老朋の来り語らう日永かな
(リュウキンカが満開)
中学時代の友人が遠くから会いに来てくれて、楽しい懐かしい時間を過ごした。この10年ほど会っていなかったろうか。お互いに白いものばかりになっていて、お互いに驚いた。昔の故郷の話に花を咲かせ、故人を偲び、そして近場を案内して回り美味い魚などを食べた。別れ際、まだまだ頑張ろうと手を握り合うと、胸に熱いものがこみあげてしまったが、さてこれから何度会えることだろうか。
二人の古里は雪深い奥信濃。こちらは桜が咲いて、山桜はもう山肌を彩ってすっかり春だが、向こうはまだまだあちこちに雪が汚れて残っているのだろう。辛夷が咲いているだろうか。
お互いに郷を離れて60年になろうとしている。それぞれにそれぞれの人生を歩んで来た。あっという間の平凡な人生。しかし愛しいような感慨が胸の底に湧いてくる。
人生は一行のボードレールに如かず、と言ったのは誰だったか。自分の人生も省略して切り詰めると、俳句の17文字にも足らない、そんな気もしてくる。1句に如かず、とでも言うのだろうか。