3重連水車休眠中(シリーズ風景の中へ16)

5月下旬、大分県日田から筑後川沿いに久留米方面へ向かうに、高速でなく一般道を走った。それは朝倉にある大きな3重連や2重連水車を見たかったからである。実は30年ほど前に九州を旅したときに、ここに寄ってその迫力に魅了されたことがあった。あの感動よ、もう一度!である。
で、まさにその三重連水車に到着して、目に入ってきたのは・・・、
ありゃあ、まだ動いてない。支度の整っていない痩せた水車の骨組みだった。
まだ田んぼは一面に麦の穂が黄金色、まさに麦秋。時期が早すぎたのだ。
・・・大水車のあのギシギシいう音を耳が覚えている。木が軋む機関車のような音。

そういえば、日田から山奥に入ったところに小鹿田焼(おんだやき)という民芸窯場があり、ここでは陶土を挽くに唐臼を用いている。これは川の水を一方にためて猪おどしのように反動で杵を落とす昔からの方法である。
ジャアー、ギイイイイ、ドスーン。ジャアー、ギイイイイ、ドスーン。
小さな窯の集落にこの音が響く。
これに似ていなくもないな・・・、そんな音の連想をしながら、しらけた水車を見下ろしたのだ。

大水車干からびきって麦の秋
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30年前の勇姿
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