で、まさにその三重連水車に到着して、目に入ってきたのは・・・、
ありゃあ、まだ動いてない。支度の整っていない痩せた水車の骨組みだった。
まだ田んぼは一面に麦の穂が黄金色、まさに麦秋。時期が早すぎたのだ。
・・・大水車のあのギシギシいう音を耳が覚えている。木が軋む機関車のような音。
そういえば、日田から山奥に入ったところに小鹿田焼(おんだやき)という民芸窯場があり、ここでは陶土を挽くに唐臼を用いている。これは川の水を一方にためて猪おどしのように反動で杵を落とす昔からの方法である。
ジャアー、ギイイイイ、ドスーン。ジャアー、ギイイイイ、ドスーン。
小さな窯の集落にこの音が響く。
これに似ていなくもないな・・・、そんな音の連想をしながら、しらけた水車を見下ろしたのだ。
大水車干からびきって麦の秋
30年前の勇姿
30年前の勇姿