勝手に咲いている。 春先にはいい葉っぱは摘まれてテンプラになる。あまり増えると無造作に引き抜かれる。 けれど花はなかなか棄てがたい。あまり威張りもせずにあちこちに花茎を立てて、子供らの工作でつくったモ…

円空さんのおびんずる

畑を打つ手垢に輝(ひか)るやお鬢頭盧(おびんずる) 円空仏を高山の千光寺に訪ねた。千光寺は円空ゆかりの寺である。 入館料500円を払って寺宝館に入ると、写真も駄目だとのこと。岐阜羽島の中観音堂とはえらい違いだと思いながら、それでもお目当ての「両…

蛇結茨(ジャケツイバラ:マメ科)

日ごと日次主役さし替え春ゆけり いつも行く河原に、余りみたことがない黄色が広がっているのに気づいて、藪を分けて近づくと、この花。なかなか鮮やかな黄色である。花茎が50cmほど立ち上がって、そのまわりに整然と花をつけている。葉はニセアカシヤに…

水無神社 (飛騨国:岐阜県)

飛騨は本当に山の中である。先日4月下旬の飛騨を走ると里の桜こそ散ってしまっていたが、山々にはまだ辛夷と山桜が競うように咲いていて、早春の冷気さえ漂っている。 水無神社は高山からはおよそ10キロ。JR高山線飛騨一之宮駅の直ぐ近くで、宮川の傍に鎮座…

飛騨に臥龍桜を観る

遅桜散って静かな里となる 飛騨の国の一之宮に詣でると、JR高山線飛騨一之宮駅と宮川を挟んで神社に対峙するように臥龍サクラがあった。もう散り桜だったが、それなり銘木といわれる力をかんじた。 樹齢約1100年になるエドヒガンザクラであるとのこと。国の…

熊本の大地震

逃げまどう人を濡らすな春の雨 2年前の阿蘇大橋 熊本の地震がなかなか収まらない。早く終息して欲しいものだ。大地が揺れるのはまったく恐ろしいことでこれが長期間続いている被災地の苦痛は察するに余りある。 私は2年前に熊本県から宮崎県辺りを走り回っ…

富士山のサクラの園

満開の花に命を抱きとらる 富士霊園(静岡県小山町) 静岡と神奈川の県境の小山町にある「富士霊園」。富士山の広大な裾野ににひろがり広闊な景観とサクラで人気の場所だ。 少し早いかなと思いつつ訪れると、まさに満開であった。 「霞みか雲か」という言葉…

まんさくの花を3つ(マンサク科)

マンサクや湯殿参道まだ開かず 3年ほど前の5月、東北地方をぶらぶら回った。そのおりに湯殿山に詣でたのだが、まだ山は写真のとおりの雪だった。私は大鳥居のある湯殿山神社参籠所から神社まで約30分を歩いたが、残雪の路傍に美しいマンサクが咲いていた…

April fool のパラドクス

April fool 「私は嘘をついてます」 これでも一応俳句のつもりでいる。 April fool 、この頃余りはやらなくなった気がする。ネットなどでは、外国版のいわゆる「ドッキリ」番組がたくさんあり、だます方もだまされるほうも結構無邪気に楽しんでいる。だが日…

「たけのこ」宅配

竹の子や黙って二つ今朝の門 起きだして新聞をとりにでたら、玄関先に竹の子が置かれていた。採ったばかりでぬれている。どなたかが、薄暗いうちから掘り採って、届けたくれたのだろうか。たぶんあの人だろうが・・・。 それにしてもまだ3月だが、早々と竹…

いちめんのなのはな

いちめんのなのはな行こうよ遠くまで この時期になると、やっぱり菜の花が気にかかる。 近くの川のふちも、写真のとおりの満開となった。花の中を歩いていくと、なんともいわれない、幸福な気分になる。 サクラを愛でて人は一喜一憂する。サクラは「しきしま…

ふべんの復権を

碁がたきは憎さも憎し懐かしし(古い川柳から) ついに囲碁がコンピュータに征服された。 先日、世界トップの囲碁棋士、韓国のイ・セドルさんが、コンピュータの挑戦受けて5戦し、なんと4敗。かろうじて1勝という全くの惨敗だった。下馬評では全勝で人間…

春気揺曳(かってに創作熟語)

束の間を笑い歌いて花ゆきぬ嗚呼人もまた斯くのごときか 今日はセンチな歌が口をついて出たので、臆面もなくそのままアップした。昔聞いたことがあるようなフレーズだが・・・。 写真は、やっと花開いたフクジュソウ。一月も前から芽を出してしまったので、…

蜥蜴でる

トカゲ出てまず縄張りをひとめぐり 啓蟄は、3月5日だったようだ。いつの間にか世の中は春色になっている。 ウグイスが3月はじめから聞こえてくる。すばやく庭を横切っていく影は、多分成虫で越冬するチョウだ。 トウが立った菜にもうハチやアブやハエなどが…

石が夢みる-1

石切りや水ぴちゃぴちゃに跳ねて春 (安倍川の葡萄石) 先日古い友に会ったら、ほらっ、と小石をいただいた。磨きこまれて丸く緑色をしている。 安倍川のブドウ石だよ。 どうやら蛇紋岩というらしく全体に緑がかっていて黒い斑点と斜めに走るような線が入っ…

フキノトウ燦燦-3

すまんなと蕗玉三つ四つ大地から (「プリマベーラ」部分) 春風に誘われて草が芽吹き、花たちが咲き初める、といえば誰もがボッティチェリの「春」プリマベーラを思い出すだろう。 何年か前にイタリアにツアー旅行した折に、フィレンチェでウフィッツィ美術…

フキノトウ燦燦ー2

ふくからにむべふきったまといふならむ フキは、春の七草に入れてもらえなかった。調べてみたが万葉集にも登場しない。和歌にもあまり歌われなかったのではないだろうか。だから、「春の野に出でて若菜摘む・・・」の、「みこ」には、入っていなかったのかも…

フキノトウ燦燦ー1

ふきっ玉ふくぷくぷくと食べちゃうぞ フキノトウがぷくぷくと出てきて、さっそくこの苦さを味わった。なんともいえないうれしい苦味だが、これは縄文人の味覚である気がする。 句の「ふきっ玉」とはフキノトウのことで、昔信州のある田舎でこう呼んだことが…

檸檬とレモン

硬いまま酸いままレモンもぎ取られ お隣から完熟レモンをいただいたので、色紙に描いた。写真の代わりに掲載。完熟のレモンは、ただやたら酸っぱいだけでなく味のある甘さがある。しかも大きい。田舎に暮らしているので、こういう本当の美味いものがいただけ…

半音階的幻想曲

バッハの「半音階的幻想曲とフーガニ短調」BWV903のまさに冒頭。 私はメロディーを追う程度しか楽譜がわからないのだが、この譜を見るだけで芸術的な刺激を感じてしまう。ほとんど絵画ですね。(シュトックハウゼンを想起するね) 地震で被災した子どもたち…

凧揚げ・・・イカ揚げ?

天空に風はあるらし凧(いかのぼり) 遠州横須賀を走っていたら、田んぼに大勢が繰り出して凧揚げに興じていた。 陽気もいいし、空は抜けるように青く、「風は手頃」、なのだそうだ。青空を見上げていると、のどかな気分になり、現実の憂さを忘れてしまいそ…