フキノトウ燦燦ー1

ふきっ玉ふくぷくぷくと食べちゃうぞ
 
イメージ 1

フキノトウがぷくぷくと出てきて、さっそくこの苦さを味わった。なんともいえないうれしい苦味だが、これは縄文人の味覚である気がする。
句の「ふきっ玉」とはフキノトウのことで、昔信州のある田舎でこう呼んだことがあるらしい。いい言葉だからつかってみた。
私は前々からフキの花芽をフキノトウと呼ぶのはおかしいなと感じていた。トウは薹で、いわゆる「とうが立つ」姿だから、もっと伸びたってからの名であろう。昔の人はもっと言葉と対象が親密で、言葉にも命があったので、こんな呼び方はしなかった。
私自身は、今思い出すに、生長した葉や茎を「ホーキンパ」、花茎を「ホーキントウ」と呼んでいたような記憶がある、が、正確ではない。
以下は、前にブログで書いたものだが再掲。
 
宇都宮貞子著の「草木おぼえ書」では、北信の戸隠の宝光社で聞いた話を、次のように書いている。
『出はねの丸い玉がホーキ、ホーキがずんと伸びたのがフキノトウ、葉の軸がふきですに』 これらの名のつけ方は全く合理的だ。一体、堅い小さい玉のうちからフキノトウという共通名はおかしい。
 

本によると、フキノトウの小さい花芽をフキッタマとかフキンボ、フキボコなど、タマとかボボ。伸びた花芽の茎をフキノトウ、フキノボー。葉茎をフキ、フキノスネなどと呼び、中々細かく、しかも正確に区別していた様子が伺える。
宇都宮さんの指摘どおり、花芽そのものを現在のようにフキノトウとは呼んでいないのだ。また、塔になったフキノトウの棒茎を食べるとうまい、とも書いてあり、花よりも花茎を食べるのが主流だったのかもしれない。


また、「野沢では、トウをホーキント、茎はフキノボウという。」ともある。

どうやら、私の記憶の中にある「ホーキンパ」の「ホーキ」は、フキとは言っても花芽や花茎のことを指しているニュアンスが濃い言葉だったようだ。
身近な野の食草のだけあって、いろいろな生活臭が感じられる単語である。


ついでながら、こんな文もある。
「山村ではフキッパは尻拭きに便利で、昔はよく使われたという。」
遊んでいて、ノッパラで何をしたときに、ホーキンパを使った記憶は私にもある。細かい毛が生え、ざらざらしていて、子供の尻には少し痛かった。(19.05.28)