庭のユキノシタ(ユキノシタ科)

花びらの不揃い愛しゆきのした
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勝手に増えて勝手に咲いている。
春先にはいい葉っぱは摘まれてテンプラになる。あまり増えると無造作に引き抜かれる。

けれど花はなかなか棄てがたい。あまり威張りもせずにあちこちに花茎を立てて、子供らの工作でつくったモービルのようにちらちらと、一日のどかにちらちらしてとしている。
似た花の大文字草は何度か鉢を買って楽しんだが、いずれも2,3年が限度で消えてしまった。その点、ユキノシタは決して花も遜色ないし、手入れも不要、絶える心配もない。

雪国生まれの自分としては、雪ノ下なる名前は今ひとつぴんと来ない。これが雪の下でも生きていて葉を広げている、という意味ならそんな草はたくさんある。長野県辰野ではニリンソウユキノシタと呼ばれたことを宇都宮貞子さんは「草木おぼえ書き」に記している。
白い花を降り積もった雪に見立てて、その下に緑の葉があるという絵柄の説明のほうがしっくりくる気がする。

草は地方によって様々な名でよばれていたが、これが近代「統一国家」になるに従い一つに統一されていく。そしてこの草が「ユキノシタ」の名を勝ち取ったということだが、当然、異名もたくさんある。手元の本には
「きじんそう。いわぶき(岩蕗)。いわかずら(岩蔓)。とらのみみ(虎耳)。つるあおい。ねこのみみ(猫耳)。せきかよう(石荷葉)。いどばす。漢名=虎耳草」
などをあげている。(「野の草の手帖」 小学館
俳句では「鴨足草」とかいてユキノシタと読ませている例が多くみられ、なるほどなと思わされる。