マタタビ白むころ(マタタビ科)

夕間暮れマタタビ白し里へ二里
 
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あれは何の花?と、初めて見る人はおそらく目を疑う。梅雨のころに山道をゆくと、あちこちに白いものが木々一面に広がっているのが見えるからだ。まるでそこに雪が積もっているかのようだ。
これは花ではなくて、マタタビの白い葉である。にわかには信じられないほどだが・・・。

静岡県の清水と山梨県の韮崎をむすぶ国道52号は、上ったり降ったりのカーブの多い山道で、梅雨の時期に走るとマタタビの白い葉に出あうことがある。先日私もうまく遭遇した。これが眼につくと途端に運転が楽しくなる。眼をきょろきょろさせて、近く遠くから視野に入ってくる、この不思議な白い景色を楽しみながら、さてカーブの先にもあるだろうか、などと予想しながらハンドルを切る。
 
とはいうものの、私はこの白い葉をまだしっかり観察したことがない。この道路はみなさん結構飛ばすので、なかなか車を止めることができない。今回忙しくスナップを撮ったが、おそらく咲いているだろう、その花までは確認を怠った。(手が届かなかった。)

この実は精力剤になるといわれていて、ずいぶんと昔のことになるが、中軽井沢のH君から塩漬けの瓶をもらったことがある。2センチほどの毛のない小さいキュウイのような実で、中に粒々の種があった。猫はともかく、私には何の効果も感じられなかった。
ところがこれが意外に高価なものであることを後で知った。場合によっては米よりも高価なこともあったことを、「草木おぼえ書き」に宇都宮貞子さんが記している。
 
(葉が白くなるのは、葉の表面と葉肉との間に空気の層ができ、それが光を乱反射するのが原因らしい。白い葉は次第に緑に変わる。白化はハンゲショウ同様、虫を誘うためのマタタビの工夫であるという。)