葉牡丹や薹立ち咲くまで見とどけむ
正月用に毎年、葉ボタンを寄せ植えにするのだが、今回は矮小の寄植え鉢を買ってきて間に合わせてしまった。小さいけれど玄関わきに置くと、幾分は華やいだ演出になる。
この葉ボタン、もともとキャベツと同じものだという。でもよく見ればなかなか複雑な深い色や鮮やかな色をしているし、細かい波打ちのような葉の先は工芸品のようでもある。残念ながらいつも足元にあって、素通りされている。だから玄関先の棚に上げてよく見えるようにしてやった。
わたしは野性っぽいのが好きなので、葉ボタンも放っておいて薹が立って花が咲くのを楽しんでいる。これも菜の花である。そして満開になり種を付けてみっともなくなる寸前まで玄関先に置いておく。それが彼らが生きている目標であるはずだし、それは美しいはずだ、と勝手に思っている。
こんなにカラフルなものなので、日本に来て歴史が浅いのだろう、と思っていたら、松田修さんの「花の文化史」を読むと、
「日本へは江戸時代に、はじめオランダ菜と呼ぶ緑色葉のものが渡来し、次いで葉に変化のあるものが渡来したらしい」。すでに1778年の書物に見えるとのこと、意外だった。
だが渡来した当初は美しいものではなく、今日のように色彩に変化のあるものは、日本で栽培改良したもので、原産地のヨーロッパではおもに食用や家畜の餌になっている。とのことだ。
日本人はものを改良するのがうまいね。