いちめんのなのはな

いちめんのなのはな行こうよ遠くまで
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この時期になると、やっぱり菜の花が気にかかる。
近くの川のふちも、写真のとおりの満開となった。花の中を歩いていくと、なんともいわれない、幸福な気分になる。

サクラを愛でて人は一喜一憂する。サクラは「しきしまのやまとごころ」だという人もいた。さらにサクラの神はコノハナサクヤヒメだとも言われる。

しかし、こと菜の花では少し事情がちがう。菜の花の満開を愛ずる人は多いが、酒宴を張っている現場に出会ったことはない。花は昼間見るものであって、夜桜に該当する美学がない。(まだ、皆さん知らない?)また、神格化されてもいないようだ。

ナノハナをあえて神になぞらえれば、穀物の女神であり、再生の女神であるオオゲツヒメがふさわしいとおもう。

菜の花や月は東に日は西に  (蕪村) という句があるが、
サクラが観賞の対象であり、果かなさや生死の観念に人を誘うのに対し、菜の花は、実用的な栽培植物であって健康的な農耕的な空間の広がりのイメージを誘うようだ。広がりのイメージが、太陽や月など天体世界につながってくるのだろう。

サクラは地下にいざない、ナノハナは天体にいざなう。ともいえそうだ。
対極にある二つの花だが、ナノハナの文化的評価、美学がもっと深まり広がってもいいのではないか。