モネのパラソルの幻影

河原を歩きながら見上げると、堤防の上にパラソルの女性が見えた。
ああ、モネだ!
少し季節は違うけれど、
あんなふうわりしたスカートではなくて、田舎のおばちゃんだけれど、
光あふれる空と雲と風と、燃えるような草たちはモネそのものだ。
その途端に訳もなく、モネの絵の世界が仏教的に思えてしまった。森羅万象の存在が光の粒に分解し上空に向かって沸騰し、成仏していく。

堤防に上がると、幼児たちがおしゃべりしながら自転車の練習をしていた。ついでに、ご挨拶の練習台にされてしまった。
モネのパラソルはもういなかった。のどかな陽射しだ。

ごあいさつ褒めれば何度も春の土手
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